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Cuticle

バスに乗る瞬間が
一番興奮する

すぐ前の座席の
髪の長い女性

黒髪の肩下まであるようなロング
ちょっと緩めのパーマネント

ニュアンスはアンニュイ
細身の
スリム・テーパード・ジーンズ

色は
淡くて、薄い、色褪せた青色

ヒッピーみたいな
クッキリとした眉のライン

瞳は
若干だけ茶色い
ベッコウアメみたい

僕の好きな
ピーナッツは入っていないけど
良いの、別に、それで全然

後ろ姿を
じっと凝視しても
あなたは
僕には気付かないフリ

ホントのこと
誰も知らないフリ

でも、毛先は
キューティクルがなくなって
ちょっと枝毛になっちゃってる

ヘッドフォン、イヤフォンは無し

音楽
あまり聴かない派?

僕は
聴いてるよ
ラウスバブ(LAUSBUB)

最近ずっと
コレばっか

気に入っちゃった、
目の前の
あなたよりずっと

『Michi-Tono-Sogu(未知との遭遇)』

って曲は
『ROMP』ってアルバムの一曲目

たぶん、多分
目の前のあなたも知らない曲

最高なのに
幸せなのに、僕、こんなに

テレパシー送れないかな?君に

肩を
トントン叩くと
叩いちゃうと
僕の感情
気持ちがバレちゃうから

や~めた!全部!
黙っとけ!思考!イメージ!

老人ばっか乗ってくる
愛、変わらず

あと三つ
くらいで到着
目的地に

誰も待っていない
駅前のバス停に

いつも通り?
いや、ちょっと
いつもよりゆっくり目に

その場に
立ち止まるように

涼しい顔のまま

真夏なのに
八月なのよ、まだ?

君の
黒い髪の先で
オリジナルの毛筆
筆ペンを作りたい

美しい文字を
書いてみたくなった

丁寧に
いつもより
綺麗に書ける自信が

僕側に
確実に
存在していた

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