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応用情報技術者R06秋「感想戦」 | 選ぶか・解けるか・学ぶポイントは?

このNoteでは、「応用情報技術者試験 令和7年春」を総括解説します。

不合格になった方、問題演習を終えた方。

もし「どうやってたら合格してたんだ」「本試験で合格点を取れるだろうか」など疑問や不安を感じているなら、是非一読してみてください。

このNoteでは問1~11(問3PG除く)について、3点解説しています。

  1. 本試験で「選ぶか選ばないかの判断」

  2. 解いたときに「取るべき得点」

  3. 過去問から「学ぶべき解法テクニック20個」


私が解いた印象は以下の通り。問題の選びやすさ、取るべき得点の参考にして下さいね。

問題を解くたびに評価してたんですが、えらくバッサリ割れました。何か偏りがあったかなぁとも思いましたが、率直な印象なので調整はせず、そのままにしています。

今回は地雷とピーキーさで、合格は難しかったかも。

まず問題構成(解く前の見た目)が辛い。頁数が多かったり、解き始めが遅めだったりと、なかなか条件を満たす構成がありませんでした。

選り好みができない。長文問題のデメリットを呑むしかない状態。

点数についても、技術系の問6DB・問7組込みが超難しく地雷。文系の問9, 10, 11は誘導が下手でイマイチ自信ある解答ができない印象。高得点を重くしていました。

相性が良ければ高得点が取れるってロマンもないのが、悲しいところ。

一方、問1SCは安定の高品質、問5NWは簡単でした。

結果、問1~5でなるべく稼ぐ攻撃、問6~11で6割をなるべく切らないように粘る防御、2極的な点取りが正解かと。


問題選びの基準は、以下も参考にしてください。

各問題の解説Noteは以下。

>APR06秋問1セキュリティ
>APR06秋問2経営戦略
>APR06秋問4システムアーキテクチャ
>APR06秋問5ネットワーク
>APR06秋問6データベース
>APR06秋問7組み込みシステム
>APR06秋問8情報システム開発
>APR06秋問9プロジェクトマネジメント
>APR06秋問10サービスマネジメント
>APR06秋問11監査


なお、このNoteの内容は、私が学生時代にAPに独学合格した経験と、IT専門学校の先生として資格対策授業をしたノウハウに基づいています。

AP合格に少しでもお役に立てたら嬉しいです。


それでは始めましょう!


※このNoteはマガジンに統合されます。



もし私が本試験で受験していたら


今回はかなり迷う問題だったので、詳しく書きます。

私がもし受験していてたら、以下は確定です。

  • 問1SC:必ず選び9割

  • 問2経営:解き始めが遅すぎ、解かない。

  • 問3PG:そもそも絶対に解かない。

  • 問5NW:必ず選び9割

  • 問10サビ:解き始めが遅すぎ、解かない。

  • 問11監査:解き始めが遅すぎ、解かない。

たとえ問2, 10, 11が、実は点数が取れた問題であっても、後悔しません。私は解き始めまでの速度を重要視します。

以上2問で9割。残り3問で運命が決まります。世界線は2つ。


1つめの世界線。私は問6DB・問7組込みは解きたいので、もし切る勇気がなければ、地雷2発を被弾して4~6割。問1SC・5NWの9割余裕がほぼ溶けます。

あとは問4の計算問題を受け入れて7~8割、問8プログラム系に踏み出すか、文系問9を取り込むかで5~7割。合格ラインで片足立ち。


2つめの世界線。過去問演習で、DBが確率1/3~1/2で地雷問題と知っています。組込みもテーマによって相性があるのも経験済み。よって問5DB・問7組込みのどちらかを切る判断は織り込み済み。

問題選びの時、問6SQLを見て嫌気して切り、問7組み込みを解きます。しかし基準周波数で撃沈し撤退、問7切りの問6DB採用になるでしょう。

問7切りの時間ロスが生じた中で、残り2問。手早く6割以上稼げる問題を探さねば。

  • 問4サーバ配置:
    解き始め速い。計算を見て解けそうと判断。b~dが整数になるのでシンプルと予測。処理時間・回線時間は過去問の記憶あり。

  • 問8クラス図:
    苦手なPG系だが好きな技術系。作文問題がない。解き始めも速い。プログラムの動きまで考えると時間かかるかも。

  • 問9プロマネ:
    解き始めまぁまぁ。作文メイン。国語の問題は特定に時間かかるが、特定できれば得点確実。

まず問4を解いて7~8割。

あとは残り時間次第。少なければ問8の作文なしに魅力、5~7割。通常通り15~20分残っているなら、文系問題を1問も選んでないので問9を腰を据えて、5~6割。問4の余裕と帳消し。

