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プログラミング教育「教えたい」「教えたくない」それぞれの教師の心理とは?
始めに
2020年度より小学校段階でプログラミング教育が全面的に開始されている。
「IT社会」「AI」「DX化」「ICT教育」などのワードが世の中を駆け巡る中、現役の教員たちは、そういった新しい技術の礎になるかもしれない「プログラミング教育」をどのようにとらえているのだろうか。
本記事は「プログラミング教育」についてその練度や内容についてではなく、各教員がそもそも「プログラミング教育」に対して積極的か、消極的かをベースにその要因について研究した論文を紹介する。
Web調査で明らかになったこと
対象は小中学校教員633人
結果の概要
プログラミングを教える機会をもつことに消極的な小学校教員:40%
そのうち半数が「プログラミングについてよく知らない」「他の仕事が忙しい」と回答
積極的に教えたいと思う小学校教員:34%
どちらともいえない:28%
コンピュータに対する印象
不安:30% / 苦手:50%
パス解析
※プログラミング教育の授業実践に対する意欲の規定因を分析
もともとのプログラミングスキルの高さは
”人とAI の協働社会”への肯定的認知を媒介して
→教育効果への期待を高める
→さらに教育に関与する意欲を高める
もともとのプログラミングスキルの低さは(とくに、小学校教員では)
コンピュータ不安やプログラミング学習に対する固定的マインドセットを媒介して
→教育への関与の意欲を低下させる
※固定的マインドセット=基本的資質は変わらない(勉強で伸びない)
最後に
「数学が苦手だからプログラミングはできない」とどこかで誰かが話していたが、たしかに世の中の多くの人は「プログラミング」と「数学(ないし理系)」という概念を結び付けがちであり、本論文内の調査でも関連付けて聞かれている項目がある。しかし現実としていわゆるプログラマーやシステムエンジニアが理系や数学好きに大きく傾いているかといわれるとまったくそうではない。
「プログラミング」は生活のあらゆるところに根差している考え方の一つととらえなおすことで、垣根を取り払うことができるのではないだろうか。
引用
楠見孝, 西川一二, 齊藤貴浩, & 栗山直子. (2020). プログラミング教育の授業実践に対する小中学校教員の期待と意欲. 日本教育工学会論文誌, 44(2), 265-275.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjet/44/2/44_44077/_pdf/-char/ja
文責:港高志