毎日読書#283 『ぼく東奇譚』(永井荷風)
外出の自粛中とはいえ、午後は外出する人も多く、スーパーなどはなかなかの混雑なので気が抜けない。とはいえ、散歩の一つもしないと身体がなまってしょうがないし、筋肉も衰えてしまう。
子ども達は、元気のかたまりなので、どうしても外へ出たいと譲らないので、人の少ない午前中を狙って近所の公園へ出かけるのだけど、皆考えることは一緒で子連れが沢山いて、遊び方が難しい。
広場や遊具は人でいっぱい
これだけ広い公園なので、はしでちんまり遊んでいれば問題ないのだけど、たまに「コラおじさん」みたいなのが怒鳴っていたりして怖いので、気の小さい我が家は、人の少ない茂みの中や、公園内の川で遊びます。
流石に大人な私は我慢ができるので、人の少ない午前中だとか、夜間だとか、そういった時間帯を狙い、さらに人の少ない住宅街をこそこそしながら散歩をしたりする。
何も考えず堂々と出歩く人も多いと思うのだけど、私は元来、心配性で気が小さいので、目立つ散歩コースを歩くことができない。後ろめたさがぬぐえない。
黒いウレタンマスクをして夜の住宅街を歩いているので、もう職務質問待ったなしの風貌で、それだけで大変な悪事を働いているような気持ちになったりする。街を気ままに歩けるようになるのはいつになるのやら。
せめて、街を気の向くまま歩いていた永井荷風でも読もうかと思いあれこれ探して出てきたのが『ぼく東奇譚』の新潮版。
本作は、散歩というよりも、逢瀬に出かけるオジサンの話なのだけど、冒頭の導入、吉原の古書店からの帰り、言問橋近くで職務質問をされるあたりまで読むと、そのままスッと小説世界に引き込まれ、読了までの1時間か2時間(この作品は比較的短い)、気持ちよく浸れた。
しかし、残念なことに新潮文庫版は、木村荘八による挿絵が無かった。何か事情があってのことだと思うけど、これには少しがっかりした。なぜ、私は新潮文庫版を買ったのだろうか。確か、これが岩波だと挿絵が全部入っていたはずなので、そのうち書店に気安く通えるようになったら探しにいこう。