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毎日読書#236 『潮が舞い子が舞い 1』(阿部共実)

若い子たちの、何でもない日常を描いた青春群像劇。

各キャラクターに御約束の味付けと意味付けがあって、あとはそれを舞台に配置し、キッカケをあたえる。そうすると、勝手に話がまわりだす。

その話自体は他愛もないし、特別何かをかりたてるわけでもないのだけど、それがすっごく心地よいのよね。

高校生あたりを扱った青春ものの小説や映画、ドラマって、どうしても若者に期待しがちな、無軌道さとか、無知からの無茶からの無謀だとか、そういったことをことさら描いていて、見ていると疲れるだけだったりするので、あまり好まないのだけど、本作はそういった事は全くない。

ただ、なんてことの無い日常の、それを少し良い感じにした上位互換バージョンが描かれていて、読んでいて全く疲れない。

刺激が無いという訳でないのよ。だから新聞四コマみたいなものとは違う。

WEB漫画にホリミヤと呼ばれる『堀さんと宮村くん』という作品があって、それを読んでいるときの、なんともいえない気持ちを思い出した。そうそう、あんなかんじ。ホリミヤは良い作品だったな。

自分が中高時代を過ごした時に、こんな友人たちが居たら良いな、というのが勢ぞろいしている。こんな出来事があったら良いなと思っていた事が起こる。こういう漫画、いいわ。ずっと読んでいたい。

そして、いつか、なんの大きな事件もなく皆が卒業して、それぞれの道に進んで終わってほしい。

突然武者修行に海外へ行ったり、性犯罪に巻き込まれたり、ピアノに目覚めたのに交通事故で腕を怪我したり、妊娠して退学になったりしないで、なんてことの無いまま、普通に過ごしてほしい。

頂いた本なのだけど、とても面白かった、ありがとう。二巻も買います。

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