最近観た旧作の感想メモ(2022年6,7月)
ザ・ピーナッツバターファルコン(Netflix、U-NEXT)
ダウン症の青年ザックと町の嫌われ者タイラー、ザックがいる施設の看護エレーナの3人によるロードムービー。ザックを演じる役者はその名もザックで、ダウン症患者。監督が彼の「映画スターになりたい」という夢を叶えるべく作ったという経緯もあり、ストーリーもザックがプロレスラーを目指すメイクドリームもの。涙をよこせ、というタイプの作りではなく笑える部分も沢山あって気持ちの良い映画だ。そうはならんやろ、の連続も往年のスター映画のような佇まいがある。あとタイラーを演じたシャイア・ラブーフは実際に色々やらかしてる人みたく、、この映画、何度も見返してほしい。
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(Netflix、U-NEXT)
公開当時CMですごく流れてたし、タイトルだけはずーっと頭に残ってたけどどういう映画かは全く知らず。満を持して鑑賞したらグサっときた。9.11で家族を亡くし負った心の傷を描く作品といえば「再会の街で」だけどこれも良作。父を亡くしたアスペルガー症候群を抱える子どもが父が遺した鍵の謎を解くために小さな冒険に出る話。彼のこだわりや飄々とした語り口は感傷的になりすぎず観れるが随所に過去や現実が差し迫る瞬間の数々、またタイトルの意味がわかる一連(いい邦題だと思う)には胸が締め付けられる。退役軍人の老人が旅に加わって以降、救われることと救うことの美しさを実感。
教誨師(U-NEXT)
大杉漣、最後の主演作で本人がエグゼプティブ・プロデューサーも務めている。教誨師とは死刑囚たちに聖書の言葉を伝え、彼らに寄り添い話に耳を傾け、悔い改めることで安らかな最期を迎えられるよう対話を重ねる牧師のこと。6人の死刑囚との対話を連ねたシンプルな構成だがそれぞれの死や罪との向き合い方は固有で常に独特の緊張感が漂っていた。大杉演じる主人公は教誨師になって半年という設定であり、少々危うい踏み込み方やそんなムキにならんでもというところもあるのだがそこも大杉漣ってこれだよな!って佇まいでじんとなった。実在事件と近すぎる人が出てくるんで鑑賞時は注意。
ナイトクローラー(U-NEXT)
大好きなジェイク・ギレンホールの主演作。こんな顔で笑うジェイクだっけ?と思っていたが役作りでカリッカリに痩せて骨ばった不気味な姿に改造していた。話としては悪い面白さが満載。パパラッチってこういうレベルの事件のものも含むのかよ、と銃社会の恐ろしさを知る。人としての道理、が大きく外れ過ぎてるジェイク演じる主人公、素晴らしかった。コイツがずーっとぺらぺらぺらぺら何かそれっぽいことを部下に喋り続けるシーン、イライラするんだけどなぜか気迫があって、マルチに向いてるやつってこういうやつか、と。空っぽの言葉をいつの間にか操れるようになるクソ才能。
死霊のはらわた(U-NEXT)
名作をちゃんと観ようシリーズ。王道もイイけどナナメのもね。「ドクターストレンジMoM」があまりにもサムライミ監督だ、というか「死霊のはらわた」だという話でじゃあ原典にあたろうかということで観ると、それはもうたっぷり入ってて面白かった。何もかもの要素が過剰すぎて笑っちゃうのだけど、これは面白いはずだ!を確信して入れまくってるところに無邪気と気概を感じてグッとくる。ひとりの圧倒的な作家のはじまりを見るというかね。えんぴつでくるぶし付近を攻撃するのがなんで怖いと思ったのか、理屈を知りたい。怖いけど!続編でヒーロー映画になるらしくそれも気になる。
前田建設ファンタジー営業部
準大手ゼネコンの前田建設工業株式会社に実際あるファンタジー営業部による「マジンガーZの格納庫を作る計画」を映画化したもの。ヨーロッパ企画の上田誠が脚本ということで、虚構に対してちゃんと理屈と技巧で立ち向かい、道中で笑わせていくシナリオ力というがばっちり反映されていてすごくよかった。この成功が今クールのドラマ「魔法のリノベ」の脚本を務める経緯に至ったのは間違いない。設計とか説明とかを笑いにする能力が異常に高い。持続的に面白いけど特に“横移動”のくだりが爆発的に笑える。くだらないんだけど決してふざけてはいない状況がもたらす笑いって最高だな、と。
蛇イチゴ(U-NEXT)
ずっと観たかった西川美和監督のデビュー作。U-NEXTは大都市のデカレンタルショップ的なラインナップが不意に放り込まれるから見逃せない。放蕩息子が久々に実家に戻ってからその家が抱えた秘密がどんどん暴かれて崩壊していくというブラックコメディでとても面白い。言葉と記憶がすれ違い事態を大きくする、という点で「ゆれる」と鏡合わせの関係にあるような作品だと思った。ここから始まったのか。とにかく主人公を演じた宮迫博之の演技が良い。なんか、彼自身の芸人としての去就を重ねながら観て妙に感傷的になってしまった。あと明石家さんまの師匠こと笑福亭松之助氏も出てます。
こっぴどい猫(U-NEXT)
こちらもずっと観たかった今泉力哉監督作品。モト冬樹の生誕60周年を記念して作られた1本とのことだが中身はこんなにも今泉力哉を存分に味わえていいのかというレベルの濃さ。今泉映画と言えば恋愛関係のもつれのおかしみと切なさなわけだが、今作ではおかしみのほうを7つ(!)並行して描いた結果、関係のやりとりだけでほぼ進んでいく構成に。この後の今泉映画というのは、これらの関係性の描写を減らし、映画的な他の要素を加えてできているのかと思う。これが今泉映画の原液じゃないか。モト冬樹とニコラス・ケイジが重なるかのような序盤とやはりモト冬樹だった終盤。楽しい1本。
デアデビル(Disney+)
ついに見始めたNetflix制作のMCUドラマシリーズ。繋がらねえって聞いてたはずなのに「スパイダーマンNWH」にも「ホークアイ」にも関連キャラクター出てきたんシーズン1を。面白い!盲目のハンサムヒーローであり、昼は弁護士/夜は自警団ヒーローであり、グレー倫理観ヒーローであり、それに葛藤ヒーローであり、肉弾戦でボコボコヒーロー。魅力が多い。マフィア抗争映画的意匠もあって、ボスであるキングピンのキャラ造形が圧巻。歪みの経緯も、家までお前が来るのかよという怖さも、全てデザインされすぎてない悪いヤツでかなり良い。マーベルベストヴィランを更新したかも(2位はジモ)。
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