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<戦時下の一品> 配給券・配給手帳の保存用具
日中戦争中に民需物資の枯渇で早くも主要食糧などの配給割当(有料)が行われるようになりますと、何を買うにも配給切符や配給回数券などが必要になってきました。それらはたいてい、なくすと再発行されません。そこで、さまざまな保管用具が開発されます。既に戦時下で物不足という状況ですから、いずれも紙製のものでしたが、中には戦後も現役で活躍したものもありました。まさに、戦時下、戦後の生活を支えた道具です。
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こちら、長野県秋津村(現・飯山市)の方が使っていた「購入券挟」です。標語が戦時下を思わせます。家庭内での保存用に使ったのでしょう、特に記名などはしていません。厚紙でひもをかけるための穴もあります。開くと3つほどのポケットが付いています。
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シンプルなだけに使い良く丈夫で、戦後まで長く使ったようです。
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次に、東海銀行が宣伝を兼ねて作ったものです。こちらは厚紙の袋で、ひっかけておくひもが付いています。裏面は各地の支店。どちらかというと、細かい切符を入れるより、配給品購入通帳を入れるのに都合が良かったかもしれません。
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こちらは、長野県上田市の服店が顧客のために作った「衣料切符入」です。衣料切符の場合は点数と引き換えですし、商品がなければ使えませんから、持ち歩くタイミングも多かったので、財布のように使える形にしたのでしょう。これも、顧客サービスの一つでした。
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こちらは「購入券並二通帳整理器」と銘打ったアイデア商品の一種です。衣料切符導入が太平洋戦争後の1942年ですので、そのころいろんなものが作られたうちの一つです。特に愛国精神を前面に出したのがこちらの特徴です。
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こうした標語類には力を入れているものの、「整理器」などと言う割に本体はお粗末で、厚紙を折った浅いポケットがホチキスでとめて作られているだけ。簡単にやぶれてしまいそうです。いかにも、家庭で切符を使ったことのない人が頭だけで考えたような代物です。こちらの品は使われた形跡がなく、デッドストック品とみられます。
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おそらく収蔵品意外にも、各地でさまざまないれものが作られたことでしょう。そして、空襲などの避難の際には、しっかりと握って持ち出した大切なものだったでしょう。そうした苦労をせざるを得ない戦時下、こうしたアイデア商品などが登場しない世の中の有難さをかみしめたい。そして、二度と為政者がこのようなものを必要とする時代を生み出さないよう、不断の監視や発言、行動こそが大切なのです。
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