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「最近読んで面白かった本」

こんにちは。12月に入り、2022年も残すところわずか。みなさんは「やり残したこと」ありませんか?わたしは「読書」です。あれもこれも読みたいのに、まだ読めていない本達に気づき怒涛の追い上げのなか、素敵な本と出会えたので紹介します。

「おいしいごはんが食べられますように」高瀬隼子

第167回、芥川賞受賞作。タイトルと、表紙デザインに騙されてはいけません。心の底からざわざわとする物語です。職場でそこそこ上手くやっている主人公「二谷」と、弱くてみんなから守られている料理上手な「芦川」と、頑張り屋さんで仕事ができる「押尾」……それぞれ心のヒビを隠しながら生きる描写にハラハラさせらます。全体的に少し不穏な空気の漂う作品ですが、皮肉めいたジョークが随所にあって不思議な読み口です。ひとの表の顔と裏の顔を繋ぐのは、諦めとそれに抗いたい願望なのかもしれないな……と考えさせられる一冊でした。

「夜に星を放つ」窪美澄

こちらも第167回の直木賞受賞作です。私の中で今まで、漠然と直木賞は長編というイメージが強かったのですがこちらは短編集。コロナ禍でリモートワークになり婚活に勤しむ女性の話や、親の離婚によって変わった生活の中を生きる男の子の話………全ての物語に共通してひたむきな人間の寂しさ、が描かれているように思いました。みんな愛されたいし、強くありたいし、幸せになりたい。でも、それこそが難しく、それでも投げ出そうとしない主人公達に勇気をもらえる一冊です。

「哀しい予感」吉本ばなな

知人に教えてもらい、すぐさま購入したこちらの本。家出をしてしまう癖のある弥生が、風変わりなおばと過ごした短くも濃い再生の物語。ほっこり系かな、と予想しながら読み進めていたのですが、ただのほっこりではないことに序盤で気付かされました。場面転換のリズム、軽やかで細やかな描写、そして程よいコントラストのある登場人物達。まるで、音楽のような文章だなと味わうように読み切りました。途中でこの音楽を止めたくなくて、つるっと読み切れてしまうそんな魔力的な一冊です。

いかがだったでしょうか?正直まだまだ「やり残したこと」はあるのですが、欲張りはいけないぞと自分に言い聞かせつつ、風通しのいい年末を過ごしたいものです。みなさんも、いま思いついた「やり残したこと」の滑り込み、週末にいかがですか?

SETA

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