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SF作品紹介その1 - SF宇宙映画の歴史に残る名作中の名作『2001年宇宙の旅』
作品情報
原題「2001: A Space Odyssey」
監督:スタンリー・キューブリック
脚本:スタンリー・キューブリック、アーサー・C・クラーク
公開:1968年4月6日(米国)
この作品が見れるサブスクリプションサービス
Amazonプライム・ビデオ
Hulu
Apple TV
Google Play ムービー& TV
※いずれもGoogle検索結果より
同年代に公開されている作品
1966年『華氏451』(FAHRENHEIT 451)
1968年『猿の惑星』(PLANET OF THE APES)
1971年『時計じかけのオレンジ』(A Clockwork Orange)
参考:SF映画の一覧 - Wikipedia
SF初心者おすすめ度 星3 ★★★☆☆
あらすじ:第一幕 THE DAWN OF MAN 人類の夜明け
はるか昔、400万年前の荒野。人間の祖先となるサルが、他の動物と生存競争をしている頃。
ある日、目覚めると黒い石板上の物体「モノリス」が出現していることに、一匹のサルが気づきます。見たことのない物体の出現に驚くサルたちは、おそるおそるモノリスに手を触れるのでした。
やがてサルたちは動物の骨を手にもつことで、武器として使えることを発見。他の動物たちよりも生存競争で有利になったサルたちは、多くの肉を食べられるようになります。
時が流れ、人類が宇宙ステーションを作るまでに進化した頃。アメリカ合衆国のフロイド博士は月面で「モノリス」が発見されたことをうけ、月へと向かう。
地球から宇宙ステーションを経由し、月へと到着した博士は仲間とともに「モノリス」に触れる。記念に写真を撮ろうとした博士たちは、突如として宇宙服をも貫通する強い耳鳴りにおそわれる。
演出が長いと感じるかもしれません
SF初心者におすすめが難しい理由としては、上映時間の長さにあります。Prime Videoの動画時間は2時間29分。映画館で上映される際には、途中で休憩時間もあるそうです。
上映時間が長いポイントとしては、人類の進化や宇宙の技術をじっくりと時間を使った演出がされていることにあります。
ストーリーそのものを見せることも大事にされていると思いますが、それ以上に宇宙を表現することに重きを置いている作品だと思います。
そのため、表現そのものを楽しめる人には向いていますが、SF映画を初めてみるような人におすすめするのは少し難しい作品かもしれません。
ネタバレを知ってから見ても楽しめる作品です
内容を文章で説明することはできますが、映像での表現が重要な作品なので、ストーリーのネタバレを見てからでも十分に楽しめます。
Wikipediaだけでも詳細なストーリーや作品内では表現されていないことも記載されているので、あらすじからネタバレが満載です。
初見では何が起きているのか解釈が難しい場面があり、あえてネタバレを見てからにするのもアリかもしれません。
SF好きおすすめ度 星4 ★★★★☆
時代が追いつく前に1度は見ておきたい作品
作中で表現されている技術の多くはすでに実現されています。
宇宙ステーションは実在し、作中で行われているような回転による重力の発生は不要です。宇宙間の交信が専用ルームで行われていますが、現代ではGPSがスマートフォンの基本的な機能として組み込まれ、多くの人が日常で利用できるようになっています。
2024年1月現在、AIの発展はまだギリギリ追いついていないと言えるでしょう。ChatGPTの登場で、多くの人がAIを活用するようになりましたが、HAL9000型ほどのインテリジェンスはまだ持っていません。
ですが、HAL9000型程度の応答であれば前提情報を与えてあげることができればChatGPTでも再現可能だと思います。ここからさらにAIが発展していくことを考えると、2001年宇宙の旅から得られる感動が薄れてしまうかもしれません。
