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ファーストアプローチの成功率を上げるためのゼロアプローチ《販売力向上講座note》

*こちらは無料記事です

こんにちは。接客販売トレーニング&コンサルティング事務所 kocori(ここり)代表の坂本りゅういちです。
今回の記事はこんな内容↓


■ゼロアプローチを考えてみよう

・ファーストの前の”ゼロ”を強化

ファーストアプローチは、販売員にとって永遠の課題です。

どれだけ慣れている販売員でも、お客様は日々変化しています。
3年前、5年前、10年前と比べてもお客様の買い物の仕方や感覚は大きく変わっていて、だからこそファーストアプローチもこれまで成功していたはずのことが通用しなくなってくるわけです。

このファーストアプローチについては、いろんな考え方があります。
動き方やどんな言葉を使うかなど、それぞれで工夫が凝らされていますよね。

でも少し待ってください。

そもそも、ファーストアプローチが成功しやすい状況が作れているでしょうか?

お客様にどんな言葉をかけようと、どれだけパーフェクトな動きで近づこうと、その前段階が整っていないと成功率は下がります。

僕はこれを『ゼロアプローチ』という言葉で提唱しています。
拙著『買った後を想像させれば誰でもこんなに売れる!』でも書いていますが、最初にアプローチする前の印象が悪ければ、お客様はどんな声をかけられても「接客されたくない」という気持ちが強くなりやすいのです。

今回はこのゼロアプローチについて、(これまでも散々いろんなところでお伝えはしてきましたが)改めてお伝えしていこうと思います。

・ゼロアプローチとは?

ゼロアプローチとはイメージしてもらいやすいように僕が勝手につけた名前ですから、別に名前を覚えてもらいたいわけではありません。
必要なのは、その中身への理解です。

ゼロアプローチを構成する要素は3つあります。

①表情
②あいさつ
③待機姿勢

この3つです。
細かい説明は書籍に書いているので省きますが、ゼロアプローチではこの3つを良い状態にすることで、
・お客様が店や店員に近づきやすくする
・店員側もお客様に近づきやすくする

効果を狙っています。

①表情

ゼロアプローチで求められるのは「この人なら接客されても良いかな」と思わせるような印象力です。

その要素の1つに『表情』があります。

良い表情と聞くと「笑顔」がイメージされると思いますが、決してそんなことはありません。

接客をする前の段階の話ですから、そんな状況でニコニコされていてもお客様はむしろ怖がります。(何もしてないのにニコニコ笑顔の人って怖くないですか?)

でも、仏頂面だとそれはそれで近寄りがたい。
このちょうど中間を狙った表情で店頭に立つことが求められるのです。

僕はこれを『微笑顔(びえがお)』と呼んでいます。微妙な笑顔、ではなくて「微かな(かすかな)笑顔」です。
ほんの少し口角が上がっていて、なんとなく印象が良く見える程度の笑顔ですね。

これをやるにはそれなりに練習が必要なのですが、僕自身実験をしたことがあります。

当時僕が立っていたとある店頭は、駐車場の入り口が近く、しかもその入り口がわかりにくい場所でした。
そのため、お客様から「駐車場どこですか?」と聞かれることが非常に多い場所だったのです。

僕がこの店頭に立っている時に実験のために、
・普通の顔
・微笑顔

の2種類で立ってみました。

普通の顔の時もお客様から声をかけられて「駐車場どこですか?」と聞かれることはあったのですが、微笑顔で立ってみるとなんとその4倍ほどの数声をかけられる回数が増えたのです。

これはつまり、お客様が声をかけやすい表情があるということの証左です。

これ以来僕が店頭に立つ時は微笑顔を意識するようになりましたが、やはり周りのスタッフと比べてもお客様から声をかけられる頻度が高かったのは言うまでもありません。
この微かな笑顔を1日店頭に立っている間どれだけキープできるか。
これがまず第1ステップです。

