子ども食堂だいちのめぐみ　#7

第七話：未来のための力 – 仲間とともに

特製肉味噌まぜそばが評判を呼び、毎日のように「だいちのめぐみ」には学生たちや地域の人々が訪れるようになった。放課後の時間帯には特に学生たちで賑わい、活気があふれている。めぐみも晃四郎も、店の忙しさに追われながらも、彼らと一緒に笑い、励まし合う日々を送っていた。

第一部：若者たちの集う場所

「だいちのめぐみ」は、町の若者たちの憩いの場となっていた。特に、学生割引のある特製肉味噌まぜそばは、放課後や部活帰りの学生たちにとって大切なエネルギー源となり、彼らの生活に彩りを添えていた。

ある日、晃四郎の兄、颯二郎と彼の友人たちが、サッカー部の練習後に店を訪れた。彼らは汗をかきながらも楽しそうにまぜそばを頬張っている。颯二郎の仲間たちは、お互いに大きな夢を語り合い、未来への希望を感じさせた。

「俺、将来はサッカーでプロを目指すんだ」と、颯二郎の友人のダイゴが言った。彼の言葉に、周囲の友人たちが賛同し、励ましの言葉を投げかける。
ダイゴはまだ一年生ながら部活のメンバーの中でも飛び切りドリブルが上手く、上級生からも一目置かれている。晃四郎の兄、颯二郎もそんなダイゴを羨ましくもあるが、一番の友人として誇りに思っている。

めぐみはそんな様子を微笑ましく見守りながら、彼らの未来に少しでも役立てることができるよう、精一杯おいしい食事を提供することに力を入れていた。彼女は「だいちのめぐみ」を通じて、彼らが安心して夢を語り合える場所を提供できていることを誇りに思っていた。

第二部：新しい仲間

その日、めぐみは店で新しいスタッフを紹介した。それは、大学生の桃子だった。桃子は町外から来た大学生で、「だいちのめぐみ」でのアルバイトを通じて地元の人々と交流し、地域の人々の温かさを感じたいと願っていた。

「こんにちは、皆さん。これからこちらでお世話になります、桃子です。どうぞよろしくお願いします。」桃子は笑顔で挨拶し、早速めぐみの指導のもと、まぜそばの調理や接客の仕方を学び始めた。

晃四郎も桃子に興味津々で、「桃子さん、おにぎりも作れるようになったら、一緒にお手伝いしてね！」と話しかけた。桃子は笑顔で「もちろん！晃四郎くんが先生になって教えてね！」と返し、二人はすぐに打ち解けた。

桃子の明るい性格と親しみやすさは、すぐに店の雰囲気に溶け込み、彼女の存在がさらに「だいちのめぐみ」を活気づけることとなった。

第三部：悩みを抱える若者

その日、閉店間際に一人の男子高校生が店を訪れた。彼の名前は健太。少し疲れた表情を浮かべながら、特製肉味噌まぜそばを注文した。めぐみは彼の様子を見て、「今日はどんな一日だったの？」と優しく尋ねた。

健太はためらいながらも、「ちょっと学校で嫌なことがあって…誰かに聞いてもらいたかったんです」とつぶやいた。

めぐみは彼の話に耳を傾け、時折うなずきながら「だいちのめぐみ」はただの食事処ではなく、心のよりどころとしても役立っていると感じていた。晃四郎も、彼のそばで一緒に話を聞いていた。

「学校で大変なことがあったら、ここに来てね。おにぎりでもまぜそばでも、食べたいものを作ってあげるよ！」晃四郎は無邪気に励まし、健太は彼の言葉に救われるように微笑んだ。

第四部：夢と希望を共有する場所

次の日、健太は再び「だいちのめぐみ」を訪れた。彼は今度は友人を連れて来ており、彼らは一緒にまぜそばを注文して楽しい時間を過ごしていた。健太は前日めぐみと話したことが心の支えとなり、少しずつ元気を取り戻していた。

店内では、めぐみが学生たちと将来の夢について語り合う姿が見られる。彼らが自由に夢を語り合える場所が「だいちのめぐみ」だということに、めぐみは深い喜びを感じていた。

健太は友人たちに、自分の将来の夢を語り始めた。「俺、いつか自分の店を持ちたいんだ。ここみたいに、みんなが集まって楽しい時間を過ごせる場所を作りたい。」

めぐみは健太の言葉を聞いて、「それは素晴らしい夢ね。いつか、私のところで学んでくれたことを思い出して、夢を実現させてね。」と優しく声をかけた。

健太の夢に共感し、店内の雰囲気が一層温かくなった。「だいちのめぐみ」はただの食事処ではなく、地域の若者たちが将来を考え、夢を語り合う場所としても、彼らにとってかけがえのない存在になっていった。

第五部：地域の応援団

その後も、「だいちのめぐみ」は地域の応援団として、若者たちの成長を見守り続けた。店では、学生割引の特製肉味噌まぜそばが好評を博し、町の活気を支える一端を担っている。若者たちにとって、ここは食事と共に夢を語り合い、支え合う場となっていた。

桃子もすっかり店の一員となり、地元の人々と交流を深めていた。彼女は「だいちのめぐみ」で働く中で、地域社会の温かさと支え合いの大切さを学び、自分もまた、ここで多くのものを得ていることを実感していた。

そして晃四郎も、地域の人々とのつながりが深まる中で、いつか自分もめぐみのように、町の人々に愛される場所を作りたいと感じるようになっていた。彼は「だいちのめぐみ」での経験を通じて、夢や希望を育んでいくのだった。