全体は6~7割かな。合格ラインで片足立ち、ちょい合格寄り。DB切りと手戻り時の参考になったら嬉しいです。


2つの世界線。不合格にはならない(と思いたい)ですが、合否発表までドキドキ状態だと思います。

反面。文系問題多めの戦略の方は、問6DBと問7組込みの地雷は踏みません。ただし今回は誘導が下手で、問題文から答えの特定が一発でいけません。時間はかかりますし、「これかなぁ」と自信なく解答する場面が多いです。

問1, 5の高得点が、合格に必須なのは同じです。問5NWを選ばずの合格を考えるのは、私には難しいです。




問1 | セキュリティ


>APR06秋問1セキュリティの解説

さすが必答。毎度毎度、問題品質が安定して高いです。満点狙ってください。

もし、SCの点数が7割以上で安定しないなら、勉強不足です。「知識か読解力に致命的な何かを持っているんでは?」と振り返りをお願いしますね。




問題構成 | 相変わらず良いバランス


問1は必答なので、問題構成を見なくて良いですが、練習がてら。見た目は良いですね。若干2頁目の表が気になりますが。

作文・用語・計算・選択肢と一通り揃ってるのも特徴。

作文が少なくてラッキーと思えますが。用語・計算・選択肢は、部分点ないので、得点or失点の怖さもあります。

とはいえ、もし問1が選択制だとしても、私は解きます。見た目が良いですし、作文が多すぎるよりは、色んな解答形式で出た方がリクス分散してそう。そもそも、セキュリティはガチガチに鍛えてます。

SC, NW, DBは御三家。AP合格後のセキスペ, ネスペ, デスペにも生かせます。



解いた印象 | 相変わらず高得点が安定


8割以上が安定。細かい点まで復習していれば、満点が狙えます。私は設問6(1)だけ怪しい。

高得点が狙えるとはいえ「浅くて簡単」ではなく、「深いので、基礎が固まっているから安定して点が取れる」印象。次節に教育的意義をまとめました。



学ぶポイント4つ

「基礎」知識を幅広く深く問う、「教育的」に大変良い問題でした。全ての設問に教育的意義を感じたので取り上げます。

  1. グループ用語の知識

  2. セキュリティの流行語

  3. 計算問題からもう逃げない

  4. 難しかったのが当たり前に出るようになった



学び1:グループ用語


ハッシュ特性3つ・CIA3種などは「グループ用語」。

全ての知識が揃った上で解答を1つ選び出す問題が4問。失点したなら、Iパス/FE/APの午前対策が不足しています。
>Iパス対策48Note
>FE対策58Note

※APの午前対策Noteは作りません。IパスとFEが高得点なら、毛が生えた程度ですから。合格教本だけあれば充分。
>APの合格教本(amazon検索結果)



