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マイペースに歩くことは難しい

 長かった夏の照りつけるような太陽の日差しがようやく和らぎ、季節は秋。スポーツの秋とも言われるが、運動音痴な私には無縁である。
 ただ、歩くことは好きなので、なんとなくウォーキングイベントの文言を見つけると心が躍る。田舎だからなのか、近県も含めて各地で実施しているらしい。

 今までは「一人で参加してもなぁ……」と思って諦めていたが、「普段は歩かないところを歩くことに価値がある!」と考え、試しに参加してみることにした。



さくらおろち湖めぐりウォーキング大会2024

 今回参加したのは、尾原ダムの建設によってできたダム湖・さくらおろち湖を歩いてぐるっと巡る、さくらおろち湖ウォーキング大会だ。
 もともと、さくらおろち湖周辺はロードレース用のコースがあったり、ボート競技施設があったり、スポーツができる場所。とはいえ、私には無縁のスポーツ会場と思っていたので、歩くことができるのは楽しみだった。

 気温は17度前後と、日が陰ると少し肌寒いくらいだったが、青空の見える良い天気だった。
 県内外から集まった参加者は約300人。家族連れや友達同士、ソロ参加者も少々、といったところか。年齢層は少し高めで、若い人は大抵家族連れだった。

 開会式では、あいさつの後、最も遠くから訪れた参加者にプレゼントが渡された。ちなみに、参加者全員にお米――私が愛して止まない仁多米――とスポーツドリンク、タオル等がプレゼントされた。ゴールすると、ハズレなしのくじ引きもあり、太っ腹だ。
 準備体操と事務連絡が終わると、いよいよ出発だ!


スタートの位置取りが重要

 来賓挨拶をされた方に見覚えがあったので、開会式後に話しかけた。
 私は、東日本大震災の直後、市民ボランティアグループの集会に顔を出していた時期があったのだが、その時に県職員として参加されていた方だ。先方は私のことは覚えていらっしゃらないと思いながらも、偶然の巡り合わせに声をかけずにいられなかった。

 そうして数分の会話を楽しんでいると、すでに参加者全員が歩き始めており、急いで後を追いかけた。つまり、最下位スタートである。
 ただ、競争ではないので、制限時間内のうちにゴールできるよう、マイペースに歩けば良いので、問題はない。

 と、その時は思っていたのが間違いだった。

 最後尾は、どうしても歩くペースが遅くなる。皆がマイペースに歩いていくため、列の後ろになればなるほど、前が詰まってゆっくりになる。
 たった、5.6kmのコース。腕も振らずにトボトボ歩いていたのでは、ウォーキングにならない。

 よし! 人の合間をぬって前に行こう!

湖を左手に見ながらずっと歩いていく。紅葉はまだみたい。


集団から抜けると歩きやすい

 ソロ参加者は少なく、皆、同行者と楽しく話をしながら歩いている。
 2~3名で並んで歩けるほどの余裕がある歩道のため、横並びに歩いている人たちの隙をついて、少しずつ前に行く。
 少し歩けば、すぐ前の人に追いついてしまい足取りが遅くなってしまうため、とにかく、集団から抜け出したかった。

 景色は良いし、普段歩かない道は新鮮で楽しい。
 しかし、おそらく私は、集団で歩くことに向いていないな、と30分と経たずに気付いた。

「やっぱり若さには勝てないなぁ」
「はやっ。競歩じゃん」
 と、抜いた人たちの声を背中で聞きながら、ガンガン歩いていく。
 普段から2kmを30分未満で歩くことを目標としたスピードで歩いているため、5.6kmなら70分程度でゴールしたい。そう考えると、大して速くないと思うのだが……。

 かなり歩きやすくなったな、と思う頃に、残り1kmの看板を見付けた。ノンストレスで歩ける距離が、たったの1kmしかないなんて……。スタートの位置取りが本当に大切なのだと痛感した。

もう終わり~!?


目標タイムでゴール

 スタートから約70分後、目標タイムで無事にゴールした。どうやら、15番目でのゴールだったようなので、怒涛の追い上げである。

 ゴールして完走証をもらい、くじ引きをしたところ、ミルクコーヒーが当たった。給食を思い出させる小ぶりな紙パックが可愛らしい。喉が渇いていたので、さっそく美味しくいただいた。

冷えたミルクコーヒーの甘さが、体に染みた。


お昼ご飯はダムカレー

 この日は、お祭りも同時開催されており、ウォーキング大会のコース途中にあったお祭りの会場には、美味しそうな食べ物の屋台がたくさん並んでいた。
 屋台のご飯を食べようと、ゴールしてから車で引き返してみると、どの屋台も行列ができていた。

 会場をぐるぐる回って悩んだ末、ダムカレーを食べることにした。

猪肉はあっさりしていて、食べやすい。

 仁多米の新米を使っているとのことで、それだけでテンションが上がった。仁多米は空気みたいに軽いのに、一口目から甘さを感じるため、好きなのだ。
 猪肉を使ったカレーは、とろっとろに具が溶けていて、ちょっと辛口なのが汗をかいた体にはちょうど良かった。しかも、私の好きなエビフライ付き!
 運動後のご褒美に相応しいお昼ご飯だった。


次回に向けて

 この後、帰路にあった温泉に寄って、少し休憩してから帰った。こういったイベントの後の温泉は、どうしてこんなに気持ち良いのだろう。何もなく入る温泉より、体がほどけていく感じがして、たまらない。

 今回、始めてウォーキングイベントに参加して思ったこと。

  • いつもと違う場所を歩くことは楽しい

  • イベントで歩くことも楽しい

  • でも、集団の中でマイペースに歩くことは難しい

 次回は、スタートの位置取りを気にしてみよう。
 もしくは、私がゆっくり歩けるように話し相手になってくれる同伴者を探すか。ただ、私の友達はだいたい歩くのが速い、詰んだ。

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