2022.4.13 UNISON SQUARE GARDEN×マカロニえんぴつ「fun time HOLIDAY 8」@日本特殊陶業市民会館フォレストホール
2年前に断念せざるを得なかったUNISON SQUARE GARDENの対バンツアーシリーズ、名古屋公演はTOY’S FACTORYの後輩であるマカロニえんぴつを迎えて開催された。キャリアとして5年ほど先輩であるユニゾンを前に、マカえんがどう立ち回るのか気になっていたが堂々たる入場から即座にユニゾンの「オリオンをなぞる」のイントロを奏で始めたではないか。奇襲を仕掛けるにはうってつけ。ちょっと笑ってしまうくらいに最高の作戦で、思わずガッツポーズしてしまった。そのままサビを歌い切り、ライブでは必勝の「洗濯機と君とラヂオ」に繋げてトップスピードでライブを開幕させてしまった。
軽やかで温かなピアノが跳ねる「レモンパイ」が緩やかに高揚感を維持し、「はしりがき」をエネルギッシュに届ける。ここまで強い曲ばかりが揃っており、ユニゾンと共演する上でかなり滾りまくっていることがよく分かった。MCではユニゾンリスナーに向けてご様子を伺うような大人しめな言葉選びながら、「名前の割にはかっこいいことやってるかな」と確かな自負ものぞかせていた。その流れのまま最新アルバムより「なんでもないよ、」を静謐かつエモーショナルに歌い上げていく。こういう局面でアッパーな楽曲を畳み掛けるわけでなく、自分たちの"聴かせる"面を押し出せる強さよ。
妖しげなイントロと爆発力のあるグルーヴが展開する「好きだった(はずだった)」で更にシリアスに引き込んでいく流れもとても巧み。限られた時間の中で、しっかりと様々なタイプの楽曲を揃えてくる、いや揃えることができる音楽的な豊かさをマカえんが時代のド先端でやり続けている素晴らしさを思い知る。ギターのフレーズとリズムがループする軽いセッションの中、「本当のことだけを歌いにきました」とはっとり(Vo/Gt)が告げて「ブルーベリー・ナイツ」が鳴る瞬間も美しい。どっしりとしたテンポ感の曲が観客に求められ、初見の観客もゆらゆらと揺らせてしまえるバンド、稀有すぎる。
ドラマチックなギターフレーズが鳴り響き「青春と一瞬」が歌われる。先日のワンマンツアーでも重要なポジションを担っていたが、こういう気合の入ったライブの終盤で歌われるとグッとくる。彼らの普遍性と心の柔らかいところを掴んでくる説得力がひしめき合う1曲だ。そしてはっとりがいつもようにアルペジオを奏でながら最後の曲を告げる挨拶を。一期一会になるかもしれない対バンという出会いの場に感謝を告げ、"大事な曲"として大名曲「ヤングアダルト」が。人気の渦中にある浮かれ感は一つもなく、地に足のついて感傷と確かな今を生きる僕らへ送られる眼差し。信頼できるバンドだ。
<setlist>
1.オリオンをなぞる(サビ)
2.洗濯機と君とラヂオ
3.レモンパイ
4.はしりがき
-MC-
5.なんでもないよ、
6.好きだった(はずだった)
7.ブルーベリー・ナイツ
8.青春と一瞬
9.ヤングアダルト
そしてホストであるUNISON SQUARE GARDEN。3カ月ぶりに観るがやはりいつだって入場SEでワクワクしてしまう。1曲目から「23:25」を壮大にブチかまし、続く「リニアブルーを聴きながら」を颯爽と届けていく。鼓動のようなドラムと煌びやかなギターが唸れば「何かが変わりそう」が会場いっぱいに降り注いでいく。この頭3曲!個人的に今まで観てきたユニゾンのライブのオープニング史上最も好みだったかもしれない。鬱屈を吹っ飛ばすような爽快さと、どこまでも飛んでいきそうな飛翔感、そして胸を締め付ける切なさ、この大好きな要素が詰まりまくっていて早速胸がいっぱいだった。
簡単な挨拶のみで「アトラクションがはじまる(they call it "NO.6")」で楽しく仕切り直し、久々の演奏となる「メカトル時空探検隊」。少し気抜けたオルタナティブなグルーヴがユニゾンの多彩さを強く示す。1月まで行われたアルバムツアーでは演奏されなかった「Catch up,ratency」がもはや夏日だったこの夜に清涼感を振りまいていく。聞きなれた四つ打ちの先、初期からの人気曲「MR.アンディ」が更なる多幸感を押し広げてゆく。よく考えたら<君が残像に 振り返る時を思い出しては>というどういう状況かも分からない歌詞がなぜこんなに楽しいのか、さっぱり分からないがこれが音楽の偉大さだ。
そして間髪入れずに歌い出したのは「夢が覚めたら(at that river)」。2018年のアルバム『MODE MOOD MODE』に収録されて以来、ライブでは一切演奏されてこなかった曲。これが遂に本ツアーで解禁されていたのだ。ロマンチックかつメランコリックな悲恋の歌で、抑えた照明演出も相まって静かに染み入れる時間だった。こういう時間が不意に訪れるから、ユニゾンのライブは見逃せないのだ。そしてそんな余韻をひとしきり経た後、キメを多用したセッションから「Nihil Pip Viper」によってじわじわと再び熱を上げていく。前回ツアー前に発表されたばかりの曲だが、すっかり定着しきっていた。
鈴木貴雄(Dr)のカウントから「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」が佳境を予感させる。この曲の苛烈さはいつも爆笑してしまうのだが、今回は8列目という良い席でその熱を存分に浴びることが出来た。田淵智也(Ba)の壊れたおもちゃのような足あげ、心を突き動かす"暴れ"だ。そして続く「kid,I like quartet」がキラキラとクライマックスを彩っていく。どこまでもポップなのに、内包する鋭さと暴力的とも形容できそうな激しさがユニゾンのライブの核なのだ。本編ラストの「君の瞳に恋してない」が打ち上げるマジカルな大団円も含め50分という最短距離でユニゾンの旨味を堪能できる贅沢な夜だった。
アンコールでは斎藤宏介(Vo/Gt)がマカロニえんぴつを「たまに出てくるバンド界の星のような存在」と語り同時代のバンドとしてエールを送り、この日リリースされた新曲「kaleido proud fiest」を投下。流麗に駆け上っていく昂ぶりそのもののような1曲でロックバンドとして生きることを讃えているかのように聴こえる。この対バンにはぴったりじゃないか。ラストは季節的にもぴったりな「桜のあと(all quartet lead to the?)」でカラカラになるまでスタミナを絞り切ってエンド。じっくり揺らすマカえんと比べ、このハイカロリーなアンセム連打。曲調は好対照なのになぜか相性ぴったりなこの対バン。良い歌と良い演奏を本能的かつ不敵な姿勢で魅せるという共通項が2組を結び付けていたように思う。また観たいと思わせてくれるツーマンだった。
<setlist>
1.23:25
2.リニアブルーを聴きながら
3.何かが変わりそう
4.アトラクションがはじまる(they call it "NO.6")
5.メカトル時空探検隊
6.Catch up, latency
7.MR.アンディ
8.夢が覚めたら(at that river)
9.Nihil Pip Viper
10.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
11.kid, I like quartet
12.君の瞳に恋してない
-encore-
13.kaleido proud fiesta
14.桜のあと(all quartet lead to the?)
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