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『私という植物を育てることに決めた』

1.はじめに

これは私が読んで心を惹かれたエッセイ本だ。

緩く素敵なイラストと共に進行していく。

身心ともに疲弊している方には是非読んでほしい書籍である。

選ばれる言葉はなんとも綺麗で美しいし、現代を生き急ぐ人には心安らかになれる、そんな書籍ではないだろうか。

私がお気に入りだと思った箇所を要約させていただく。

2.セルフバランス

自分への愛と
自分勝手を一緒にしないで。

ベストを尽くすことと
がんばりすぎて自分を抹消させる事は区別しよう。

自分を愛しても、他人への思いやりを忘れず
ベストを尽くしても、自分を大切に。

すべての関係にバランスが必要なように
自分との関係にもバランスが必要不可欠。

3.花言葉を聞く日

月曜日はフリージアのように自分に接しよう
花言葉は「あなたの始まりを応援します」

火曜日はアイリスのようにドキドキしよう。
花言葉は「うれしい知らせ」

水曜日はカモミールのように粘ろう。
花言葉は「逆境に屈しない強靭さ」

木曜日は鳳仙花のように、自分と他人を理解しよう。
花言葉は「私に構わないでください」

金曜日はマリーゴールドのように期待しよう。
花言葉は「きっと訪れる幸福」

土曜日は薄紅色のかすみ草のように楽しもう。
花言葉は「幸せと喜びの瞬間」

日曜日は散歩道で野生の花を見つけよう。
花言葉は「慣れ親しんだ自然」

あなたの一週間が花のようでありますように。
多彩な色と香りでいっぱいになりますように。

たまには自分へ花束を送ろう。

他人の言葉に耳を傾ける心の余裕がない時は
花に話しかけてみよう。
返事は聞こえないかもしれないけど、
活気と元気、そして癒しを
きっと感じられるはずだから。

4.自分の身体をいたわってこそ、自分を完全に愛せる

いくら着飾って自画自賛しても、
いくら好きなことを楽しんでいても、
自分の身体をいたわっていなければ、自分への愛は完全ではない。

外見をどんなに飾り立てても、内面を気遣わなければ、
心を正しても、かがんだ姿勢を正さなければ、
気の合う人と会えても、体調に合わせた食事ができなければ、
好きなことに全力でエネルギーを注ぐあまり、自分を二の次にするのなら、
すぐにエネルギーは不足し、感情の起伏はひどくなり、
ある日突然、虚無感に襲われるかもしれない。

軽めでもしっかり食べる朝。
定期的にきちんと飲む水や、口にする果物。
1週間に数回のランニングやフィットネスバイクといった定期的な運動。

スマホを置いて、何もしないマインドフルネス。
これらはすべて、
自分の身体と心に捧げる感謝の贈り物。

大変な何かをやり遂げたときに、手に入れたかったものを
「自分へのご褒美」にするように、
日々の小さなハードルを
飛び越えたときにも、
自分の身体を案じて、
小さな贈り物を用意しよう。

どんなときも自分の身体を大切にしよう。
それがいつまでも、
しっかりと自分を愛せる方法だから。

5.ナルシシズムというプリズム

スマホに保存された枚数の、お気に入りのセルフィー。
運動を終えたばかりの鏡に映った自分。
メイク直後やシャワーを浴びたばかりの自分。
重要な仕事を目前に控え、会社でおまじないをする自分
仕事に集中していてふと気づく、自分でもうっとりする姿。

その瞬間、私は私に恋をする。
いつも見かける誰かと恋に落ちる確率が高いように
毎日会っている自分自身と恋に落ちるのは、ごく自然なこと。
セルフィーの方が誰かにとってもらった。写真より良いのは当たり前。
誰よりも長く私を見てきた、私を知り尽くし、愛する人、
そう、「まさに私自身」が撮ったのだから。
セルフィーのように私以外誰も知らなくて、自分でも見慣れない感じのする、
私だけが見つけることのできる、
自分自身の惚れ惚れする外見と内面の美しい様、
そんな素敵な自分を発見する能力は潜在力を覚醒させる。
ナルシシズムは自分を愛するように仕向け、
自分のお気に入りの姿を記憶させ、もっと良い姿になる活力をつくる。
自己愛と言うフィルターを通して自分を覗き込めば
そこには自分の無限の可能性と美しさが広がっているだろう。

ある日突然、自分を好きだと思わなくなったら、
その理由を見つけ出して、もうちょっと優しく自分に接してみよう。
あまりにも完璧になろうとした?
人と比べてばかりいたのでは?
本当は大した事でもないのに、ずいぶん執着してなかった?
人に配慮するのに気を取られ、自分をほったらかしにしてた?

