【読生感想文】 夜と霧 【ヴィクトール・E・フランクル】
いつかは読まないといけないなと。
悪夢を見てうなされている人を起こそうとすることすらためらいやめてしまう。
現実よりはマシだと。
精神が退行していく。
精神に余裕は無く、欲望も稚拙なものばかりとなる。
食欲が主な興味の対象となる。
監視の目が緩んだ隙に食べ物談義。
収容所では胃袋オナニーと呼んだ。
次に誰が死ぬかわかってしまうほどに、
ガス室行きや死期が近い者は、
周囲から兆候が見えていた。
極限状態で文化的な思考が止まっても、
政治と宗教は残った。
愛する人の存在、その記憶さえあれば、
そばにいなくても支えになる。
実体なんてどうでもよくなるほど。
生死がわからずとも。
過去の日常を思い返す。
夕日を見て、世界はなんて美しいんだと感じる。
芸術(エンタメ)が有用だった。
その日のスープを諦めてさえ、芸術を楽しむ者が居た。
あいつらが羨ましい。
あいつらよりはマシだ。
毎晩シラミ退治をしてからでないと夜眠れない。
集団の中に紛れ、目立たないよう消えることを望むようになる。
解放されても理解は追いつかない。
理解が進み始めた途端に、尋常では無いほどの食欲が湧き起こる。
精神が未熟な者は、自分の身に起きた悲劇を盾に自分勝手になる。
いつかと思い描いていた理想の日常と、
強制収用されていた苦しみなど理解されず、
その事実さえ知りもしなかった人々への怒りが嘆きに苛まれる。
本書を読み進めながら、
たまに思い出したかのように、
内容を箇条書きしていった。
それだけでもこれほどの壮絶な強制収容所生活を思わせる内容となった。
現在の自分の置かれている環境が、
生活がいかに恵まれていることだろうかと。
そう感じざるを得ない。
本書の残してくれた著者、
旧訳者と新訳者に感謝。