学び2:最近よくみる流行語


多層防御は「流行語」。

問題文にシレっと出てきてはいたので「そんな言葉があるんだな」と丁寧に復習していたら「多層防御か、問われたのは初めてだよな」と思い当り正解できました。

  • ゼロトラスト:従来の境界防御(FW)ではなく、情報への全アクセスを信頼せずに疑う

  • SIEM各機器のログを収集・分析し管理者に通知

  • CASB:各社員のクラウド利用の可視化

  • EDR:端末を監視し異常や不審な動きがあれば、ネットワーク切断・プロセス終了

  • DLP機密情報を自動的に特定し、送信や出力などを検知しブロック

  • ファイルレスマルウェア:メモリ内だけに存在し、ファイル保存が不要のマルウェア

解答に困ったら、これらの用語で一度疑うのもお薦め。

過去問演習してたら、「接続元の制限って、MACアドレスかクライアント証明書って書けば何とかなる印象だなぁ」と思ったはずです。

特にセキュリティは、流行があるので、作問側も「知っているか確認したい」と思って出題してきます。



学び3:計算問題からもう逃げない

私の学生さんで「計算問題は捨て問」にするのは、大変多いパターン。Iパスだったら問題ありません。

FEからは「計算問題で失点=ハンデ」でしかないので、合格率がガクンと下がります。

回線速度、アクセス速度、パターン系(パスワード)、表の重み系(リスク値)、工数などなど。幅が広いんですが、計算スキルと読解スキルは意外と共通しています。

FE程度の計算で、APもSCもNWもESも行けます。今後のためにも挑戦しておいてくださいね。
>FE計算問題33Note

今回は指数でなるべく高い難易度にしたい意図も感じました。さらに底を10ではなく、70にしてるのが小憎らしくて素晴らしい。
>指数公式を1つから全部導くNote

でも逆にいえば、この程度。だって、どんなに高度資格になっても、四則演算(+, -, *, /)と剰余(%)と指数(^)だけでしょ。微分積分とか出ないじゃないですか。中学生レベルの数学。

1つずつ、分かりそうな、相性の良さそうのからで良いので、計算問題対策を地道に進めていってください。どれが出るかは分からないし、たった1~3点の話ですが、そんな「手抜きのチリツモ」が合格を分けてしまいます。>FE計算問題33Note



学び4:難しかったのが当たり前に出るように

「ソルト」「コモンネーム」は、今までも出ているので驚きはしません。ただ、その問題のアドバンスドテーマになるぐらい難しい部類って認識でした。

よって今回「ソルト」の上の「ペッパー」まで出してきたのに驚き。「今や、ソルトやコモンネームは簡単な知識なんだな」と。

学びのハードルを上げる必要があります。

学ぶべきは2点。

  1. ソルトとペッパーを学んでおく

  2. コモンネーム以外も幾つか知っておく

特に臭いのは2番。選択肢でたくさん用語を出しておいて、結局「知っておくべきコモンネーム」が正解でした。これは「今回は1番大事なやつを答えさせたから、他のを知らなくても正解できたろうけど、次はヤルよ」というメッセージです。

大事なのを1~2個英語でも知っておき、全部で3~4個は何となくわかる程度にしておかねば、次は手痛く狩られるでしょう。




問2 | 経営戦略


>APR06秋問2経営戦略の解説

私の中では「解き易さが毎回不安定」な印象です。今回は解き易い方ですが、自信を持って「これが正解だ!」と解答できない点が相変わらずだなぁと。

あくまで「私が」ですが、問9, 10, 11のガチ文系問題は出題傾向も得点も不安定なので、問2はなるべく解いておきたいです。

「失点しやすい経営用語や会計計算が出なければ良いなぁ」と、祈りながら。



問題構成 | 文系問題ではよくある見た目


今回の見た目は「ま、文系問題はこんぐらいだよね」という感じ。

「解き始めまで読ませる量が相変わらず多い」けど、全体は4頁と「コンパクト」なのは良い。本文から語句を探す「実質選択問題」と、20文字で短め「作文問題のジャブ」。

あとは、図1やコーヒーチェーンをどう思うか程度。特段難しい図には思えず、コーヒーもまぁ良く飲むから馴染みあるかな。

私は問2を選ぶ可能性は高いです。



解いた印象 | 問題文からの抜き出しメイン


こってこての文系問題でした。

問題文から答えを探して「そのまま」解答。本試験での得点し易さとしては良い方向。

一方、遣り甲斐やIT資格としての意義はかなり疑問。「共感」とか「香り深い」とか書かせるって何の意味があるんだろう。

「問題文から答え探し」は、すごくアバウトな誘導で「これなんだろうなぁ」と自信なさ気な解答をするしか。難しく考えず、問題文そのままが鍵。

用語は裏方。SWOT分析・KPI/KGIが、用語問題で直接問われず、概念として登場。「LTV」は新用語なので覚えます。

なお、LTVの定義を知らなくても、自分の言葉で書けば正解にしてくれてるのは温情ですね。



学ぶポイント1つ


新しい重要な学びはないのですが。「問題文から答えを探し、まずはそのまま書く」ために、「設問文の言葉」や「問題文の構成」からどう探していくか、の練習にはなりました。

逆にいえば、下手に裏読み先読み難しく考えると、蛇足になって失点する系。

図の流れと文章の流れをヒントにしたり。

文章全体での対応を考えたり。

文章問題だけど、プログラムのデバッグをしているような感覚にもなりました。「あの変数がここで使われて~そんでこの処理で~」みたいな。



問4 | システムアーキテクチャ

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