大切なのは「自分自身」。
だからまた自分を愛する元気が出るように、
優しく穏やかな心でいよう。

張り詰めた緊張感で、竹野未来のように強ばった心心ではなく、
アスパラガスの葉のように、
しなやかな身体と気分になれるよう努力しよう。
あなたが美しく素敵だった瞬間、大小の達成感を味わった瞬間、
そんな成長がなくても幸せを感じられた瞬間を、
そして、誰かを幸せにできた瞬間を、ずっと心に留めておこう。

完璧主義者ではなく、恋人の目で、3歳児のママの目で、
甘すぎるかもしれないけど、いつでも味方だと言う目で
自分自身を見つめ、信頼しよう。
自分が美しい時に自分を愛するのは難しくない。
ちっぽけなミスや大きな失敗をした時にも、
新たな美しさを絶えず発見してくれるナルシシズムを大切にしよう。

「私」ファンクラブの会員になろう。
自分が自分の最初で最後の愛になろう。
愛する力も、結局のところ、愛する心から湧き出すのだから。
毎朝鏡を見るように、自分をうっとりさせるナルシシズムと言うプリズムで、
時々自分を見てあげよう。

6.片手にはコーヒーを、もう片方の手には羅針盤を

自分を十分に愛していないとき
誰かに愛されたいと望むようになる。

自分を十分に愛しているなら、
誰かの視線など特に気にしなくなる。


しょっちゅう人の目が気になるなら、
誰よりもまず自分とたっぷり向き合って
あなたが好きになれる自分を見つけて褒めてあげよう。
他人をすぐに褒めるように、自分を褒めよう。

鏡の中の、少し短い首のLINEばかり見るのではなく、
すべすべのお肌を褒めてあげよう。
顔のつぶつぶだけでなく、
彫りの深い目元にも注目してあげよう。
一日を振り返るとき、転んだことを悔やむのはやめて、
また立ち上がれたことに大きな拍手を送ろう。
出現を吐いてしまっても、
必要な沈黙を守ったことも覚えておこう。

もし自分に気に入る点が見つけられなかったとしても、
がっかりせずに、気に入る努力をしてみよう。
自分を好きになるためにセルフガーデニングで育ててあげよう。

だけど、誰かに気に入られようと
がんばりすぎているのなら、
そんな頑張りは必要ない。

散歩、おしゃべり、今日の食事みたいな幸せを楽しむと、同時に
明日の夢のために何かを我慢したり、続けてみたりもしてみよう。
片手にコーヒーを、もう片方の手に羅針盤を持とう。
そして歩き続けよう。
自分を好きになれる方向に少しずつ進んでいこう。

最高に素敵になるための
最初の一歩は
自分をもっと好きになること。

本当に心から自分を好きなら、
不格好な姿だって愛せるようになれるはず。
そうやって、
素敵な自分に近づいていく。

7.しょっちゅう時間を無駄に使おう

ゆったりとお風呂に入り、30分つかろう。
お休みの日は、朝早く目覚めても、二度寝しよう。
不器用な店長が入れるハンドドリップのコーヒーを待ってみよう。
明日には溶ける雪だるま作り。
失敗したクッキーをもう一度焼いてみる。
趣味の絵を、描いては消し、また描いては消す。
40枚ぐらいセルフィーを撮って、意味なくさらに20枚。

何もせず、何も考えず、入道雲の下でダラダラしよう。
恋人と電話しながら、
同じ道を何周もぐるぐる歩いて無駄に時間をつかおう。ネイルが全部乾くまで、顔にパックが完全に馴染むまで時間の無駄遣い。

北風なのか東風なのか、どの方角から吹く風なのか当てる。
最後の打ち上げ花火が上がるまでじっと待つ。
もっと大きくもっと消えないシャボン玉が作れる水と石鹸の比率を考える。
毛糸で猫をずらす。
ゆっくり歩くかたつむりをぼーっと観察する。
ミラン・クンデラの本を読みかけてうとうとする。
35回めの逆立ちに挑戦する。

