『最悪な出社日』ってこんな感じ。
ああ。朝からスマホの圧がすごい。
でも、体は言うことをきかない。
というか、きかせる気力もない。
だったらいっその事、全人類の安全が保証される地震とか起きて、会社に行ってはいけない状況になったらどうだろう。
行っちゃダメなんだから、休んでも問題ない。全人類の安全も保証されているんだから大丈夫。
なんて意味不明なことを考える。
まあ、そんなことは起きないから、仕方なくスマホに構ってあげる。
時刻は7時10分。
あ。そう言えば、熱はないかな?
今日は土曜日じゃないかな?
無駄な抵抗。
大丈夫。
熱はきっと36度だし、今日は水曜日。
ああ。まだ水曜日か。
水曜日ってことは今日を含めて最低8時間×3日は拘束されなくてはならなくて、プラス残業もしなくてはならなくて、プラス苦手な人と一緒にいなくてはならない。
これは苦行だ。
私は前世で悪事でも働いたのか?
なんて思っていたら、もう一度スマホが圧をかけてくる。
時刻は7時20分。
もういい。
目覚ましアプリを開いて、この先の時刻をoffにする。
わかったわかった。ちゃんと起きるから。
なら、今からの計画を立てよう。
もしかしたら、ないやる気がひょこっと出てくるかもしれない。
まずは歯磨きと洗顔で10分。
メイク10分の着替え5分。
合計25分。この流れでいこう。
って考えてたら、苦手な上司がポンっと頭の中に出現する。
あーだめだめ。
まだ出てこなくていい。
時刻は7時25分。
8時には何とか出れそうだ。
とりあえず歯を磨く。
ぼーっとした頭の中では、会議の空気感、職場の上司の口調、無気力な私の仕事っぷりが完璧に再現される。
さあ次は洗顔。
モコモコの泡を水で洗い流す。
さあ。メイクだ。
ここまでなぜか20分もかかってしまった。
なかなか予定通りにはいかないものだ。
マスクしていくから、見えるところだけでいいや。職場のメイクなんて何でもいい。服なんて昨日と違えば何でもいい。
あ。そういえば、上司に服装のことディスられたんだっけ。
もうこの服、着れないな。
ああ。お気に入りだったのに。
なんてしている間に、
無気力スウェット姿の私は、紺色のジャケットを着たOLっぽい格好に。
大丈夫。いい感じ。
よし。出かけるか。
あれ?
動かない。
玄関から一歩も出られない。
というか、行き方が分からない。
時刻は8時10分。
どうやって歩くんだっけ?
玄関で涙がポロポロ出てくる。
あれ?これ休んだらどうなるの?休み癖ついたらどうするの?でも行けないの。どうしよう。
私これからどうしよう。
時刻は8時20分。
時間が迫ってきている。
ああ。これ間に合わないやつだ。
でも、行かなきゃ。まだ頑張ったら朝礼には出れるかもしれない。
こんなところで休んではいけないんだ。
時刻は8時35分。
『ごめんなさい。今日はお休みします』
いや、今日からお休みします。