毎日読書#222 『靴磨きの本』(長谷川裕也)
靴に興味のある方、または靴に興味の無い方にお勧めの靴磨き本です。
私、ファッションに疎いというか、あまり興味が無い。服にも靴にもカバンにも執着は無い。でも、ヘンテコな格好をして笑われるようなことも望まない。であれば、超無難で普通を目指そうと思い至る。
そこで、超無難な靴について、あれやこれやと調べ、最も無難で誰からも何も言われない靴選びをするようになった。
という顛末を書いたのが先日のこの記事。
結果、内羽根のストレートチップを綺麗に履いてさえいれば、どこへでも出かけていけるという事がわかった。
そこで、合理的な判断(と自分では思っている)のもと、同じスタイルの革靴を5足そろえ、それをローテーションして使うようになった。
ただ、そうすると、どうしても長持ちしてしてしまう。一番古い靴はもう20年近い。
しかも、靴はピカピカまではいかなくとも、それなりにキレイにしておかないといけないので、どうしてもメンテナンスが必要になる。そこで靴屋に相談し、靴屋の勧めにしたがい(靴屋は、私が靴に対して異常な愛情を注いでいる靴マニアだと勘違いしがちなのだ)アレコレとメンテナンスの道具を買い求める事になり、なんだか本格的なセットがそろってしまっている。
ここまでくると、凝り性な性格が災いし、どうしたってスタンダードな靴磨きとは? という疑問が湧いてきて、気になって、知りたくなって、実践したくなる。
前置きが長くなってしまったが、そんな私に靴磨きの基礎を叩き込んでくれたのが本書だ。本書を手に入れるまでは、靴屋にすすめられた道具をつかい、なんとなくその場で言われた事を思い出しながら我流で磨いていた。
それはそれで、割と綺麗にはなるし、大きなトラブルもなかったので問題はなかったのだけど、上記のような経緯で「正解」を知りたくなってしまい、あれこれと探し回って手に入れたのが本書だったのだ。
この本、良いよ! 買おう。
本書では、基本的な磨き方に加え、アレンジ磨き、トラブル対応、修理への指南など、靴を大事にし、長く使えるようにするための情報が必要十分に掲載されている。
そう、一般的な靴磨き人にんとっては、必要十分というにふさわしい網羅性なのだ。おそらく、この先には途方もない磨き道が続くのだと思うのだけど、そこまでの情報は要らない。普通に気持ちよく磨いて靴が綺麗に長持ちしたらそれでよい。必要十分。
ということで、良い本ですよ。紳士なら買おう。
そしてね、本書、何が素晴らしいって。綴じが素晴らしい。
書店で見るか、いっそ本書を買ってほしいのだけど、ページを開いても勝手に本が閉じない。リングノートのような勢いで開きっぱなしの状態を保持してくれている。
この配慮はステキだよ。両手がふさがる作業のマニュアルでもあるので、この綴じには心の底から感心した。もう、これに感心するためだけに買っても良い位。
最近子供と折紙の本を見ながら折る事が多いのだけど、大抵の折紙本は、本を何かで固定しなければ、勝手に本が閉じてしまう。
「ん、っもー」とか言いながら、肘で抑えたり、足で抑えたりしたながら折り紙を折っているのだけど、この本の綴じ方を知っているだけに、残念な気持ちになってしまう。折り紙本の編集者にこの本を送ってやりたい。この本で茶を入れて飲ませたい。
折り紙の本は、すべてこの綴じで製本してほしい。