幻想的な写真が撮れるマジックアワーになるまで、湖で時間を無駄遣い。
ソファーに横になり、同じ歌を何十回もヘビロテして時間を無駄遣い。

ロマンチックに、創意的に、実験的に、意図的に、独立的に、非論理的に、
人間的に、植物的に、犬や猫のように、パンダやナマケモノのように、
本能的に、芸術的に、情熱的に、または究極に怠惰に、
時間の無駄遣いをしよう。

単に誰かの真似ではなく、独自の方法で、
暇を見つけては時間を無駄に費やそう。

自分でも気づかないうちに、1分1秒を惜しむことになれ、
時間をケチるようになってしまった私たちは、
空っぽの時間を前に戸惑ったり焦ったりしてしまう。
でも、時間を無駄遣いする事は、人生を無駄に過ごすことじゃない。
ひょっとすると私たちは、もっと無駄な時間が必要なのかもしれない。

そんな時間を過ごせば、もう少し心が空っぽに、あるいは満たされて、
もっと優しくよく笑う自分、もっと奇抜、で溌剌とした自分、
思いがけない自分、
つまりは、自分らしい自分に出会える。
もっと好きになれる自分に出会える。
だから、時間の無駄遣いをしよう。
自分にもう少しだけ、好きに料理できる素材のままの時間をあげよう。

8.セルフガーデニングとしての読書

  1. 読書は
    時間と場所を自由に行き来できる
    いちばん手軽で簡単な
    セルフガーデニング。

  2. 読書のメリットの一つは
    あなたの変化が、
    見た目では誰にも
    わからないということ。

  3. 本の残りのページが少なくなるにつれ、
    人生の残りのページが豊かになる。

9.人生が終わったと思えるときも

終わるのは
人生の「一部」であって、
人生そのものではない。

そして、
私たちには人生の
「第二部」が待っている。

10.恐れは位置エネルギー

成功の大きさは、
それを始める前に
近づいてくる恐れの大きさで予想できる。

恐れが大きいほど成功も大きい。
だから怖い時ほど初めて見るのだ。

恐れと言う重くのしかかる感情は、
あなたの望む場所に軽やかに導いてくれる
位置エネルギーになる。

11.最後の最後まで愛らしくいられる人

区別がつかないことと、純粋さを失わないことを錯覚して
分別のない大人になることがある。

権威あることと、権威的なことを錯覚して
嫌なお年寄りになることもある。

ここで最悪の組み合わせは
分別がつかない権威的な大人、まさに分別のない嫌なお年寄り。

人間は、生きてきた時間に比例して、自然に良い人間になったりはしない。
頑固に悟ろうとしないなら、分別はつきにくく、
頑固に頭を下げないなら、嫌なお年寄りになってしまう。

聡明で清らかな大人になるためには、
サラダを食べるように、スキンケアをするように、
運動をするように、新たな趣味を持って楽しむように、
地道な努力が必要だ。

気をつかって姿勢を正して座るように、
心を尽くした美しい態度が必要だ。

輝いた目で世界を眺める好奇心、
他の人が自分より優れた考え方ができると言う謙遜、
話し始める前に、まず他の人の話を聞く品位、
誰かを皮肉るユーモアではなく、共感が込められたユーモア、
むやみな物言いではなく、むやみな接し方ではなく、丁重さにも似た美しい姿勢。
そのあり方に、
長い歳月努力して手に入れた、実としての人生における
深い洞察力が加えられるなら、
ついには尊敬に値する大木のような人になれる。

生まれたときは何の努力をしなくてもかわいいけれど、
最後の最後まで愛らしくいられるためには、
数え切れない努力が必要だ。
それが歳月に対するもの。

そして
最後まで愛らしくいられる人は、
ただのおじいさん、おばあさんになるのではなく、
どんな人とでも友達になれる。

+反対に、若くてもかわいさゼロの人もいる。
分別のない嫌なお年寄りは年齢と関係なく見かける。
自分でも気づかずひょっこり顔を出す、自分の中の嫌な老人を警戒しよう。

12.さいごに


私はこの丁寧な言葉の紡ぎ方が素敵だなぁと思った。

無駄を無駄でないと思える心は素晴らしいし、無駄こそ人生に大切なことなのだと再度学ばせてもらった。

時間に追われる生活ではなく、むしろ追っていく生活が憧れになった時間だった。

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『私という植物を育てることに決めた』
文:キム・ウンジュ
絵:ウォーリー・ラインズ
訳:小笠原藤子
出版:Discover

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