読書記録2023年1~3月に読んだ本
こんにちは、せ→る→です。
本日は2023年1~3月に読んだ本の紹介&感想です。
※登場人物の名前は太字
※あらすじ程度のネタバレあり
「階段ランナー」吉野万理子
高校二年の奥貫広夢と三上瑠衣はある日、学校の屋上で高桑曜太朗先生と偶然居合わせる。家族に悩みを抱える広夢、卓球に打ち込む瑠衣、階段好きな高桑先生。
面白かったです~!読み始めてすぐ「あ、これ、好みだ」と思いました。登場人物たちにとっては、大きな出来事が起こるのですが、文章がサラッとしている。すごく読みやすくて、こういうところが私は好きでした。
あくまで日常の一部であり、感情が大きく動くものの、日々は過ぎていくし進まなきゃいけない。広夢と瑠衣が少しずつ仲良くなっていく姿がとても微笑ましいです。
「京都駅大階段駈け上り大会」という大会をみなさんは知っていますか?私はこの物語を読んで初めて知りました。めちゃくちゃ楽しそうです。
本を通して、今まで知らなかったことを知れるのはやっぱり楽しいですね。
「学園の魔王様と村人Aの事件簿」織守きょうや
ものすごくラノベ感あるタイトル 笑
高校生の山岸巧は、同級生の御崎秀一が猫を助けているところを見て、御崎に興味を持ちます。学校では、ヤクザの孫だとか先輩をぼこしただとか不穏な噂があって、近寄りがたい存在の御崎。
二人は交流をしていく中で、街で起こった事件に首を突っ込んでいくことに。
想像していたよりずっと楽しめた作品でした。ちょっと物騒な事件もあるのですが、二人の雰囲気がほのぼのしているので軽く読めます。
スマートな言動の御崎に「かっこいい!」「王子様みたい!」「ときめいた!」と、まるで推し活しているかのような山岸が可愛かったです 笑
「社交不安障害」岡田尊司
久々に新書が読みたくなって手にとりました。社交不安障害とは何かという基礎の部分から始まり、似たような疾患などについても解説されています。
パニック障害や統合失調症、自閉スペクトラム症など…私自身はずっと社交不安障害と思っていましたが、本書を読んでチェックリストみたいなやつをやっていくと、回避性パーソナリティ障害にたどり着きました。
回避性は社交不安と合併する場合もあるし、私は専門家の診断を受けたことはないですが、上記の部分を読んだとき「まさにこれ!」ってなりました。
何かを発表したり発言したりすることはできるのですが、できる限りやらない方法を模索します。
少しだけ話が脱線するのですが、私は十年くらいピアノを習っていました。あるとき先生から「三曲の中から弾きたい曲を練習してきて」と言われ、楽譜をパッと見て弾けそうだなぁと思う曲を練習していったら、「無理をしないタイプだよね」と言われました。
なるべく譜読みが簡単なものを選んだので、先生の指摘は当たりです 笑 こういうところも回避性に当てはまっているんだと思います。
頑張ればここのラインまでできる、ということがあっても「失敗したらどうしよう」「笑われるかもしれない」「恥をかく可能性もあるよな」とあれこれ考えてしまって、自分のできるラインを下げているんですね。わかっていても、なかなかもう一歩が踏み出せない…
最後に、自分に刺さった大事な部分を引用しておこう…
もう少しだけ頑張ってみたいと思います。
「房総グランオテル」越谷オサム
藤平夏海の両親は、民宿「房総グランオテル」を営んでいる。菅沼欣ニ、佐藤舞衣子、田中達郎の三人の宿泊者と繰り広げられる人間ドラマ。
四人がローテーションで語り手となっていく構成。それぞれの一人称が書かれることで、彼らの悩みが明確になり、キャラクターに対する印象が自分の中で変化していくのが楽しかったです。
夏海がすごく素直で良い子です。馴れ馴れしいと最初は感じてしまいますが、将来のことをしっかり考えていて真面目だし、誰にでも分け隔てなく接するコミュ力の高さ。読んでいて元気をもらえます。
佐藤さんも結構好きでした。上司のパワハラに悩まされている彼女は、自然豊かな町に触れ、自分の行動や生き方を見つめ直します。
素敵な作品でした!面白かった~
「人でなしの恋」江戸川乱歩
文豪とイラストレーターがコラボした"乙女の本棚シリーズ"の一作。こういった文豪の作品は学校の教科書でしか読んだことがなかったです。イラスト目的で読んでみましたが、内容も面白かった!
