未来展望委員会は、コロナ禍から始まった「場と時間」の構造変化を体験する
「場と時間の構造変化が、未来展望の論点なんですね」
前回の未来展望委員会では、社会文化研究家の池永先生から、コロナ禍から進む構造変化の本質は「場と時間」革命だと聴きました
コロナ禍を契機とした「場と時間」の構造変化の前は、船や鉄道や自動車や飛行機などの輸送技術の進歩によるヒト・モノの「物理的移動革命」であり、時間の構造変化でした。現在、東京と大阪は新幹線で2時間半の移動時間ですが、江戸時代はどれくらいの時間がかかったと思いますか?
「歩いていたんですよね?1週間くらいですか?」
江戸時代の日本人は、江戸と京の492㎞を13日から15日かけて歩いていました。飛脚は3~4日で走ったと言われています。ここでちょっと寄り道をします。移動における江戸時代の日本人と現代の日本人の感覚がどう変わったかをお話します
このように技術によってつくりだす便利さは、人間のチカラを後退させることがあります
「東京と大阪間の移動時間が短くなった半面、失ったことがあるということですね」
つい忘れてしまうことですが、認識しなければなりません。話を元に戻します。2020年のコロナ禍の行動制限のために、それまであったIT・デジタル技術を活用した「テレワークやオンラインビジネス」が一気に動き出して、空間と時間革命を進めていくことになりました
「それが、『場と時間』の構造を変えたんですね?」
そうです。オンライン・テレワークによって、会社には行かない日は通勤時間と会社での残業、夜の飲み会がなくなり、「自分時間」が倍増しました
かりにある人が通勤・通学時間の片道に1時間半かけていたとしたら、自分時間は1日3時間増えます。1日24時間から会社・学校に関わる時間や睡眠時間をのぞいた自分時間が、1日6時間から9時間になります。1.5倍も増えます。とてつもない自分時間革命が、コロナ禍を契機に進んでいます。自分時間が増えました。
「たしかにコロナ禍で、自分時間が増えました」
皆さんは、増えた自分時間をどう使いましたか?
「自己啓発です」「読書する時間が増えました」「資格取得の勉強時間が増えたかな」「仕事です…?」と、未来展望委員会の若手社員4名がそれぞれ答えました
コロナ禍のなかで時間について調査された結果を読むと、コロナ禍前とコロナ禍では大きく変わっています
「正直いうと、私も動画コンテンツを観る時間が増えました」と未来展望委員会のメンバーが話しだすと、「実は私も」「私も」「私も」と盛りあがりました
増えた自分時間がすごく意味があります。個人とすれば、自分時間は、自分なりに使いました。企業からすれば、人々の自分時間争奪戦でした。ここで新たなビジネスが生まれました。ビジネスチャンスが生まれました。それは現在も生まれ、変化しつづけています
そしてもうひとつ重要な話があります。社会的価値観が変わりつつあります
コロナ禍のなかの家で、人々は家族とともに「濃密な時間」をすごし、「親と子とはなにか、家族とはなにか、働くとは、会社とは、学校とは、地域とは、生きるとはなにか」を考えるようになり、「社会的価値観」が変わろうとしています
この社会的価値観・意識の変化が、暮らし方、働き方、学び方、遊び方、生き方という「生活・行動様式」を変えていこうとしています。これがコロナ禍の本質です
「社会の構造変化をつかむメカニズムの左から右の流れですね」
そうです。だんだん構造が見えてきましたね。本日は場と時間の構造変化の「時間」を中心に議論してきましたが、次回の未来展望委員会では「場」の構造変化、それがなにを意味するのを考えていきます。本日はここまで
「本日も、ありがとうございました」
【ご連絡】
池永先生にご指導いただき、摂津倉庫グループ若手社員中心に作成した「コロナ禍後社会を考えるー未来展望・2030年社会はどうなる?」冊子をご希望の方は当社にご連絡ください
【摂津倉庫広報室 (kouhou@settsu-soko.co.jp)まで】
次回の第6回「note摂津倉庫未来展望委員会」は、来週火曜日に配信させていただきます