読書感想文(リーシュ)
1曲目の
イントロは
オルガンかな?
当時、ウチにいた
黒猫のAPOLLOも
コレを聴くと、
部屋から逃げだした
《アラベスク》
まあ、Salyuの声質は
なるべくなら
アンビエントな
環境音楽的な伴奏が
よく合うからね
彼女の歌声は
生楽器そのもの
大した音数じゃなくても
場(ステージ)が
以てしまうのは
会話が全くない
通話時間だけが
過ぎてゆく
ある種の電波障害のようなもの
一表現者として
罪深き者を
表現していくのは
疲れる、憑かれる、突かれるよ
《リリイ・シュシュのすべて》
All about Lily Chou-Chou.
監督・脚本:岩井俊二(Pascal)
音楽:小林武史
撮影:篠田昇
そんな昔の映画
二十年前の小説
いったい、
どこの、誰が憶えているの?
ボクを、そこで、
君も笑っているの?
そこは、底か
やっぱり、君たちも
じゃあ、この話は早くなる、
物語の再生時間は短縮され
映像速度は一気に加速する
次の曲は
《エロティック》
万が一、朱色の
絶望のエーテルが
ヒッソリと微かに
kaima(海馬)
垣間見えたなら
それもまた
幻、幻影、君の錯覚だ
君のなかにある
君の内側に居る、
触発したのはボク
複雑に副作用した幻の光
頭の中は
とても、混乱している
真夜中に
たった独りで
テレビゲームをしてる
あの時代のように
灰色だったのは
生温い風に
揺れていたのは
煙草のケムリではなく
近所の田園風景や
ヨット・パーカーのフードでもなく
実際には、それが、
その瞬間の感覚と
君のなかに
芽生えた観賞用の植物
つまりは衝動
君たちは
光合成をしていた
人生のなかで一番の
最高の一瞬、hi-lite
光のなかで
窓からこぼれ落ちた
雨水の雫
一滴の涙のように
太陽の輝きを反射したもの
それは希望ではない
純粋な悪を
飽きるまで味わった
観念ではなく、実感として
歪な
イビツな形をしている
靈(CORE)を
抱きしめるように
自分を
痛ぶるように
揶揄うように
可笑しいのは脳裏にある
すべての記憶
過去は
受け入れるものではない
現実は
受け容れられるものではなく
許せないもの
決して戻れない場所
然し
君は
どんな罪を犯したとしても
すでに、はじめから
すべて、赦された存在
忘れているのは
現在の痛みに過ぎない
麻痺したような
精神倒錯のなか
最後にボクらが見たもの?
『ニンゲンハトベナイ』(了)
これで、映画は、物語は終わり
そして、
すべての傷は、回復する
お約束どおりに
《回復する傷》
↓
《アラベスク 第1番》
↓
《グライド》希望の青色のエーテル
↓
ENDROLL
幾ら
泣いても
嘲っても
鳴いても
背中に
翼は生えてこない
誰も慰められない
涙を流してみたって
あなたの心が
精神自体が
すっきりするわけではない
其処にあるのは
現実の自分
ただのニンゲン
ただ
生きているだけ
十四歳のリアル
このアルバムの
タイトルも
すなわち《呼吸》。
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