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福がありますように
韓国で新年の挨拶は
「セヘ ボン マニ パドゥセヨ」
新しい年も福をいっぱい受けてください=福がありますように
という意味だけれど、そういえば個人的に、最近福って言葉をあまり使わないなあと思っていた。
そんな時に公開されることを知って、絶対に観に行く! と決めていた映画を昨日みてきた。
チャンシルさんには福が多いね
監督・脚本のキム・チョヒさんはもともと、韓国のゴダールとも呼ばれる
ホン・サンスのプロデューサーだったらしい。その彼女が自身の経験も投影したキャラクター、チャンシルさんは、40歳でPDを務めていた監督が急死し、突然職を失う。
チャンシルさんは、地方出身で(訛りがあるので多分プサンとか)独身。
仕事を失った途端、私には何もない……!? となってしまうのだ。
チャンシルさんにとって、ただ仕事を失ったのではない、失ったのは彼女が自分のすべてだというくらい想っている“映画”なのだ。大きな喪失が、彼女を落とし穴に落とす。
素晴らしい映画だった。映画への愛に満ちた映画。これから観る方も多いと思うので、もう少し時間が経ったら、また書きたいと思うけれど、
チャンシルさんはとにかく坂を登る。時に絶望して、心弾ませて、ただただ一心不乱に。彼女は今、どん底にいるのだ。だからひたすら登り続ける。
彼女が初めて坂を下る時。チャンシルさんは一人ではない。
たくさんの福を連れて、大きな月明かりで心を温められて、坂を下ってく。
「福を受ける」とは、降ってくるのを待つのではなく、光を照らしてそこにあるものに気づくことなのかも、そう思わせてくれる。