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おしゃれになりたい34歳。

「おしゃれになりたいんですけど、どうしたらいいでしょう?」

30代も中盤を迎え、そろそろ色々な面で落ち着いてもいい年頃のはずなのに、まったく地に足がついている感じがしない。自分のなかで「カクタルモノ」がない。「確たるもの」と漢字で書くのもはばかられるほど、ない。

とりわけファッションはそう。

若いころと比べて服を買わなくなった。最近ではあまりに服を買わないので、見かねた妻が買ってくれた服を着ている。着ているのは、たいていユニクロか無印で、無地でシンプルな形のものが多い。べつに似合ってないわけではないと思うのだけど、たいして愛着もない。

服に興味がないわけではない。ファッション誌を読むのも好きだし、デザインは全般的に好きなので「モノ」としての洋服や靴にはとても関心がある。ただ、それを「自分が」着るとなると、とたんにハードルがあがる気がしてしまう。そもそも、自意識がスパークしているわたしにとって洋服屋さんで買い物することが、けっこうな苦行と感じられてしまう。

それでも大学生のころなどは、背伸びして高円寺の古着屋などに行ってみたものだが、いたたまれない気持ちになって手ぶらで帰るのが常だった。ちなみに、10年以上経った今でも、服を買いにいくと5割くらいの確率でこの状態に陥る。

あたりさわりのない格好をするようになってずいぶん経つが、ずっとどこかで「ファッションをもっと楽しめたら…」という思いが燻っていた気がする。
先日、選書ユニット「山と川」を一緒にやっている藤川さんとの打ち合わせの最中に、ぽろっと出たのが冒頭の言葉である。

藤川さんはおしゃれだ。
身につけているモノ自体もかっこいいし、それらが藤川さんにぴったりあっていて、なんだかしゅっとしている。余談だが、夜遅くにオンラインで話す時でも、藤川さんはしゅっとしている。こちらはよれよれのパジャマだったりするのに。

「おしゃれ」についての会話のなかで、そもそも「おしゃれとはなんぞや?」という話になった。何をおしゃれとするのかは人それぞれで、自分にとってのおしゃれをちゃんと定義することから始めた方がいいんじゃないか。そんなことを話した。真剣30代しゃべり場。

ここ数週間考えて、まだ朧げだけど自分にとってのおしゃれってこんなことじゃないかというのが以下の3つ。
①ファッションを楽しんでいること。
②愛着をもった服を着ていること。
③機嫌よくすごせる服を着ていること。
考えながら気づいたのだが、これら3つは根底でつながっている。というか、ほぼおんなじことを言ってる気もする。根っこにあるのは「服を着ることをもっと楽しみたい」という願望だ。

ファッションを楽しむことを邪魔しているのは、きっと「自意識」なんだろうけど、それについて考え始めると相当長くなりそうなので、一旦脇に置いておいて。

まずは自分が心からいいと思えるものを、愛着がもてるものを、選ぶところから始めたいと思う(値段とか使いやすさとか、普段気にしがちなところはうっちゃって)。
30代なかばになって、こんなにも「おしゃれ」を連発する文章を書くとも思わなかったけど(若干の気恥ずかしさ)、何かを楽しもうとするのに、遅いも早いもきっとない。

ちなみに、冒頭の問いへの藤川さんの答えは、
「サイズがあってれば、たいてい大丈夫」
「年取ってくれば、似合うようになる」だった。


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