ジャンル的にはホラーらしい…
主人公・京子は美男子の門野と結婚し、幸せな毎日を送っていましたが、あるとき門野の愛情の奥には何かが潜んでいると、疑うようになります。夜な夜な部屋を抜け出す門野のあとをついていくと…?というお話。
web上でも青空文庫のものが無料で読めるはずなので、気になる方はぜひ。
「月夜とめがね」小川未明
上記と同じ"乙女の本棚シリーズ"の一作。今回コラボしたイラストレーターはげみさんです。げみさんの作品は元々ツイッターで見ていたので、テンション上がりました。
この温かくて淡い色合いが絶妙!イラストとストーリーがすごくマッチしていてほっこりします。内容も難しくないので、子どもも絵本感覚で読めるはず!
「神奈川県警ヲタク担当細川春菜」鳴神響一
捜査指揮・支援センターに異動が決まった二十八歳の細川春菜。最初に担当することになったのは、鉄道マニアが殺害された事件だった。浅野康長警部補とともに聞き込みを始める。
表紙の絵柄からは、サバサバした一匹狼みたいな主人公なのかなぁと思ったら、まさかの童顔で背が低く、高校生に間違われるような人でした。しゃべり方もイメージと全然違くて…笑
鉄道が好きな人は楽しめると思います。鉄道のくだりがとんでもなく長く感じました。シリーズものだけど私は1巻で充分でした。
「阪急電車」有川浩
ふぅ~!面白かった!!!
ローカル線の乗客たちが繰り広げる人間ドラマ。迷惑な乗客に一発かましてスッキリしたり、ちょっとした会話で新たな縁が生まれたり、知らない誰かたちのやりとりに思わず笑ってしまったり…めちゃくちゃ心温まりました。超良かったです。
いやぁ~すごく好きな作品でした。有川さんの作品はタイトルは知ってるものが多いけど、読んだことがなかったので初でした。他の作品もまた読んでみたいです!
「コンビニ兄弟2」町田そのこ
続編!三篇収録されていて、1巻より短いので少し物足りなく感じました。だけど終わり方的に、また続きが出ると思うので楽しみです!
1巻で嫌なキャラだと思っていた村井美月がメインのお話「クイーンの失脚」が一番面白かったです。前巻で、美月はクラスメイトをいじめていたことで親友を失っています。
自分はいじめなんてしていない、正しいことをしたのに、なんで親友は離れていったんだと…
この一文がグサッときました。心当たりがありすぎる 笑
「いい人ランキング」吉野万理子
主人公・桃のクラスは文化祭でミスコン&ミスターコンをやる予定でいた。けれど、人を外見で判断するのは良くないと先生から指摘があり…だったら内面で判断する"いい人ランキング"をしようという意見があがる。
いい人ランキング一位に選ばれた桃。彼女の周りで変化が起きる。
とても良かったです!
「いい人」ってどんな人でしょう。みなさんは誰を思い浮かべるでしょうか。サボらない人?悪口を言わない人?
クラスメイトが「さすがいい人!」と桃に無理な要求をする描写があります。これがすごくリアル…遭遇したことはないですが、現実にありそうで苦しかったです。
「ひとり旅日和 福招き!」秋川滝美
ひとり旅日和、第4巻。読む前は結構わくわくしていたのですが…4巻ともなるとマンネリしてきた感があります(苦笑)
主人公は自他ともに認める人見知りの梶倉日和。ひとり旅を通して、色々な人と出会い、人との関わりに前向きになっていく姿が印象的です。
私は日和と似ている部分が多いので、今作も共感することが多かったです。電話が苦手だったりね…
「放課後レシピで謎解きを」友井羊
面白かった!!学校×料理ミステリです。
本作は「スイーツレシピで謎解きを」と姉妹編になっているけど、単体で楽しめました。荏田夏希と落合結という高校生のW主人公です。
調理部の二人は同じ班でパンを焼くことになったが、なぜか全く膨らまず、失敗してしまう。レシピ通り作ったのにどうして?
