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旅する本

夏休み前に生徒たちに
貸出していた本が次々と返ってくる。
本にとって、ひと夏の旅といったとこかな。

生徒たちからのお勧め映画を順に鑑賞しているうちに、季節は秋。
「暑さ寒さも彼岸まで」
くたびれてしまうほどの暑さも もうしばらくの辛抱。

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昨夜「天使のいる図書館」を鑑賞。
新米図書館司書の成長記と老婦人の思い残した初恋への旅。
美しい景観に恵まれた神話の里 ~奈良葛城が舞台。

本好きといっても、色々で・・
主人公さくらは、地図、辞書、図鑑を好み、
小説は誰かの主観であるので、読まない。
知識は豊富だが人の感情には疎い。
でも、真面目で、まっすぐで、純真。

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新米の図書館司書のさくらは、
ある日、利用者の質問に知識で答えてしまい
先輩司書から「勉強して」「ズレとる」っと
叱られてしまう。
質問の意図、言葉の真意を読み取るのが苦手なさくら。

また・・別の日。借りた本を紛失してしまう。
「弁償します」と言うさくらに 先輩司書は

「お金を払って解決してほしいわけではないの」
「買い直すのは簡単だけど、一冊一冊大切にしましょう。
図書館には絶版本、古い本もいっぱいあるでしょ。
人が読んだ本を また別の人が読むの。
この本はたった一冊 でも、たくさんの人が読んだ一冊なんよ。
色んな人の色んな思いが詰まっている。
誰かにとっては 大切な思い出の本かもしれないでしょ」・・と。

(心に残ったシーンで何度も観てしまった)

さくらは、人生の先輩(礼子さん)職場の先輩たちに見守られ、
育てられ、今まで培った知識に、色んな思いや経験を重ね、
本物の図書館司書になってゆく・・(そんな予感)

大人への階段を上るのはこれから・・
一歩一歩がんばれ さくら!・・と、ずっと見守っていたくなる。

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老婦人・礼子さん役の香川京子さん、気品があって素敵だった。
多くを語らない礼子さんの眼差しは、さくらを優しく包み込んでいて、こんなおばあちゃんになれたらいいな・・と。

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手から手に・・ときに国を越えて、本が旅をする。
新しい本にはない味わい・・

何を読んで大きくなったのか、また今何を読んでいるのか、
どんな本に興味があるのか、心は何を求めているのか・・
振り返ると、自分の成長やそのときの心模様を読んできた本が教えてくれる。自分の本棚は今までの自分を知る道標でもあるのかもしれない。

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映画の中で中河与一著「天の夕顔」の文章が紹介されていた。

「僕はいつまでも あなたを待ちましょう。
あなたの心が自由になれるまで」

まるでブラーム・・読んでみたいと思う。

いい恋は、一生心の中で生き続けているのだろう。
最後に会いたい人は誰ですか?
そんな声が聞こえてきそう。