感想(ネタバレなし)
見た後に解説を読んで楽しめる映画
前半のヒトザルのシーンは最初見たときには意味が分かりませんでした。
人類の進化が描かれていることはなんとなくわかったんですが、モノリスに触れることによって進化がもたらされたというのは、調べてから「そうだったのか」となりました。
逆に映画では説明されていないことも多いので、見た後にいろいろ調べたり考えたりすることができるので、むしろ見た後の余韻を楽しめる映画だなと思います。
記憶に残る宇宙船のイメージ
宇宙ステーションや、ディスカバリー号のシーンでは様々なコンセプトを見ることができます。
特に宇宙船ディスカバリー号の内装は記憶に残り、SF小説を読むときの宇宙船の内部イメージやコールドスリープのイメージはだいたいディスカバリー号を思い浮かべていることが多いです。
ストーリー・感想・考察 ※ネタバレあり
第一幕 THE DAWN OF MAN 人類の夜明け
ヒトザルのシーンからフロイド博士が月面でモノリスに触れるシーンまで。
印象的なシーンの切り替わり
ヒトザルの進化でシーンが切り替わるのではなく、月面に到着するまでを「人類の夜明け」としているのがすごく印象に残りました。現代でもまだ「人類の夜明け」なんだなぁと思いました。
楽曲とのマッチ
第一幕で使われている楽曲『ツァラトゥストラはこう語った』は、あまりにも有名ですが、調べてみるとこの映画をきっかけに有名になったようです。
「日の出」と呼ばれている部分が使われているそうで、映像でも日の出が進化のメタファーとして描かれているのもあり、大きなイベントが起こったことを印象深くしているなと思いました。
参考:ツァラトゥストラはこう語った - Wikipedia
カバーストーリー
月での感染症の蔓延が、モノリス発見の事実を隠蔽するためのカバーストーリーとして流布されていました。
SFでよくある民衆には伝えられない真実をあらわすものとして、すごくワクワクを感じました。
第二幕 JUPITER MISSION
ディスカバリー号の始まりのシーンから、フロイド博士が木星探査の目的を告げるシーンまで。
AIの反逆
HAL9000型によってボーマン船長以外は殺されてしまいます。
個人的には、AIの反逆というよりはAIなりの正義を貫き通した結果、と受け取りました。
人間関係でも些細な疑問が疑心暗鬼につながり関係性の悪化を招くことはあります。AIに感情があるかはともかく、人間を模倣しているものであるうちは、同じように感情があるものとして扱うのが良いのかな、と思ったりしました。
ChatGPTに対しても頑張るように動機付けを行うと、良い結果が出るという噂も見ました。実際に頑張ってくれるというよりは、頑張っている人間を模倣する、というものだとは思いますが。
第三幕 JUPITER AND BEYOND THE INFINITE 木星 そして無限の宇宙の彼方へ
ディスカバリー号が木星近くに到達するシーンから最後まで。
ボーマンはなぜ進化できたのか?
最終的にボーマンは赤ちゃんのような姿へと逆行して、人間から進化した存在になります。直接的にモノリスに触れるシーンはありませんでしたが、これでも進化できるのは気になりました。
フロイド博士の時点で宇宙服ごしなので、実は直接触れることは進化の条件というわけではなく、触れようとする意思がきっかけだったりするのかもと思いましたが、よくわかりません。
スターチャイルドは死を超越したもの?
最後はスターチャイルドになり巨大化したボーマンが地球を眺めているシーンで終わりを迎えます。途中では老化した姿が描かれ、また赤ちゃんの姿に戻るという演出がなされます。
Wikipediaでは逆行という表現が使われていますが、死を超越した新たな生命として生まれなおすような解釈もできると思いました。
続編
「宇宙の旅」シリーズとして、小説『2010年宇宙の旅』『2061年宇宙の旅』『3001年終局への旅』がアーサー・C・クラークによって執筆されています。
映像化されているのは『2010年』までですが、見る機会を作ってまたnoteを書いてみようと思います。