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#340 安土桃山時代の「桃山」ってどこ?

安土桃山時代とは、織田信長が足利義昭を追放して室町幕府が滅んだ1573年から、1603年に徳川家康が江戸幕府を開くまでの約30年間のことだ。

「織豊時代」や「織豊政権」とも言われるように、安土桃山時代は織田信長と豊臣秀吉が権力を握った時代だった。

室町と江戸がそれぞれ幕府の所在地を指すように、安土桃山も権力者の所在地を指している。

「安土」は言わずもがな信長が安土城を建てた都市「安土」からきている。
安土城は琵琶湖東岸にあり、現在の滋賀県近江八幡市だ。

「安土」は有名なのだが、「桃山」はピンと来ない人も多いのではないだろうか。

それもそのはず、豊臣秀吉の本拠地といえば「大坂」である。
「桃山」とは、秀吉が晩年に拠点としていた伏見城一帯の地域のことをさしている。

秀吉が築いた伏見城の跡地に桃の木が植えられたことから「桃山」の名前がつけられたと言われている。
つまり、秀吉が拠点としていた頃は「桃山」の地名はなかったのだ。

「桃山文化」という用語があるように、桃山時代とはもともと美術や建築の分野で使われた名称だったようだ。

それが転用されて安土桃山時代とよばれるようになった。
秀吉の死後、家康は伏見城から天下に号令をかけたわけだが、秀吉にとって伏見城は晩年の隠居用に築いた城だった。

江戸時代に大坂が「天下の台所」と呼ばれるようになったように、大坂城とその城下町の方が、秀吉を象徴する地域であるはずだ。
そのため、「安土桃山時代」ではなく、「安土大坂時代」と呼ぶべきではないかという意見もあるようだ。

【目次】

【参考】


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