中学の部活動で受けた理不尽②
最上級生の3年生が引退し、やっと気を遣わずにサッカーが出来ると思った私たち1年生に大きな敵が現れました。新体制になった最初の練習の冒頭、主顧問のH先生から話がありました。「受験生の進路指導などで練習はあまり見れない。その代わりに副顧問のS先生が練習を見てくれます。」H先生の代わりとなったS先生こそ、私の人生で最も印象に残っている人物といっても過言ではありません。
S先生はどのような人なのか。身長は180㎝以上で、ハーフのような顔立ち。教師をやっているとは到底思えないようなイケメンです。これは本人が語っているので真相は掴めませんが、某Jリーグチームに所属していたプロサッカー選手であり、引退後はファッションモデルをしてたとのこと。こんな先生は存在するのかと疑いを持たれそうですが、存在したのです。
S先生が主体となった練習がスタートしました。数回の練習をしていく中で、新体制の陣容も固まっていき、上級生の2年生と同級生の5〜6名がAチームとして選ばれました。私は当然のことながらBチームです。(笑) 1か月が経過したころ、チーム内で不協和音が生じてきました。その原因はS先生のAチーム贔屓が酷すぎたからでした。
練習後の片付け、グランド整備、練習試合時のコート作りなどは主に下級生の1年生が行います。何故かS先生はAチーム所属の1年生に「行わなくてよい」と指示を出したのです。私たちが雑用をコツコツとやっている傍らで、Aチームの同級生は着替えを済ませて帰っていくのでした。今思い返すとなぜ私たちはその状況を仕方ないと飲み込んでいたのか不思議で仕方がありません。
その後、S先生のAチーム贔屓は増す一方、Bチームへの扱いはどんどん悪くなっていきます。私たちの中学校は校庭を陸上部、女子ソフトボール部、野球部、サッカー部の部活が使っています。サッカー部は少し手狭ですが、200mトラックの内部を使用して練習しています。練習試合などがあるとトラック外まで使用できますがそれは特例です。そのような狭い範囲で練習をしていると練習の質の低下、ケガをするリスクが高まります。ある日の練習初めに、S先生がグラウンドを半分に区切るような線を引き始めました。私たちはまた新しい練習が始まるのかと思ってその状況を見ていました。
練習が始まり、S先生が衝撃の発言をしました。「お前らBチームの連中はこの線から入ってくるなよ」教育者である先生がこのような発言をしてもいいのかと唖然としました。ですがこの状況がまだ序の口だったのだと知るのはもっと先になるのでした。そのような苦境の中、2年生の先輩が校則違反を犯し、サッカー部自体が数か月の活動停止処分が下されるとの報告が私たちの耳に入るのでした。