後先考えずに行動する夏希と人と話すのが苦手で慎重派な結の凸凹コンビ感がとても良きです。
料理の奥深や友情、人との交流。発達障害などの悩みを抱えたキャラクターも登場し、読み応えがあってすごく面白かったです。
上記は、夏希がある場面で放った一言です。くぅー!!しびれる。どこまでも真っ直ぐでかっこいいキャラでした。
「ことぶき酒店御用聞き物語」桑島かおり
主人公・寿ミツルは「寿酒店」の娘。このお店は、一軒一軒注文を取りに行く"御用聞き"を続けている。
あるとき地元に新しい温泉旅館がオープンすることになり、ミツルはトラブルに巻き込まれていく…というお話。
飾らないミツルの性格がとても好感が持てて好きでした。幼馴染の匡とのやりとりはもどかしくて鈍感!と叫びたくなります。
実際にいたら苦手なキャラだなと思う人物も、ミツルを通して見ると、不思議と良いやつなのかもと思える。とくに新しい温泉旅館の社長・有賀傑はリアルにいたら絶対嫌いなタイプです。
すっごくハマったわけではないけれど、自然とページを捲ってしまう作品でした。
「その扉をたたく音」瀬尾まいこ
ミュージシャンを目指している主人公・宮路は、老人ホームでギター演奏をした。そこでサックスを吹く介護士の渡部と出会い、老人ホームに通うようになる。
いや…主人公がすこぶる苦手でしたね 笑
七年間無職で図々しい男性、苦手だ。主人公が好きじゃないときはいつも途中で読むのやめてしまうのですが、瀬尾さんの文章はスラスラと読めてしまえて、結局読了しました…恐るべし。
主人公は最後まで苦手でしたが、渡部くんはめちゃくちゃ好きでした。普段は穏やかでぽわぽわしてる雰囲気なのに、ズバッと核心をつく発言をするんですよね。スカッとしました。
「碧空のカノン」福田和代
航空自衛隊の音楽隊を題材にした作品です。無くなった楽譜など音楽絡みのトラブルが次々と発生していきます。面白かった!
期待していたほど謎解き要素は少なめでしたが、音楽隊について知れてとても新鮮でした。欲を言えば、自衛隊っぽい描写(訓練とか)もみたかったです。
「雨夜の星たち」寺地はるな
主人公・三葉雨音は、高齢者の病院送迎や雑用をする「しごと」をしている。察すること、空気を読むことが苦手な三葉は、依頼人にもそのことを伝えていた。
発言から言葉の本当の意味を考えたりって、正直面倒くさいと思います。だから三葉は相手の言ったことをそのまま受け止め、やりたくないことはやらないとはっきり言うのです。
すると、ある人からは「めんどう」と言われ、またある人からは「それじゃ社会で通用しない」と言われ、またまたある人からは「心がない」と言われてしまいます。
三葉に対して、読んでいてたしかに面倒くさいと感じることはあったけれど、できないことややりたくないことをはっきり言える、その潔さは好きでした。
寺地さんの作品は今回で3作目。やっぱり好きだなぁと実感するばかりです。淡々と進む、その物語の中に、日常のモヤモヤとかこういう人もいるよねとか、寄り添ってくれるような感じがします。
「青い春を数えて」武田綾乃
5人高校生たちの青春を描いた作品。すこぶる好きだった。内容は言わずもがな、とにかくこういう構成が好み。連作短編で語り手が変わっていくけど、どこかで繋がりがある構成。好きだぁ…
負けたくない部活仲間、頭の良い同級生、可愛い後輩、自分とは正反対のきょうだい、色んな関わりを通じてモヤモヤが晴れたり、どこか気持ちが軽くなったり。キャラクターたちの考えていることがすごくリアルで、共感しっぱなしでした。
特に上記の部分は深く頷きました…!少女漫画とかでよくありますよね、眼鏡かけた主人公が、学校のイケメンと接触して、眼鏡外した方が可愛いよ、みたいな。古いですかね?(笑)
以上、1~3月に読んだ本の感想を書いてみました。最近読むスピードが落ちてしまって思ってたより読めませんでした。もっとたくさん読みたい~!時間がない~!!