『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』|映画鑑賞日記
職場の人間関係は決して悪くないけれど、人の顔色を窺ってしまうせいで、いつもどこかビクビクしている自分がいる。
そろそろ中堅社員の入り口に立ちかけており、後輩指導のようなことをしないといけないのに、どうして良いか分からない。たぶん、なめられている。怖がられるよりはマシだと思いたい。
そんな、私から見たら後輩世代が主人公でありつつ、先輩世代の何とも言えない葛藤とシュールさも描いている、バッキバキに格好良いアクション映画を観てきた。
『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』である。
3作目にして、ようやく近隣の映画館での上映である。待っていたよ!!
若い女性のお客さんも多かったし、もっと早くから上映してほしかったけど、最高だったから許す!!
あらすじ
ゆるさ×アクション×切なさ
私が思う『ベイビーわるきゅーれ』の魅力は、ちひろとまひろが繰り広げる会話や日常生活のゆるさと、ゾクッとするようなキレッキレのアクションシーンが混在している世界観だ。
それこそ、1作目を見た時は度肝を抜かれた。高校を卒業したばかりの2人が、バイトをしながら笑い時に喧嘩をしながら生活をする微笑ましい姿に「癒される~」とか思っていたら、後半のアクションシーンのスピードと手数に、脳汁がドバドバ溢れる感じがした。
2作目は、そこに、2人が生きて笑い合っていられることの尊さや切なさが加わった。
3作目は、そういったエッセンスを残しつつ、そのバランス(配分)が少し変わったように思えた。
アクションシーンも増え、また、一度に相手をする敵の数が一気に増えた。もちろん、こちらにも先輩コンビという味方が増えた。登場人物が増えることで、個々のキャラクターが薄れるかと思いきや、かえって個々人の特性が際立っているところが面白かった。
アクションシーンの話は、自分の言語力が足りなくて、上手く言葉にできない。特に、まひろ対かえでのシーンは、誇張表現抜きに息をすることを忘れそうになったし、瞬きが惜しくて仕方なかった。これまでは、「まひろが負けるわけない」と思いながら見ていた。しかし、今回は「分からない。まひろに勝ってほしい。でも、この勝負をずっと観ていたい!」という気持ちで、スクリーンに釘付けになった。
弱さは強さ
弱い自分を許せない時がある。メンタルが弱くても、仕事ができなくても、一丁前にプライドだけはあるから、強いフリをしてしまう。一人では立っていられないのに、大丈夫なフリをしてしまう。
だから、まひろが弱音を吐いたとき、先輩のみなみが頭を下げたとき、「すごいな!」と思ってグッときた。
たまたま鑑賞前日に、勇気を出して「忙しかったとはいえ、“それは今やらなきゃだめですか?”って言ったのは、良くなかったと思う。許さなくても良いです。でも、本当にごめんなさい」と後輩に謝ったばかりだったので、みなみの謝罪には特に感情移入してしまった。
みなみは、同世代として本当に素晴らしい見本だった。悪いところも、良いところも見せてくれた。私も、あんなふうに、いざという時にサラッとサポートできる先輩になりたい。
というか、まひろ……1作目では人と関わることができない云々って言っていたのに……どんどん成長してる、うぅ……。
自分の弱さを他者に受け入れてもらうことで、自分自身もその弱さに向き合っている主人公チームに対し、一匹狼のちあきは、ただひたすらに強さを探求していった。
チームを組もうと思っても、他者を一人の人間として見ていないため、力でしか人を動かすことができない。殺す相手かどうか、でしか見ていない彼は、自分の弱さを誰にも受け入れてもらうことができない。終盤、そのことに対して彼自身がもどかしさを感じているようで、主人公チームとの差に、少しだけ可哀想になった。
映画の最初の対ちあき戦と、最後の対ちあき戦が、いろいろと反転している構造なのも良かった。
ちひろとまひろは、二人だから強いわけではない。個々の強さが、二人でいることでさらに深まった結果、個人戦がさらに強くなるのが良い。
約束するとかしないとか
1作目に、仲直りのケーキを食べようとしたところで敵から呼び出されてしまい、お預けを食らっていたイチゴのショートケーキ。
その後、きっと食べたのだろうとは思っていたが、食べるシーン自体はなかった。そして、まさかの3作目のラストで、2人がイチゴのショートケーキを食べるシーンが入ってくる。
え、ずるいよ! その映像はずるい、ちょっと泣いたじゃん。
また、2作目の最後の戦闘前に、ちひろとまひろが約束をするシーンがある。2作目の中で、何度もまひろとの約束を破ったちひろ――敵に腹を撃たれて弱気になっている――に対して、まひろが約束をもちかけるシーンだ。
ちひろの
「約束してくれるの……?」
に、うるっとしたことを覚えている。何度も破ったのに、見捨てず、まだ約束してくれるって、まひろ恰好良すぎるよね。
そして、3作目の最後の戦闘前。「向こう(死んだ先)でも遊んでほしいな」と弱気な発言をするまひろに、「まひろさん、そんな約束、私はしないよ」と静かに諭すちひろ、恰好良すぎる。
その後、「もっとマシなことを言え」と言われたまひろが生存した後のリクエストをすると、ちひろは約束を結んでくれる。
こんな良い雰囲気のシーンの後に、バッキバキのアクションシーンが始まるのだから、本当にたまらない! 好きだ!
世代の解像度の高さが怖い
前田敦子(みなみ役)の口から、「神谷浩史と小野大輔のDearGirl〜Stories〜」というワードが飛び出したときは、びっくりした。
世代の女オタクの解像度、どうなっているんだ。
私は聴いていなかったが、確かに周囲では聞いている人がいた。怖すぎる。
そもそも、2作目における上の世代組(死体処理班とマネージャー)がプリンを食べるくだりで、
「待って! ……おいしい!」
「なんで1回待たせたんだよ」
「待って! ……おいしい!」
というやりとりも、あるある過ぎてびっくりしたが、今回もまた驚かされた。
それはそうと、みなみは
「忍たま乱太郎、おじゃる丸、天才てれびくん」
と言っていたが、
「おじゃる丸、忍たま乱太郎、天才てれびくん」
の順番じゃなかったっけ?
あと、金曜日は天てれはやっていなくて、ビット君(ビットワールド)じゃなかった?