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<エンタメ批評家★阪 清和>ミュージカル劇評数珠つなぎ

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阪清和が発表したミュージカルに関する劇評をまとめました。ジャニーズ関連のミュージカルはここには収容しません。音楽劇を入れるかどうかは作品ごとに判断します。
いま大きな注目を集める日本のミュージカル。臨場感あふれる数々の劇評をお読みいただき、その魅力を直に…
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2019年4月の記事一覧

連続的、俯瞰的に見ることで感じる音楽座ミュージカルの魂のありか…★コンサート評★【コンサート=SO-KATSU(2019)】

 音楽座ミュージカルは日本発のオリジナルミュージカルを中心として、数々の作品を生み出してきた。しかも新作だけではなく、多くの作品を磨き上げて劇団のレパートリーとして定着させる再演もたびたび行って来た。実験的な作品にも果敢に挑戦する集団である。ひとつひとつの作品は知られていても、そんな音楽座ミュージカルの作品を横断的に見て、その歴史を感じられる機会はめったにない。その貴重な機会が、去る3月についに実現した。コンサート形式で上演されたステージ「SO-KATSU」は、昨年開催された

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物語の核にあるものを演劇的な多彩な表現によって明確に浮かび上がらせている。再演に新しい魅力…★劇評★【音楽劇=ライムライト(2019)】

 4年前に世界で初めて舞台化されたチャーリー・チャプリンの名作映画『ライムライト』。その世界初の舞台化を成し遂げたほかならぬ日本のカンパニーが、待望の再演公演で再び感動の嵐を巻き起こしている。音楽劇「ライムライト」は、その物語の核にあるものを演劇的な多彩な表現によって明確に浮かび上がらせ、石丸幹二ら人間の奥深い魅力を描き出せる演技力を持つ俳優たちの繊細な表現によって得がたい余韻を残す作品に仕上がっている。初演を磨き上げただけでなく、新しい魅力も付け加えており、音楽劇としての完

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純粋な魂をより純度高く磨き上げるような壮大な作品に結実…★劇評★【ミュージカル=笑う男(衛藤美彩出演回)(2019)】

 「レ・ミゼラブル」や「ノートルダム・ド・パリ」など傑作ミュージカルにつながった名作小説を数多く発表したヴィクトル・ユゴーの作品は、物語をきれいにまとめたり、説教的なお話を押し付けてきたりすることなく、人間の残酷さや醜さ、社会の冷徹さなどを包み隠さず盛り込み、それが登場人物らの持つ純粋な魂をより純度高く磨き上げるような壮大な作品に結実していることが多いが、連日大きな歓声を持って迎えられているミュージカル「笑う男」はユゴー作品の中でもとりわけその要素が大きく、徹底して繊細な表現

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