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<エンタメ批評家★阪 清和>ストレートプレイ劇評セレクション

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阪 清和が発表したストレートプレイ演劇に関する劇評をまとめました。音楽劇を入れるかどうかはその都度作品ごとの内容を吟味して決定します。さあ、あなたも演劇の深遠な世界へ! ジャニー…
「不要不急」か「人生の宝物」か。そんな議論をしている暇があれば、演劇を観てください。日本の演劇はい…
¥777
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記事一覧

心の中のざわざわを抱えたまま日々を生きる人々。危なっかしい、なのに誰もが何だか愛…

 どんどんこっちに向かってきているはずなのに、いっこうに近付いてこない気がする。だけど、…

300

多層的な意味合いの光を乱反射のように拡散させながら、らせんのように観客の心に深く…

 子どものころから、中に何が入っているのか分からない福袋が嫌いだった。いまは中身が予告さ…

200

舞台中のすべての要素が走り続けている。野田秀樹が何度も追い掛け続けるのは答えが出…

 野田秀樹の戯曲はすべてのせりふや身体表現が互いに共鳴し合って、全体でひとつのメロディー…

300

歌舞伎町の複層的な歪みと猥雑さが観る者を戦慄の渦に巻き込む…★劇評★【舞台=ふく…

 松尾スズキの芝居は「悪」が輝いている。いやしかし、それはニヒリズムやダークヒーロー礼賛…

劇団のスタイル決定づけたiakuの「流れんな」。広島弁での再演で登場人物たちの焦燥感…

 小劇場系の劇団が初めて自主公演のために書き下ろした作品は劇団にとって思い出深いものだが…

100

日本の選択をめぐる魂を削るような日々、重厚な会話劇に生き生きとしたリズム…★劇評…

 私たちは現在の時点から歴史を見ているから、何でも好きなことを言えるが、その歴史の時々に…

300

法律との向き合い方を強烈に描いたこの作品は、あらためて描かれた時代も書かれた時代も超越した戯曲なのであるということを鮮明に示した…★劇評★【舞台=夢の泪(2024)】

 井上ひさしがそれ以前から強烈な関心をもっていたに違いない東京裁判。ミレニアムの2000年に当時新国立劇場の演劇部門芸術監督だった演出家、栗山民也からの「20世紀に日本が得たもの失ったもの」をテーマにしたオファーに井上が構想を打ち出した「東京裁判三部作」の第1弾「夢の裂け目」(2001年初演)に続いて第2弾として2003年に発表したのが舞台「夢の泪」だ。その後発表された第3弾の「夢の疵」と合わせ三部作一挙上演として新国立劇場の制作で2010年に上演されているが、井上の作品を生

¥300

福地桃子の演技や存在感は清新さにあふれ、千尋の魅力を再認識させてくれる…★劇評★…

 少女は夢見る間に成長する―。「忘却」という装置によって、夢も幻も架空かもしれない世界も…

300

チェーホフ劇のような人生の情感と悲哀漂う空間の中に上質な時間が流れる稀有な一作に…

 さらさらと毎日が流れていくようなさりげなさの中で個々の登場人物が抱えているものがそれな…

300

死に際しても創造への情熱を途絶えさせない寺山修司の意思の生命力をリスペクトやオマ…

 就職して東京で暮らし始めたころ、中央線の電車の車窓から毎日、阿佐ヶ谷の、ある大きな病院…

源孝志が縦横に張り巡らせた戯曲と蓬莱竜太の大胆な演出によって時を超えて結びついた…

 新聞記者時代に3年以上の長きにわたって毎月、蜷川幸雄さんにインタビューをさせてもらって…

300

英語と鹿児島弁が飛び交う中で字幕さえも重要な役割を果たす斬新な舞台。新たな傑作の…

 活動初期には劇団を主宰してきたこともあって「12人の優しい日本人」など群像劇を得意として…

250〜
割引あり

北村想の哲学的な世界観が草彅剛の包容力のある役者としての魅力とも相まっていっそう…

 北村想の書く戯曲は宇宙だ。さまざまな理(ことわり)で精緻に組み合わされた世界のようでい…

250〜
割引あり

老優役西川明の奥行きのある演技、数々の仕掛けが融合して、得も言えぬ心の震えを禁じ得ない作品に…★劇評★【舞台=巨匠 ―ジスワフ・スコヴロンスキ作「巨匠」に拠る―(2023)】

 俳優にとって、俳優であるということはどういうことなのか。演劇の真の意味とはなんなのか。重く深い問いを突き付けてくる劇団民藝の代表的作品「巨匠」が13年ぶりに再演されている。死と引き換えにでも俳優であることを認めてほしかったある老優の魂の絶唱。死ぬことは生きること、演じることは生きること。新たに老優役に起用された劇団の重鎮、西川明の奥行きのある演技と、この作品を演劇の根源を探る哲学たらしめる数々の仕掛けが融合して、得も言えぬ心の震えを禁じ得ない作品に仕上がっていた。(写真は舞

¥150〜
割引あり