社会劇でもあり家族劇。演劇というビビッドな手法であぶりだした沖縄の焦燥感…★劇評★【舞台=hana-1970、コザが燃えた日-(2022)】
復帰2年前の沖縄で、それまで積もりに積もった米軍への怒りと不満が、交通事故をきっかけに、後に「コザ暴動(沖縄の人々はコザ騒動、コザ事件などと呼ぶ)」と呼ばれることになる騒乱に発展した出来事の裏で、そうした社会の矛盾や対立、混乱がしわ寄せやプレッシャーのかたちをとって現れる家族や個人もまた多くの葛藤の中で生きていたことは明白な事実だ。社会劇であり、家族劇であり、人間劇であるこの物語を、演劇というビビッドな手法でじりじりとした焦燥感と共に舞台「hana-1970、コザが燃えた日-」に集約させたのは、日本屈指の精緻な構築力を持つ栗山民也の演出と、問題の本質を圧倒的な言葉の海の中に浮かび上がらせる巧者として知られる劇作家、畑澤聖悟の脚本。舞台版「母と暮せば」でも強力なタッグを組んだ2人が社会に翻弄された家族のあり様を描く土台の上で、近年ますます表現力が増している松山ケンイチと演技に見どころの多い岡山天音が、深みのある演技に味がある余貴美子や神尾佑のしっかりとした支えを得ながら舞台で躍動している様は大きな心の震えを感じさせるに十分だ。(画像は舞台「hana-1970、コザが燃えた日-」とは関係ありません。イメージです)
舞台「hana-1970、コザが燃えた日-」は2022年1月9~30日に東京・池袋の東京芸術劇場プレイハウスで、2月5~6日に大阪市の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで、2月10~11日に宮城県多賀城市の多賀城市民会館で上演される。
なお、東京での1月21~23日の公演は、定期的に実施している新型コロナウイルスのPCR検査で公演関係者の中に陽性が疑われる結果が出たため、21日の夜公演、22日の昼夜公演、23日の昼公演が中止された。しかしながらあらためて医療機関でPCR検査を受けたところ、陰性と判明。このため公演は24日の休演日明けの25日から再開している。
中止公演の払い戻しなどについては公演情報のページで発表されます。
★舞台「hana-1970、コザが燃えた日-」公演情報
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