マガジンのカバー画像

<エンタメ批評家★阪 清和>ミュージカル劇評数珠つなぎ

126
阪清和が発表したミュージカルに関する劇評をまとめました。ジャニーズ関連のミュージカルはここには収容しません。音楽劇を入れるかどうかは作品ごとに判断します。
いま大きな注目を集める日本のミュージカル。臨場感あふれる数々の劇評をお読みいただき、その魅力を直に…
¥777
運営しているクリエイター

2025年1月の記事一覧

未来へとつながる「レ・ミゼラブル」、記念の公演に集う精鋭らのフルパワーの奮闘を堪能、実力示した飯田洋輔、またひとつ成長した生田絵梨花の歌唱力…★劇評★【ミュージカル=レ・ミゼラブル(飯田洋輔・小野田龍之介・生田絵梨花・ルミーナ・山田健登・加藤梨里香・染谷洸太・樹里咲穂・小林唯出演回)(2024~2025)】

 今の時代を生きている人は、その時代を作り上げるためにそれまでのすべての時代の人がどれだけ努力をしたか、どれだけ命を懸けて突き進んだかを知らない。かつての時代を生きた人々は、遠い未来にどんな社会が到来しているかを知らない、いや、知る由もない。しかし人々はその時々の社会やその人に与えられた一度きりの人生を懸命に生きながらも、自分や周りの人々が少しでも幸せになるために小さな石を積み上げていくのだ。そんな、互いのことを何も知らない人々同士が実はつながっているのだということを心の底か

¥300

洋の東西を問わない人間の愚かさと、それでも感じざるを得ない愛おしさを物語の中に織り込んで、人の営みの深淵を見せつけてくれる…★劇評★【音楽劇=天保十二年のシェイクスピア(2024)】

 下総での侠客同士の勢力争いをベースに小説、講談、浪曲、歌舞伎と展開した日本人が大好きな物語「天保水滸伝」をベースに、現代に名を遺す稀代の戯作者、井上ひさしが、欧米演劇のルーツのひとつであるシェイクスピア戯曲のせりふやストーリー、要素を遊び心たっぷりに取り込んだ舞台「天保十二年のシェイクスピア」が、若き俊英、藤田俊太郎の演出によって新しく生まれ変わってから4年。待望の再演で、あらためて私たちの胸に迫ったのは、そのあくなきサービス精神と知的探求心の奥深さ。戯曲、音楽、演出、役者

¥300