専門修士と学術修士の違い_北京大学社会学部を例に
どうも!
セイタです!!
北京大学社修士課程で社会学を学んでいます。
この記事では、中国大学院における二つの区分である「専門修士」と「学術修士」に関して、北京大学社会学部を例に挙げて、書いていきたいと思います。
現在、僕は学術修士という3年制の修士課程に通っています。受験した時は「専門修士が2年で、学術修士が3年」くらいの認識だったのですが、ゆっくりと学びたかったので学術修士を選びました(笑)
この記事の対象としている方は
・中国の大学院に興味のある方
・中国人大学院生を採用したいと考えている企業の方
・中国についてざっくり知りたい方
などです。
それでは書いていきたいと思います。
専門修士と学術修士とは?
まず、中国大学院における専門修士と学術修士についてネットで調べた結果について簡単に紹介させていただきます。
以下の記事を参考にしています。
タイトル:『大学院入試の常識:専門修士と学術修士の11の違い』
まず、専門修士について以下のように説明されています。
日本でいえば、ロースクールやMBAが比較的近いと思います。中国では、社会学という学問的要素の強い学部にまで専門修士があることに驚きを隠せませんね☆
そして、11の違いとして以下の項目が挙げられています。
重要なところだけピックアップして説明していきます。
まず、「1、育成目標の違い」と「2、育成方法の違い」についてなのですが、学術修士はアカデミック人材の養成を目的としているため、理論や学術研究の能力を高めるような育成がなされます。一方、専門修士はプロフェッショナル人材の育成を目指しているため、総合的な素養や応用能力が求められます。
次に、「5、入試時に他の選考に割り当てられるときの条件の違い(调剂)」についてです。中国の大学受験や大学院の受験には、もし第1志望の専門に落ちたとしても、他の専門に割り当てられる制度があります。詳細に話すと長くなるのですが、基本的には学術修士を志望しても専門修士を割り当てられるという形になることが多いそうです。
また、「6、入学試験の難易度の違い」も学術修士の方が専門修士に比べて高くなります。
「9、指導教官制度の違い」についてなのですが、学術修士は1名の指導教官で、専門修士は2名の指導教官だそうです。なぜ専門修士では2名いるかというと、大学の内外で1名ずつ指導教官を持つからだそうです。学内の指導教官がアカデミックな指導を、学外の指導教官がスキルや実践を教育するそうです。学術修士はアカデミックな指導しか受けないため、1名とのことです。
最後に「11、博士進学方式の違い」なのですが、学術修士で指導教官を変更しない場合は、博士課程の試験に参加する必要はありません。専門修士は試験を受ける必要があります。
以上が大まかな違いになります。
あくまで上記内容は一般的な傾向であるので、もちろん各大学各専門毎に差はあるかと思います。例えば、北京大学の国際関係学院は3年制の修士に通っている学生はほとんどいないそうです。また、北京大学の社会学部の専門修士は指導教官が1名しかいません。
北京大学社会学における制度上の違い
この章では北京大学社会学部において、専門修士と学術修士にどのような違いがあるのかについて説明していきます。
まず、皆さんが気になるであろう学費について説明していきます!!!
※中国人学生が払う学費について書いています。
学術修士は中国人学生ならばどの大学のどの専攻でも原則10,000元/年(約200,000円/年)が上限となっています。なかなかリーズナブルではないでしょうか?日本だと、国公立でもだいたい50万円から60万円くらいなので。
※北京大学社会学部の学術修士は8,000元/年(約160,000円/年)
北京大学の専門修士は社会工作修士と社会政策修士の2種類があります。社会工作修士の学費は27,000元/2年(540,000円/2年)と学術修士よりは高いですが、そこまで高くはありません。。一方、社会政策修士は98,000元/2年(1,960,000円/2年)とめちゃくちゃ高いです。卒業後によっぽでいい仕事につけるんですかね??
自分は社会政策修士の学生にまだあったことがないのでわかりませんが、もし会う機会があればいろいろ聞いてみようと思います。あと、確実にお金持ちなので、ご飯を奢ってもらおうと思います(笑)
また、あくまで傾向なのですが、学費が高いほど入学難易度が簡単です。約10万元かかる社会学修士は今年から開設されたのですが、「北京大がお金を稼ぐために使った学部」と言っている社会学部の学生もいました。
学費だけでもかなりの差があるのですが、それだけではありません。学術修士は4人1部屋というプライベートが存在しない空間ではありますが、学生寮が用意されます。一方、専門修士には寮が準備されません。なので、みんな自分で部屋を探して借りてます。
余談ですが、北京の家賃はくそ高いです。自分は今でこそ中国政府奨学金から学生寮を無料で提供してもらっているのですが、以前留学した時は日本政府奨学金しか受給していなかったため、現金支給しかありませんでした。なので、安く住めるところを探して住んでいたのですが、中国人の友人からはスラムと言われていました。僕が住んでいた部屋は4つの部屋でトイレとお風呂共同でした。その中の6畳くらいの部屋に住んでいたのですが、そんな部屋でさえ2,500元(約50,000円)でした、、、
※2015年の話なので、現在は地価がさらに値上がりしているはずです。
学費が高い上に、地価が高い北京で自分で部屋を探さないといけない専門修士の学生はなかなかに大変です、、、、
学術修士と専門修士に対する意見
この章では、北京大学や清華大学の修士課程に在籍していた留学生や中国人学生から「学術修士と専門修士」に関していろいろと聞いてみた結果を紹介したいと思います。
まず、北京大学国際関係学院の日本人修士のAさんに話を聞いてみると
とコメントしていました。専門修士のレベルの低さを強調していました。
次に、清華大学法学部の日本人修士Bさんに話を聞いてみると
と言っていました(笑)
そもそものスタート地点が違うため、専門修士は学術修士に比べて、基礎がない状態になっている可能性が高いと想定できます。
最後に北京大学社会学専門修士の中国人学生Cさんの話を紹介させていただきます。Cさんは学部の時から北京大学の社会学部です。そのため、北京大学の内情にも詳しく、多くのことを語ってくれました。
と言っていました。まさか学術修士が北京大学の内部進学の場合トップ5しか入れないほど、難易度が高いとは思いませんでした、、
あと、2年間北京大学の教務で働けば、学術修士に進学できるというルールも面白いなと思いました。あくまで推測ですが、このルールはちゃんと決まったルールではなく、グレーな匂いがプンプンします、、、、
このように制度的に見ても、個人の感想を聞いてみても、学術修士が専門修士よりも上位に置かれていることがなんとなく見えてきました。実際に、僕の同級生で一番仲が良い学術修士の子も「まあ、あの子らは専門修士だからね」みたいな感じでちょっと見下してる感じがありました。
僕が授業を受けてても、「なんやねんこのプレゼンは。。。パワポに文字並べてるだけやし、全体の整理ができてないから、その話がなぜ必要かが伝わってこないんやけど、、、」みたいな発表をするのは絶対に専門修士です。※もちろん優秀な子は専門修士にもいっぱいいます。
以上が、中国における二つの修士課程の在り方である学術修士と専門修士に関しての説明になります。この記事の内容はあくまで、北京大学社会学部における二つの修士の違いを述べているだけであり、学校や専門分野によって状況は全然変わってくると思います。
自分はあまり考えずに学術修士に出願しており、運よく合格することができましたが、これから中国の大学院を志す方はしっかりとリサーチしたうえで出願することをお勧めします。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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