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ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』は、今日が明日に繋がる希望を実感できる素敵なドラマです!

″アンメット″とは、直訳すると「満たされない」という意味だそうです。

ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』。主人公・川内ミヤビを演じるのは医師役初挑戦の杉咲花。ドラマでも映画でも、その確かな演技力でいつも魅了してくれる彼女の演技が私は大好きです。泣くシーンが特にいつも印象に残ります。

目覚ましが鳴り、目覚まし時計の裏に貼り付けられたメモ「おはようございます。まずは机の上の日記を読むこと」

次にスマホの裏のメモ「とにかく机の上の日記を見る」

机の上の日記帳のメモ「7時までに全部読むこと」

私は脳外科医で、こういう事態が起こり得ることを知っている。状況を理解したら今日を始める準備をする。日記を読んで、想像して、すべての記憶を憶え直す。
今日できることを精一杯やる。私には今日しかないんだから。

ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』より

ミヤビは一年半前、交通事故に遭い脳を損傷。その後遺症で記憶障害が残りました。事故の前の半年を含む、約二年間の記憶をがすべて失われていて、新しいことを記憶することができません。記憶は一日限りで、一晩寝ると昨日の記憶は失くなっています。

机の上に置いてある分厚い日記帳が、彼女の相棒。そこには毎日自分に起きた出来事〈その日何があって、誰に会ったか。どんな患者がいて、どんな話をしたか〉が細かく書き綴られていて、それは彼女の記憶の代わり。毎朝それを読んで失った記憶を補てんするのが彼女のルーティン。

ここ二年間のことは記憶にない。昔のことは、よく憶えているのに。
毎日少しずつ積み上げてきたすべての記憶が、未来の自分を作っている。信頼も、愛情も、自信も。
昨日の記憶が、私たちを明日に繋げる。
今日が終わって明日が来ることは、当たり前だと思って生きてきた。
昨日の記憶を失うまでは。
”私はまだ医者なのだろうか?”

ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』より

この”私はまだ医者なのだろうか?”という深い葛藤が、彼女を苦しめているように感じました。将来を嘱望された優秀な脳外科医だったミヤビが今では看護助手として働いている…。

そんなミヤビが働く丘陵セントラル病院に赴任してきた、若葉竜也演じる脳外科医・三瓶友治。ミヤビが記憶障害と知りながらも「ただでさえ人手が足りないんだから、できることはやってもらわないと」「記憶がなくても治療はできるはずだ」とミヤビを医師としての現場に戻そうとします。

「強い感情は忘れません。記憶を失っても、その時感じた強い気持ちは残るんです」
「記憶がなくても、心が憶えてるってことですか?」
「そういうことです」

ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』より

三瓶とのこの言葉のやり取りが何度か初回に出てきましたが、”心が憶えている”ということは確かにあるのではないかと私も感じます。

吉瀬美智子演じる看護師長兼医療安全室長の津幡玲子は、ミヤビが医者に復帰することに対して反対します。ですがミヤビの主治医である井浦新演じる大迫教授も、記憶障害を負う前の医療知識や経験は完全に残っているミヤビが医者に復帰することを認めます。翌日に持ち越さない業務なら、医療的リスクは存在しないだろうと。

初回は、病院に運び込まれてきた女優の赤嶺レナをめぐるストーリーでした。診断は脳梗塞。夫でマネージャーの江本の同意のもと、脳梗塞の治療を受けたもののレナは後遺症による失語症と診断されました。女優としては致命的です。

三瓶は検査の結果、再発率を低下させられること、言語機能の回復も期待できることから手術することを江本に勧めます。ミヤビもそのレナの手術に立ち会うために縫合の練習を始めました。

二人の夢だった主役の話が流れたことをレナに告げると、江本は「レナ、これからどうしたい?」と尋ねました。するとレナは泣いて暴れ出しました。「レナにとっては一番残酷な質問だったのかもしれない」と涙を流す江本。

その騒動の記憶も失くしているミヤビは翌日改めて日記を読み返し、複雑な感情を抱いてしまいます。「こんな大事なことも忘れちゃうんですね」

津幡看護師長は「外来で診察ができても、医者の役目はそれで終わりじゃないですよね?医療というのはもっと総合的なものじゃありませんか?」と。

悩んだミヤビは三瓶に「自分は手術はできない」と告げます。気持ちはありがたいけれど、レナのためになりたいと思っても次の日には自分が思ったことも忘れて寄り添うこともできない…。葛藤したことも憶えていない自分が患者を診てはいけない。ましてや、手術なんてできないと。

そんなミヤビに三瓶が言った言葉が、ミヤビの胸に突き刺さりました。

「川内先生、あなたは障害のある人は人生をあきらめてただ生きてればいいと思ってるんですか?絶望してしまうのは仕方ないと思います。でも患者が救えないことより、ご自分の絶望が怖いなら、仕方ないですね」

ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』より

三瓶の言葉にただただ泣きじゃくるミヤビでした。

レナは手術をしないと言い出します。江本は「レナは残りの人生をあきらめています」言いますが、ミヤビは「江本さんもあきらめているんじゃないですか?私は、お二人がこれまで過ごしてきた時間を詳しくは知りません。ただ、知ってることもあって」そう言って、レナがこれまでに病院で毎日少しずつできることが増えてきた過程を日記を見ながら説明し「お二人はとても幸せそうに見えました」と。江本はもう一度レナと話をしてみると。

江本は「レナ、俺はあきらめたくないよ。こういう俺たちの人生」とレナに言います。レナは笑顔を見せて手術を承諾しました。

手術は三瓶が執刀しましたが、手術時間を予定より短縮しないといけない状況が発覚し、ミヤビに手術を手伝うように言います。

「川内先生、できます。あきらめたくないんですよね?記憶がなくても、あなたが積み重ねてきた努力は身についています。昨日を憶えてなくても、あなたが生きてきた日々は確かにあるんです。その自分を信じてください」

ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』より

その三瓶の言葉に背中を押されて、手術を手伝うことにしたミヤビ。その鮮やかな手際のよさに驚く若い医師。ミヤビの脳外科医としての技術の高さが裏付けられました。

手術後、レナはSNSで自らの言葉でファンの人たちにメッセージを送りました。「私は言葉を失いました。もし皆さんの前に立てなくても、それでも女優でいたい。これが私だから」と。

そのレナの姿に勇気をもらい、泣き笑いするミヤビ。それを見つめる三瓶。

「すみません。憶えてないくせに」
「記憶を失っても、強い感情は忘れません。患者を助けたいと強く願えば、その想いは心が憶えてるんです。繋がりましたね。川内先生の今日が明日に」

ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』より

ミヤビはその夜、日記の中の「わたしには今日しかない」という言葉に打消し線を引いて「わたしの今日は明日に繋がる」と書き直しました。

もう一度脳外科医として、新たな一歩を踏み出していこうとするミヤビがこれからどうなっていくのか?三瓶とミヤビの関係は?失われた二年間に潜んでいる謎は?回を追うごとに明らかになっていくであろうドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』から目が離せません!

ちなみに三瓶役の若葉竜也と杉咲花は映画『市子』でも共演していました。実は『市子』のレビューを書こうとしていたんですが、どうもうまくまとまらなくて途中で止まっています。今回のドラマが終わった頃何かまた違う感情が生まれてくるかもしれないので、その時には『市子』のレビューを書いてみようと思っています。

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