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ドラマ『ライオンの隠れ家』は、その世界観にどっぷりと引き込まれました!

「今クール (私が)期待する秋ドラマベスト3」に入っていたドラマ『ライオンの隠れ家』。初回、期待を裏切らない滑り出しに心躍りました。

柳楽優弥と坂東龍汰の兄弟っぷりがあまりにも自然で、本当に兄弟じゃない?というほどのリアルさが感じられました。

自閉症スペクトラム(ASD)という特性を持った、坂東龍汰演じる弟・小森美路人(通称:みっくん)を優しく見守る柳楽優弥演じる兄・小森洸人。

洸人は市役所に勤める真面目な青年。みっくんは小さなデザイン会社で働いていて、芸術方面に突出した才能があるようです。

二人の日々の生活は”凪のような”という言葉で形容されていましたが、実に規則正しく穏やかなもの。そんな生活は、毎日同じルーティンをこなすことによって成立していました。こだわりが強く変化に対応するのが苦手なみっくんのことが常に最優先で、洸人は弟のために生きている様が垣間見えました。

だからといって洸人自身がそういった生活を嫌がっている風でもなく、兄弟二人の平穏な生活を守りながら継続させていくことが、自分に課せられた使命のようなものだと達観しているように感じました。

「僕たち兄弟にとっては、何も変わらないことが何よりも大事なことだった」という洸人のナレーション。

「違う景色か…」と洸人がつぶやいた言葉は、それを見ることは叶わないと言っているようにも聞こえました。

そんな二人の前に突然現れたのが”ライオン”と名乗る男の子。二人の生活に”ライオン”という異分子”が加わることによって、兄弟二人だけの静かで穏やかな生活に波風が立っていく…。

「帰らない。ここで暮らす。ここで暮らします!」

そう言って”ライオン”から洸人に渡されたスマホ。そこには「じゃあ、あとはよろしく」というメッセージ。カレーにマヨネーズをかける”ライオン”。

……もしやこれは!?昔少しだけ一緒に暮らした異母姉・愛生もカレーにマヨネーズをかけていました。さらには「じゃあ、あとはよろしく」という言葉を残して、愛生は突然姿を消した…。

愛生が”ライオン”の母親ではないかと疑い出す洸人。

洸人が”ライオン”をお風呂に入れようとしたところ彼にはアザがあり、”ライオン”は親から虐待を受けてきたのではないかと容易に想像できました。

「大丈夫。この家にいれば安全だから」

という”ライオン”のつぶやきが切なく響きました。

みっくんは、穏やかな日常をかき乱す要因である”ライオン”の存在をおそらく脅威に感じながらも「そのプライドは安全ですか?」と洸人に問いかけます。

このプライドの意味は、動物のライオンの群れや親のこと。”ライオン”の背中のアザを自分も目にしてしまったみっくんなりに、”ライオン”のこと思いやっての発言だったのかもしれません。

一度は警察へ”ライオン”を連れて行こうとした洸人はなぜか警察へ行くことを思いとどまり、親戚の子として自分の職場へ連れて行きました。

「何が正解なのかは分からない。だけど、僕は違う景色を見てみることにした」

洸人のこの気持ちは、3人での新たな生活の始まりを意味していました。

小森家の”ライオン”騒動と一緒に描かれるのが、山梨県で行方不明になった妻と子どもを探す向井理演じる橘、捜査にあたる柿澤勇人演じる刑事・高田、高田に近づく桜井ユキ演じる雑誌記者・工藤…この3人が絡む事件。

この事件と洸人、みっくん、そして”ライオン”がどんな風にこれから交わっていくのか?濃密なヒューマンサスペンスが幕開けしました。

洸人役の柳楽優弥は、洸人の抱えているさまざまな感情を目の動き一つで巧みに、またみっくん役の坂東龍汰は、自閉症スペクトラムの特性を細やかな演技で見事に演じていました。二人の演技に魅せられました。

この作品は二人の俳優人生における、大きな分岐点になりそうな気がします。

”ライオン”役の佐藤大空くんも、自然な演技で”ライオン”の抱えた心の葛藤までをも演じきってくれていました。

柳楽優弥がインタビューで”成長”という言葉を何度も口にしていましたが、この作品の世界観を作り上げる核となる3人の俳優陣の”成長”というケミストリーによって、これからの展開は何十倍も、何百倍も面白くなっていくドラマだと感じました。

早く第2話が観たい!金曜日が待ち遠しくてたまりません!!

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