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誰かの羽になる 2021.5.27

今日は一日自宅作業。
同じく自宅勤務日の夫と居間で仕事していると、ベランダのアゲハ蝶のサナギの話に。
「羽化にそんなに長くかからないはず。力尽きたんじゃないか」という夫の話にショックを受けていたら、
夫がサナギの中を調べてくれ、なんと空っぽ!

推察するに、昼間ふと見かけたアゲハはおそらく、サナギがついていたユーカリの木から移って壁をよじ登った成虫。
別のアゲハだと思ったら、羽化した姿だったとは。
サナギから出る瞬間、見届けられず残念だけれど、
いずれにせよ、無事育ってくれて本当によかった。
飛び立ったあの姿は美しく、輝かしかった。

昨年、初めての緊急事態宣言が出た直後、
それまでイベントなど対面で本の話をし、本を売って、文章講座などしてきたセンジュ出版にとって、
まるで手足をもがれたような気がし、絶望していた。
数週間自宅に引き篭もり、そうして落ち込みきったわたしが始めたことが、オンラインでの対談配信だった。
何度も何度も失敗し、その失敗の種類も多岐に渡り、その都度独学を重ねた。
マシンスペック、カメラ、マイク、ケーブル、回線速度、スイッチャー、変換アダプター、オーディオインターフェイス、ハイブリッド配信、それぞれのことを一つひとつ。
幸いだったのは、苦手なことが多い私がこうした機材を扱うのが案外嫌いでなかったこと。
少しずつ、安定した配信がかなうようになり、
自宅以外での出張型にも対応できるようになってきた。

芋虫になり、サナギのようにじっとして本を読み、
サナギの中で準備を進めてきた今、
センジュ出版には新しい羽が生え、
遠くまで飛べるようになって、最近では海外の方々と対話することも少なくない。
オンラインで出会っていった方々のそれぞれの場所にいつか、直接会いに行くことが目標になった。

本は、対話は、誰かの羽になる。
空から見える景色、芋虫が見る景色、
それぞれの美しさを知る人生も悪くない。


#今日の一冊
#よきことはカタツムリのように
#辻信一
#147 /365

#ナミアゲハ
#羽化

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センジュ出版 代表 吉満明子
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