②あいさつ

少し前に『『目を見て挨拶』は本当に正解ですか?』という記事を書きましたが、あいさつって実は意外と難しいものです。

店にもよりますが、マナー研修であるようなあまりに仰々しいあいさつはお客様を緊張させてしまいますし、かといってあいさつをしないのもそれはそれでお客様は嫌います。

距離や店のBGMやお客様に合わせて、適切な声量、適切なトーン、適切な言い方というものがあるんですね。

この内特に、『トーン』については気をつけてもらいたいポイントです。

『トーン』は『調子』などとも言いますが、音の高低をイメージするとわかりやすいと思います。
少し高めで、かつハリのある声。
言葉で言うのは簡単ですが、これがとても難しいんですね。

そもそも自分がどんなあいさつをしているかなんて、ほとんどの人はよくわかっていません。
なぜなら、自分のあいさつの声を聞いたことがある人は少ないからです。
思っているよりも低い声になっていたり、なんだか元気があるように聞こえないあいさつだったり。

だからあいさつも練習が必要なんです。

良いあいさつとは何かを店のみんなで共有しつつ、練習を重ねておくことで、常日頃から良いあいさつができるようになります。
あいさつを舐めてはいけません。

③待機姿勢

そしてゼロアプローチで最も重要なのが、『待機姿勢』です。

つまり「どうやってお客様の入店を待つか?」ですね。

待機姿勢には一般的に
・静的待機(止まって待つ)
・動的待機(動いて待つ)

の2種類があります。

今の販売現場で静的待機が推奨されることはほとんどなく、ほとんどどんな店でも「動的待機で活気づけをしましょう」ということが言われています。
これは僕もその通りだと思います。
活気の無い店にお客様は入りたがりませんから、なるべく活気が出るようにしたいものです。

しかし、動的待機といっても単に「動いていればいい」というわけではありません。

よく駅ビルのショップなどで見かけるのですが、手を前に組んでダラダラ歩きながら「いらっしゃいませぇ〜」と店頭を歩き回っているショップスタッフがいます。
これは一見すると動いているように見えますが、活気があるようには見えませんよね?どちらかというと暇そうにしか見えません。

この動的待機は、動的待機のように見せかけた静的待機と変わらないのです。

業務上、販売員は常に店頭を動き回るわけにもいきません。
何かしら作業が必要で、立ち止まることだってたくさんあります。

そんな時でも「活気があるように見えるか」がポイントです。

そう考えてみると、お客様からどう見えているかが非常に重要になります。
そこで考えてみて欲しいのは、「仕事(業務)をやっているように見えるか?」が一つの指標になるでしょう。

お客様は明らかに仕事中の販売員がいる店の方が入りやすい傾向にあります。
なぜなら、自分が接客をされるであろうリスクが低く見えるからです。
他のお客様を販売員が接客しているお店が一番入店率が上がりやすいのですが、これも入店してくるお客様からすると「今接客しているから自分には来ないだろう」と思うと同時に「すでに他の客がいるからそれなりに魅力的な店なのだろう」と無意識に感じるからです。

他のお客様がいなければ別の業務でこの雰囲気を作り上げる必要があります。
そのための動的待機の工夫が必要なんですね。

たとえば僕がよくやっていたのは、店頭にただ立つ時には必ずペンと書類やiPadのようなタブレット端末を持っておくという方法です。

ただ棒立ちで手を組んで立っているよりも、手元に何かを持っているとパッと見で「仕事をしてそう」と見せることができます。

こうしたちょっとした工夫でお客様が入店しやすいかどうかは変わってくるのです。

ゼロを整えることでファーストも

こうしたゼロアプローチを整えておくことで、お客様の入店率も上がりますが、同時にお客様へ声をかけて会話ができる確率も上げることができます。

お客様からすれば印象の悪い人から声をかけられるより、印象の良い人から声をかけられた方がどう考えても接客を受けやすいからです。

ファーストアプローチに必死になるのも大事ですが、その前にまず接客をしやすい(受けやすい)印象を作れているでしょうか?
ご自身なりのゼロアプローチをぜひ作り上げてください。


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