鈴木めぐみ

雪国で子ども食堂をやってます、店長の鈴木めぐみです。 推理小説が好きでずーっと読んでま…

鈴木めぐみ

雪国で子ども食堂をやってます、店長の鈴木めぐみです。 推理小説が好きでずーっと読んでます。 ブルーベリーやバナナを育ててます。 ソーラー発電もしてます。 子どもは6人います。 元議員です。 情報あり過ぎってよく言われます。

最近の記事

子ども食堂だいちのめぐみ #10

第十話(最終話):未来への歩み – 共に作る街の未来 第一部:最終準備 蝉の鳴き声が昼夜を問わず聞こえてくるころ、陽一が醸造した地元特産のクラフトビール「みんなのバー」が、ようやく本格的にオープンする運びとなった。陽一はこれまでにない充実感と期待を胸に、商店街の空き家だった店舗を新たな出発の場として整えた。夜の「だいちのめぐみ」での営業が終わると、めぐみやスタッフの沙織、佐藤、そして陽一自身の家族も集まり、明日のオープニングイベントに向けて最終準備を進めていた。 店内に

    • 子ども食堂だいちのめぐみ #9

      第九話:新たなる挑戦 – 地元のクラフトビール作り 第一部:子ども食堂の現実 陽一は「だいちのめぐみ」で働く中で、昼の部である子ども食堂の厳しい現状について、めぐみから多くを学んできました。めぐみは、物価高騰にも関わらず、食材の質を落とさず子どもたちに安心して食事を提供するため、毎晩居酒屋として営業し、収益を赤字補填に当てているということを彼に打ち明けました。 「最初はやはり、子ども食堂でお酒を出すことに反発もあったわ。でも、子どもたちに安心して食べてもらうためには、何

      • 子ども食堂だいちのめぐみ #8

        第八話:雪の日の温もり – 贅沢なお茶漬けと新しい始まり 上越市の高田本町商店街には、この日も冷たい雪が静かに降り積もっていた。高田の冬は厳しい。街中には雪が舞い、あたり一面が白く覆われている。特に今年は例年より雪が多く、寒さが一層身に染みた。 「だいちのめぐみ」の前でも、めぐみは雪かきをしながら、商店街を眺めていた。この商店街の軒下には、雁木(がんぎ)と呼ばれるアーケードのような雪よけが続いている。人々はこの雁木の下を通ることで、厳しい雪から身を守り、日々の生活を支え合

        • 子ども食堂だいちのめぐみ #7

          第七話:未来のための力 – 仲間とともに 特製肉味噌まぜそばが評判を呼び、毎日のように「だいちのめぐみ」には学生たちや地域の人々が訪れるようになった。放課後の時間帯には特に学生たちで賑わい、活気があふれている。めぐみも晃四郎も、店の忙しさに追われながらも、彼らと一緒に笑い、励まし合う日々を送っていた。 第一部:若者たちの集う場所 「だいちのめぐみ」は、町の若者たちの憩いの場となっていた。特に、学生割引のある特製肉味噌まぜそばは、放課後や部活帰りの学生たちにとって大切なエ

        子ども食堂だいちのめぐみ #10

          子ども食堂だいちのめぐみ #6

          第六話:特製肉味噌まぜそばと学生たち 春の終わりが近づき、気温も上がり始めたある日、「だいちのめぐみ」では新しいメニューである特製肉味噌まぜそばが大人気となっていた。特に学生たちからの評判がよく、放課後や部活帰りの学生たちが、学校帰りに店を訪れる光景が増えていた。 この特製肉味噌まぜそばは、豚汁と同じオリジナルの味噌を使っており、杉田味噌醸造場と町田醤油味噌醸造場の味噌を、めぐみが絶妙な配合でブレンド。さらに、挽肉と混ぜ合わせて、上越特産の卵を贅沢にかけている。風味を変え

          子ども食堂だいちのめぐみ #6

          子ども食堂だいちのめぐみ #5

          第五話:豚汁とおにぎりに込めた想い 第一部 「だいちのめぐみ」が高田本町商店街で賑わいを見せる理由の一つに、看板メニューであるおにぎりと豚汁がある。上越産のコシヒカリを使用し、毎朝精米された米はふっくらと炊き上がり、食べた瞬間に広がる旨みが特徴的だ。ガス釜で直火炊きをすることで、コシヒカリの甘みと風味が最大限に引き出されている。その上、同じ商店街にある「小坂井園」の香り高い有明産の海苔を使うことで、おにぎりの美味しさがさらに際立っている。 豚汁もまた、地元の食材をふんだ

          子ども食堂だいちのめぐみ #5

          子ども食堂だいちのめぐみ #4

          第四話:おにぎりでつながる命 第一部 春が深まるにつれて、「だいちのめぐみ」は少しずつ新しい顔ぶれを迎えるようになっていた。今日も商店街の雁木を通って、常連のお客さんたちが雪解けの道を歩いてやってくる。めぐみと晃四郎は、そんな町の人々のために、おにぎりを握り、温かいご飯を提供し続けていた。 その日、ドアが開いて入ってきたのは、見慣れない若い男性だった。彼の名前はリュウタ。ボサボサの髪とくたびれた服装をしており、目にはどこか疲れが滲んでいた。めぐみは、彼が何か悩みを抱えて

          子ども食堂だいちのめぐみ #4

          子ども食堂だいちのめぐみ #3

          第三話:訪れる新たな出会い 家族を支え合う大切さ 第一部 雪が少しずつ解け始め、雁木の下に溜まっていた雪も姿を消しつつある。上越市の高田本町商店街にある「だいちのめぐみ」では、春の訪れを感じさせる温かい空気が漂っていた。晃四郎と母親のめぐみは、今日もおにぎりを握りながら、次に来るお客さんを待っていた。 その日、店のドアが静かに開き、一人の女性と小さな女の子が入ってきた。女性は少し疲れた顔をしていたが、女の子は元気に店内を見回して興味津々といった様子だ。めぐみはその親子に

          子ども食堂だいちのめぐみ #3

          子ども食堂だいちのめぐみ #2

          第二話:雁木の下で生まれる友情 助け合いの雪道でつながる絆 第一部 新潟県上越市の高田本町商店街。冬の冷たい風が吹きすさび、雪が雁木(がんぎ)の下に積もる中、商店街を歩く人々の姿がちらほら見える。雁木は人々を雪や風から守り、町の住人たちが共に歩ける温かい道を提供してくれている。晃四郎はこの町の雁木が大好きで、ここを歩くと家族や友達に守られているような気持ちになる。 その日、晃四郎は母親のめぐみと「だいちのめぐみ」でおにぎりを握っていた。外では、雁木の下で町の人々が雪かき

          子ども食堂だいちのめぐみ #2

          子ども食堂だいちのめぐみ #1

          第一話:雪の町とだいちのめぐみおにぎりがつなぐ笑顔の輪 第一部 新潟県上越市に位置する高田本町商店街は、雪深い冬で知られる地域だ。積雪は3メートルにもなることがあり、毎年のように人々は雪との戦いを強いられる。しかし、上越市の人々はそんな冬にも負けず、工夫を凝らして生活してきた。その工夫の一つが『雁木』だ。雁木は商店街の通りを覆う屋根であり、町全体をつなぐように伸びている。 鈴木晃四郎は、母親のめぐみと一緒に「だいちのめぐみ」という子ども食堂を経営している。ここは、商店街

          子ども食堂だいちのめぐみ #1