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綿帽子 第二十四話

帰り道、タクシーの中で今日という日を振り返る。

診察室で聞かされたことを頭の中で整理しながら、思い悩む。
心臓の動きが良くなってきたとの報告があるが、程度としては8割の回復傾向らしい。

ちょっと待て、入院中少し心臓の動きが悪くなっていると聞いてはいたが、8割良く動くようになってっるて何だ?

先生表現がざっくばらんすぎて良く分かりませんが、それなら入院中はどんな感じだったのですかと聞いてみた。

「嗚呼、あの時は6割」

「どういう意味ですか」

「6割程度しかよく動いてなかったっていう感じ」

それもざっくばらんすぎて良く分からないよ先生。

それなら入院当初はどうだったのかと聞いてみた。

「嗚呼、あの時はもう殆ど死にかけ」

「え、そうだったんですか」

「まあ助かったから。そうだなぁ今度は一ヶ月後でいいかな、一ヶ月後に様子見させてください」

「え、先生ちょっと待ってください。一体どうやって暮らしていったらいいんですか」

「いや、普段通りで」

「散歩してますが、走ったりしても良いのですか」

「いいよ、運動することは良いことだし、苦しくなければ」

「先生その具体例が分からないのでアドバイス欲しいんですが」

「一応治ってはいるからね、普段通りとしか言いようがないな」

「分かりました、じゃあお風呂入っても熱湯で浸かっても寒いだけで、全く熱さを感じないんですが、これは一体」

「うーんそれはまあ専門外だからね、申し訳ない」

「はあ、分かりました。有り難うございました」

戸惑う。

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