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ドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室』は、もっと評価されてもいい良質なドラマだったと感じています

ドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室』が最終回を迎えました。最後までほっこり&ウルっとさせられました。

第8話のラストで「身元不明人相談室」チームの仲間、戸次重幸演じる元公安捜査官・堀口が亡くなるという衝撃的な展開があり、そこから最終回までの流れはそれまでの一話完結のエピソードとはまた一味違う楽しみ方ができました。

まさか堀口自身が実は別人で、身元不明の遺体として扱われることになるとは!!

どうやら戸籍を偽って警察官になったようで、事情を知っている様子の吉田鋼太郎演じる利根川が止めたものの、小芝風花ちゃん演じる桜と大島優子演じる真の熱血コンビが堀口は本当は何者なのか?の謎に迫っていきました。

堀口の妻・由理恵を演じたのが星野真里でしたが、どんな役でも見事にこなすさすがの演技力で、ストーリーに深みを持たせてくれていました。

由理恵は、父親が殺人罪で服役中ということが離婚した夫の身内に知られて離婚。息子の翔太を一人で育てようと孤軍奮闘したものの、近所にもそのことがバレて嫌がらせを受けていました。

そんなとき「僕も似たようなものですから」と由理恵に手を差し伸べてくれたのが、当時まだ交番勤務だった堀口でした。

つまり、堀口もまた身内に犯罪者がいるのでは!?と、堀口が強くこだわっていた山形県で起きた殺人事件を調べるうちに、ある一つの殺人事件にたどり着きました。

おそらく堀口の本当の正体は″伊藤和宏″。父親が借金の取り立てに来た男を刺殺してしまい、その場に居合わせた当時11歳の少年でした。

桜が山形へ行こうとすると、利根川は「あいつは、俺のせいで死んだ…」と。

実は利根川は、公安部長の杉本哲太演じる佐川の不正(代議士・高山の汚職や暴力事件のもみ消し)を内部告発しようとして「身元不明人相談室」に飛ばされました。元公安の堀口は戸籍の偽装の件で佐川に弱みを握られていたのか、利根川の監視を佐川から頼まれていたのでした。

それに気づいていた利根川は、堀口に「一緒に佐川を告発しないか」と誘ったものの断られ、その後堀口は亡くなった…。

おそらく堀口は利根川の誘いを断ったものの告発するべきか悩み、佐川と高山の密会の証拠を押さえようとクラブへ行き、ホステスに暴力を振るう高山を目撃して止めに入り高山に突き飛ばされて頭を強打…それが原因で亡くなったと思われました。

桜と真は堀口が山形県南陽市の元警察官・磯辺に毎月10万円振り込んでいることをつかみ、堀口の母親も今も変わらず南陽市に住んでいることを突き止めて二人の元へ。

最初は堀口が″伊藤和宏″とは認めなかった二人でしたが、和宏が亡くなった事実を伝えると思い口を開き始めました。

父親が目の前で人を殺してしまったことを目撃した和宏は引きこもりがちになり、いつしか寄り添ってくれた磯辺のような警察官になりたいという想いを抱くようになりました。

身内に犯罪者がいると警察官にはなれないのが定説のため、磯辺が公安の佐川に相談したところ戸籍の偽装を提案され、堀口として生きることに。母親も息子である和宏に「自由になりなさい」と、その背中を押しました。

それ以来29年間母親との連絡を絶っていた堀口は、亡くなる直前母親に手紙を送っていました。そこには戸籍偽装の罪を償って、″伊藤和宏″としてもう一度生き直そうと思うことが綴られていました。仕事仲間と家族にこれ以上嘘をつきたくないと…。

最終回、「身元不明人相談室」のメンバーたちは堀口の無念を晴らすため一致団結。戸籍偽装は公になっても構わないという由理恵の後押しもあり、磯辺の証言から佐川が堀口の戸籍偽装に関わったことをまず明らかにしました。

さらに防犯カメラの映像から佐川が高山の暴行現場近くに居合わせたことをつかみ、口止めされたホステスの盗撮した写真から佐川と高山の関係を証明し、高山の暴力のせいで堀口が頭を強打した後に亡くなったという証言も引き出しました。

佐川は公安部長の座を退き、高山を守る盾はなくなりました。堀口の弔い合戦はこうして無事に幕を閉じました。

最終回まで引っ張った桜の命の恩人の身元不明の男性のことも、インターネット番組をきっかけに判明。男性の名は藤田昭良。妻と娘は自分たちは捨てられたと、遺骨の引き取りを拒否しました。藤田は難病を煩い、家族に金銭的な迷惑をかけないために姿を消そうとしたようでした。

藤田の残したバスチケットを手がかりに、藤田は亡くなる前日昔家族3人で行った山梨の秋桜畑を訪れていたことが分かりました。自殺しようとした桜を助けて娘に会いたくなった藤田は、家に戻ろうと決心した矢先に突然亡くなってしまったのでした。

「昭良さんはここに帰ろうとしていたんです。最後まで一緒に生きるために…」

その言葉を聞いて藤田の妻は出せなかった離婚届を破り「彼に会わせてください」と。

桜の命の恩人・藤田を、家族の元へやっと帰すことができました。

一方真は、震災で今も大切な誰かを待ち続けている人たちの力になりたいと福島県警へ異動することを決意しました。お互いに寂しい想いを涙涙で分かち合った後に、真が桜に言った言葉が素敵でした。

「私たちは、絶対にいつか再結成しよう。お互いにもっと腕を磨いて。いつか絶対…」

このドラマでの桜と真の友情と熱血コンビぶりも観ていて気持ち良かったです。小芝風花ちゃんはもちろんですが、今回の大島優子はハマり役で非常にいい演技していました。

最近は”無縁仏”の数も増えているそうですね。少なくとも家族がいる”身元不明遺体”については、その身元を突き止めて家族の元へ帰してあげたい…「身元不明人相談室」が警視庁に実在する意味は確かにあると思います。

このドラマの立役者の一人(一つ)は、毎回エンディングで流れるヨルシカの「忘れてください」でした。ご遺体の身元が判明して、遺骨を引き取る決心をしてくださったご家族に桜と真が頭を深々と下げたり、亡くなられた方の幻影が現れて桜に微笑んだりするときに流れてきたこの曲に何度泣かされたことか…。

「忘れてください」というタイトルとは裏腹に「忘れないでください」という想いが込められているような歌詞に、このドラマの世界観が凝縮されていると感じます。名曲です♪

ドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室』。個人的にはもっともっと評価されていいと感じた、心温まる良質な作品だったと思っています。お互いに成長した桜と真がいつか再結成する続編を観たいものです!

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