高齢社会の課題! 認知症の一種「血管性認知症」
はじめに
認知症の中でも「血管性認知症」は、脳血管の異常によって引き起こされる特定のタイプの認知症です。日本の高齢化が進む中、血管性認知症への理解と対応はますます重要になっています。
血管性認知症とは?
血管性認知症は、脳への血流が阻害され、脳細胞が酸素や栄養を十分に得られなくなることで発症する認知症の一種です。この状態が続くと、脳の一部が損傷し、記憶や認知機能に影響を与えます。血管性認知症は、アルツハイマー型認知症に次いで2番目に多い認知症の原因とされていますが、その進行や症状の現れ方には大きな個人差があります。
原因
血管性認知症の原因としては、脳卒中や脳梗塞、高血圧、糖尿病などが挙げられます。これらの疾患が原因で、脳内の血流が一時的または恒久的に途絶え、神経細胞にダメージを与えることがきっかけとなります。特に、動脈硬化による血管の詰まりや破れが、認知機能に大きな影響を及ぼすことが知られています。
また、血管性認知症は単一の原因によって発症するケースと、複数の小さな脳梗塞が重なって発症するケースがあります。前者は比較的急激に認知機能の低下が現れるのに対し、後者は徐々に進行することが多く、これが診断を難しくしています。
主な症状
血管性認知症の症状は、アルツハイマー型認知症とは異なる特徴がいくつかあります。ここでは、その代表的な症状を紹介します。
記憶障害
血管性認知症でも記憶障害は見られますが、特に初期段階では、アルツハイマー型ほど顕著ではない場合があります。短期記憶よりも、具体的な手続きや判断力に影響が出ることが多いです。判断力や計画力の低下
日常生活における判断力や計画力が低下するのも、血管性認知症の特徴です。例えば、複雑なタスクの遂行や計画立案が困難になるため、日常生活での不便が生じます。感情の不安定性や抑うつ
血管性認知症では感情のコントロールが難しくなることがあります。突然怒り出したり、理由もなく落ち込んだりするなど、感情の不安定が見られることが多く、周囲の家族にとっても負担になることがあります。歩行困難やバランス感覚の低下
血流障害によって脳の運動機能が影響を受けると、歩行困難やバランスの低下が生じることがあります。これにより、転倒のリスクが高まります。
診断と検査方法
血管性認知症の診断には、MRIやCTスキャンなどの画像検査が一般的に用いられます。これらの検査により、脳内の血管の異常や梗塞が確認され、症状との関連が評価されます。また、心理テストや認知機能テストも併用されることが多く、認知症の進行度や具体的な症状を総合的に判断します。