「忘れかた」を新しくするオーダーメイド
「特別な瞬間のための特別なこと」というオーダーメイドのイメージとは裏腹に、つくることが日常の私には「オーダー(自分の意思を)メイド(形にする)」とは、日々の更新や記録のような存在です。
その差をなくしたい。
オーダーメイドは、思考も気分も未来も変えてくれる可能性を持っていると私は考えます。もっと身近なオーダーメイドを目指す理由を、活動原点から見つけました。
オーダーメイドは誰のもの?
「オーダーメイドをやりたい」と言いながら、本当に?と実は自問自答していました。なぜなら、私の考えるオーダーメイドと世間の解釈には差があると感じているからです。
【オーダーメイド (order-made)】
製品全般に対する受注生産や注文によって生産する商品、または生産工程を指す(出典:wikipedia)
・世間のイメージ
結婚式や成人式など記念イベントに向けて自分好みを誂えること
・私の考えるオーダーメイド
自分の意思(オーダー)を形にする(メイド)という万事万人が持つ権利
私は、思いを表現するための身近な手段としてオーダーメイドを利用してもらいたいのですが、お客様は誂える特別な理由が必要と認識している現状。
この差を埋めたく、私の考えるオーダーメイドについて自分の原点を辿りながら書きたいと思います。
オーダーは希望。
私の活動の原点は「記憶を留める作業」にあります。
当時、自分以外解決しようのない負の感情のループに私はいました。そんな時なぜかしたこともない刺繍を始めます(これは本当に偶然の奇跡)。その作業に「つくりたい」などの意思はなく、行く当てのない思考をなぞりながら無心で針を刺していました。
そうして生まれたもの。
それは、「きれい」という感情でした。
この刺繍には今でも「きれい」という感情を抱きます。あと、切なさが少し。
あれほど自分を覆っていた感情を、私はもう断片的にしか思い出すことができません。
感情を表現に誂え直せたおかげで今があります。
あれは、このままではいけない、という自分へのオーダーだったのだと思います。
「忘れかた」を新しく。
今、自覚している思いや言葉は確固たるもののように見えて、刹那的なのだと知りました。人には容量があって、日記などで残しても記憶からは大半が消えてしまう。それでも残っているとしたら本当に自分にとって大切なことなのではないか、と思うのです。
だから、決して特別なことだけじゃなく今感じていることを何かに置き換えて残す行為が大事になってくるのではないか。
自然と忘れていくのではなく、思い出すきっかけを残す新しい忘れかた、のような。それがオーダーメイドにはできる気がします。
モノや誰かが覚えていてくれて、あの時あんなことを言っていたよ、そうだった、と記憶が自分以外からシェアされることがあります。
私はそんなつながりをつくりたいのかもしれません。
記憶に話しかける存在。
最終的には、たくさんのやりとりから思いを拾い上げてアクセサリーを制作します。でも、目に見えないけれど、話したこと、感じたことがふと記憶に話しかけてくるものがいつもできあがります。
それは、過去の話が透けているのかもしれないし、未来へ続く予感かもしれない。
同じ色を見たとしても、誰ひとり同じことはないのだと思います。
改めて、貴重な体験をさせてもらっているなと感じます。
うん、決めました。
オーダーメイドに特化していく。
ただ、1からつくることだけがオーダーメイドではなく、既存のデザインであっても色や素材、きっと自分にだけ紐づく思いがあるでしょう。
たった1か所をオーダーする。そのくらいの気軽さで日常を、忘れてしまうことを、残していって欲しい。
あなたの思いとつながる、そういうことをしていきたいです。
※これでやっとやっとオーダーメイドの仕組みづくりを考え始めたいと思います。のろまですが引き続きお付き合いお願いします。
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