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カウンセリングれぽ(EMDR編)-⑨ タイムスリップ

カウンセリングについて書くのが本格的にきつくなってきた
最近の症状の出方として意欲減退もあるので、億劫というのもあるけど、書こうとすると胸がくるしい。
だからなかなかリアルタイムの更新は難しいけれど、EMDRについての情報や、自分なりに感じたことをある程度きっちりした形で残したいのでがんばります。
あと、今回からサブタイトルを付記することとなりました。どうぞよろしくお願いします。

9回目もあまりやることは変わらず、古典的なカウンセリングのような形を継続している。過去にあった被害妄想や、醜形恐怖や、そういったことをわたしが詳しく話す。そしてカウンセラーが掘り下げたり、質問をする。これをひたすら繰り返している。
こんなにシンプルな構造で大丈夫かと不安にもなったりするのだけど、終われば結局実りがあるし、次に話すことが見えてくる。
思い立って話すだけなら堂々巡りにもなりそうだけど、不思議とそんなこともない。
これはれぽ⑤で行った、今のところ唯一のEMDRの影響も大きいかと思う。
あのあとから嫌な記憶の交通整理が行われたような感じで、なんて表現すればいいかわからないけど、脳内がちょっと簡単になった、そんな感じがする。

これまでの話を掘り下げてまとめてみると、問題の核は家庭環境と、被害妄想と、恋愛の傷(および中高生の時代に女性が怖かったこと)の3本の筋が残って、それらは相互干渉していそうだというのがカウンセラーの感想。
で、それらに都度タイムスリップしてその体験をしていることが「何か」(希死念慮を含めた何か)に繋がっているというのが今の見立てだ。

タイムスリップについては生野信弘医師の「聴心記」より引用をしておくので、周りにASDがいる・自身がASDであるという方はぜひ参考にしてほしい。(注・PDDとは、広汎性発達障害のこと)
(このブログが隅々まで正しいと思うわけではなく、タイムスリップの記述について詳しく書かれていてわかりやすかったため引用するのでブログ記事すべての信ぴょう性については当然ながら保証しかねるので注意してほしい)

これまでにもPDD者における「フラッシュバック」現象は報告され、とくに杉山のいうタイムスリップ現象は著明である。
彼はその特徴を、

①もともと優れた記憶能力を持つ、知的に高い、しかし不安定な自閉症の症例に見られ、

②感情的な体験が引き金となって、過去の同様の体験が想起され、

③その過去の体験をあたかも現在の、もしくはつい最近の体験であるかのように扱い、

④その記憶体験は、健常者においては一般に想起することのできない年齢まで遡ることがある

点に見出し、その上で境界性パーソナリティ障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)における同様の現象の現象との比較をも試みている。

広沢. 高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群)と解離. in 柴山・編『解離の病理』岩崎学絀出版社

自閉スペクトラム特性の強いある患者さんは、今の上司ではない以前の上司とのやりとりが急に思い出され、「あの時、こんなことを言われて嫌だった」「あの発言は、こんな意図があったのではないか」、などのシミュレーションを頭の中で繰り返すようになったとおっしゃっていました。
本人は「フラッシュバック」と表現されていましたが、感情に不意に圧倒されるフラッシュバックと異なり、観念や心像の「強迫反芻」のような状態で「タイムスリップ」現象と考えられました。
別の患者さんは、頭の中で以前のやりとりが再現され、「頭の中の声と話してしまう」「他の人との会話しているときでも頭の中で場面が再現されて声が聞こえ、その声と会話をしてしまうので、現実の相手の声が聞き取れなくなる」と話されていました。
自生思考や思考化声など統合失調症に似た状態ですが、これは解離を伴うタイムスリップと考えられました。別の患者さんは、頭の中で以前のやりとりが再現され、「頭の中の声と話してしまう」「他の人との会話しているときでも頭の中で場面が再現されて声が聞こえ、その声と会話をしてしまうので、現実の相手の声が聞き取れなくなる」と話されていました。

自生思考や思考化声など統合失調症に似た状態ですが、これは解離を伴うタイムスリップと考えられました。
トラウマの再体験症状とフラッシュバック』で説明した「再体験症状」や「フラッシュバック」とは異質の、自閉スペクトラム症(ASD)の「タイムスリップ」は、柴山先生のおっしゃる「白昼夢型表象幻視(健常者にもみられる)」に近いものではないかと考えられるのです。

生野信弘先生ブログ「聴心記」 > トラウマ関連 > タイムスリップとフラッシュバックと解離

ずーっと頭のなかをぐるぐるするという意味では、繰り返し音楽が流れるイヤーワームという現象もあるが、それの体験バージョンがタイムスリップなのだろう。
ASDの脳のつくりがそのようにできている、ということなのだろうと思う。


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