18:大好きだった人へ

綺麗に丁寧に時間をかけてメイクした顔をクレンジングで落としていく。朝とは正反対の顔をしたわたしが鏡に映る。今日のために新調したワンピースも朝はやく起きてふわふわに巻いた髪もきみの瞳には映らなかった。映れなかった。きみと会うための努力はきみにとっては些細なことで、なにも分かっていないなと思った。こんなに可愛らしいわたしをみられなくて残念だね。恋をすると女の子は可愛くなるなんて言うけれどわたしはボロボロになっただけだった。心も身体も。精神的な傷は身体も壊してしまった。もしかしたら恋じゃなかったのかも。恋ってなんだっけ。素敵な景色をきみと見たいと思ったの。美味しいご飯屋さんをみつけたら次はきみと来たいなって思ったの。すごくすごくありきたりだけど、わたしにとってそれが恋でたしかにきみに恋をしてた。今日は会えるかなってどきどきして、会えた時のために可愛くいようと思って毎朝早起きしてた。きみの可愛いに当てはまるかはわからなかったけど自分に自信のある可愛いで会いたかった。でもちょっと子供だったのかな。少女漫画の読みすぎかも(笑)。きみがくれる「可愛いね」も「特別だよ」もぜーんぶ信じて浮かれて舞いあがって、だけど彼女にはしてくれなかったよね。もうやめにしようと思うんだ。これ以上は心がすり減って壊れちゃう。きみはわたしを大事に想ってくれる人じゃなかった。大切にされていないことに今更気がついて絶望した。だからもう会わないよ。ばいばい大好きだった人。

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