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【坐骨神経痛】骨盤の状態から考える坐骨神経痛改善アプローチについて

日ごろ臨床において【坐骨神経痛】に悩まされている方をみさせて頂く機会は多いです。

坐骨神経痛=「お尻」や「ふともも」や「スネ」など“坐骨神経領域に走る痛み・しびれ”の総称(※診断名ではない)

坐骨神経痛を改善する上で、一般的によく知られた考え方のひとつとしては

“梨状筋”のストレッチが挙げられます。

たしかに梨状筋の過剰な緊張は、坐骨神経へのストレスとなり、坐骨神経痛を誘発するひとつの因子となりやすいです。

梨状筋と坐骨神経の位置関係
・90%は梨状筋の下を通過
・0.8%は梨状筋を貫く
残りは坐骨神経自体が二股に分かれており
・7.1%は坐骨神経の一部が梨状筋を貫く
・2.1%は梨状筋の上下を挟むように走行

梨状筋は収縮するにせよ伸長されるにせよ、坐骨神経に影響(圧迫ストレスなど)を及ぼす可能性が高い筋肉といえますし、僕自身も直接的な手技の対象とすることがあります。

しかし、いくら梨状筋(お尻周り)のストレッチをしても、その場しのぎ以上の成果を得られないケースも多々あるのが実際のところです。

そこで今回は【梨状筋ストレッチ】からもう一歩踏み込んだ、骨盤の状態からみる坐骨神経痛のアプローチについて解説します。

坐骨神経痛に悩まされている方は、参考にして頂けたら幸いです。


骨盤の状態からみる坐骨神経痛のアプローチ

梨状筋と坐骨神経の関係は先に述べたとおりですが、坐骨神経痛を改善する上での基本的な考え方としては

坐骨神経が走行する“スペース”を十分に確保することが重要になるケースは多いです。

坐骨神経は骨盤内を通る

坐骨神経が通るスペースとしては、今回のテーマである【骨盤】があります。

“骨盤”というとなんとなく【ゆがみ】【矯正】などのワードを連想される方も多いかもしれませんが

骨盤腔内には、筋肉や血管や神経だけでなく、多くの臓器(膀胱、尿道、直腸、肛門、男性では精管、射精管、精嚢、前立腺、女性では卵巣、卵管、子宮、膣など)も在ります。女性の場合、PMS改善には骨盤帯機能改善が求められるケースがほとんどです。

実際、骨盤には多くの筋肉が付着しますし、多くの筋肉が付着するからこそ常日頃の姿勢や動作の影響を受けやすいです。

骨盤に付着する筋肉

脊柱起立筋群、広背筋、内外腹斜筋、腹直筋、腹横筋、腰方形筋、大腿四頭筋、大腿筋膜張筋、内転筋群、ハムストリングス、臀筋群、骨盤底筋etc

言い換えると骨盤は痛みやしびれの起こりやすさ/軽快しやすさにも特に影響しやすい【機能改善の優先度が高い】部位である、ということです。

坐骨神経痛を抱える方の「姿勢の傾向」

さて、坐骨神経痛を抱える方の「姿勢の傾向」としては

いわゆる【反り腰】もしくは【スウェイバック】姿勢が常態化しているケースが圧倒的に多いです。

先にも述べたように、坐骨神経痛を改善する上では坐骨神経が走行する“スペース”を十分に確保することが重要ですが

骨盤内の坐骨神経が走行するスペースを確保するには、反り腰やスウェイバック姿勢にみられる骨盤アライメント(骨の整列、前後左右の位置や回旋・傾きなどの偏り)の修正が必要になります。

矢状面上の(横から見た)骨盤位置
➡スウェイバック:前方偏位 反り腰:後方偏位

骨盤はひとつの骨ではなく【ふたつの寛骨ひとつの仙骨】によって構成されているので

骨盤=ふたつ(左右)の寛骨とひとつ(中央)の仙骨

骨盤アライメントによって、骨盤内のスペースは変化するわけです。(下の画像からイメージして頂けるとわかりやすいかと思います)

右の骨盤が前方回旋/前傾▶︎右の仙骨と寛骨が接近し右の坐骨神経が通るスペース狭小化▶︎右側の坐骨神経痛に繋がる
仰向けで触り比べると「前傾/前方回旋している側の骨盤の出っ張り」が高くなっていることもある
仙骨カウンターニューテーション位でも坐骨神経が通るスペースは狭くなる

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反り腰にしてもスウェイバックにしても、多くの場合、

痛み(坐骨神経痛)の出ている側の骨盤は、やや前に出て(回旋し)、かつ前へ傾き、仙骨と寛骨が接近し、坐骨神経が通るスペースは狭小化しています(上図で示す赤丸のような状態)

よって、骨盤内のスペースを確保し、坐骨神経に対するストレスを減らすためのアプローチの方向性としては

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