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どの国で博士課程に進学するべきか考えてみる_オックスフォード大学の図書館の中で

どうも!
セイタです!!
北京大学の修士課程で社会学を学んでいます。
現在はオックスフォード大学のOxford Institute of Population Ageingにて訪問学生として学んでいます。


この記事では、北京大学修士課程を卒業後にどこの国で博士を取りたいかについて書いていきます。なお、僕は人生プランが修士課程の2年間でも二転三転しており、今の考えはこうだからと言って、将来もそうするとは限りません。
※どのように考え方が変わっていったかについて興味のある人はこの記事の最後にリンクを貼っているので、もしよければご覧ください。


この記事の対象者は
・自分が何をしたいのかわからない人
・海外大学院に興味がある人
・アカデミアの世界で活躍したい人
・当ブログのファン(もしいればですが笑)

となります。




人生設計の変遷

私は学部卒業後、4年半働いたのちに北京大学社会学系の修士課程に入学しました。冒頭でも書いている通り、人生プランがコロコロ変わっています(笑)


大学院受験時(2022年1月前後)には、修士号を取得後のキャリアについて「北京大学修士課程という学位、定量分析のスキル、仮説構築と検証の考え方、中国での経験を活かして、日中問わず活躍できるデータサイエンティストのようなキャリア」を想定していました。


しかし、修士課程に入学時(2022年9月)にはすでに変わっており、「博士課程に進学してアカデミアとして働いていく」となっていました。ただ、どこで取るかなどは漠然としており、まあ中国でいいかなくらいに考えていました。



北京大学で1セメスター(2022年9月-2023年1月)を過ごした後には、もう少しビジョンが固まってきました。当時の中国はコロナ渦真っ盛りで、接触はNG、マスク必須、2日に1回PCR検査でした。そのような環境に少し嫌気がさし、「短期的には博士課程を上記2か国以外で取得したい。長期的には世界中を視野に入れてノマドのように生きていきたい」といったキャリアを志向するようになりました。そのため、英語の勉強をしっかりと始め、フィリピンに2回語学留学にも行きました。
※この体験記も興味がある方は是非ブログの最後のリンクをご覧ください。



以上が、自分がこれまでの修士課程卒業後に描いている人生設計の変遷です。それでは、現在どのように考えているのかについて、次節より書いていきたいと思います。




現在の考え方

私は現在オックスフォード大学のOxford Institute of Population Ageingにて学んでいます。なお、研究所のサイトに自分の紹介が掲載されていてうれしかったです(笑)


元々オックスフォードに来る前は、博士に進学する際は中国も検討に入れつつ、香港やシンガポールの名門大学、そして可能であればオックスフォード大学に行きたいなと思っていました。なので、奨学金の志望大学にも「北京大学」「オックスフォード大学」と書いていました。


オックスフォードについて2週間近くたつのですが、考え方が変わりました。現在は、中国の大学で博士課程に進学したいなと思っています!このように考えるようになった理由が三点あるので一つ一つ説明していきます。



博士は病みやすい

皆さん、あまりイメージがないかもしれないのですが、博士課程の学生はメンタルを壊しやすい傾向にあるようです、、、


スウェーデンで経済学の博士課程に在籍している学部時代の友人から以下のスクリーンショットが届きました。これはXの投稿で、博士課程への進学はメンタルヘルスに悪影響であることを示す論文を紹介しています。


なお、このスクリーンショットは以下の論文の切り抜きです。

Sanna Bergvall, Clara Fernström, Eva Ranehill, and Anna Sandberg. 2024. “The Impact of PhD Studies on Mental Health—A Longitudinal Population Study.”

最初は4人の著者のうちの2人がスウェーデンの大学に所属していたので、てっきり彼の知り合いが書いた論文かなと思っていました。ただ、そういうわけではなく、世界的にバズっている論文のようでした。


というのも、ロンドン大学の大学院を卒業し、Pearson ELT英語教育ティーチャーアワードを取った英語教育起業家の方もこの論文についてインスタであげていました。さらに、博士課程の指導教官になってくれないかと北京大学社会学系の教授の部屋を訪問した際も、この論文について触れていました。この論文はかなりインパクトがある論文ということが分かります。



この論文について簡単に説明すると、博士課程に進学すると、5年後には39.5%高い確率で精神疾患に関する薬を服用する傾向にあるということがメインで述べられています。

p9


なお、男性よりも女性の方がリスクが高く、31歳以上で博士を始めた人、過去に精神疾患を患っていた人の方がリスクが高いそうです。

Appendix p11


さらに、専門毎に精神疾患を患うリスクも異なり、いわゆる文系よりも理系の方がリスクが高いです。ただし、医療系はほとんどリスクがないとのことです。

Appendix 12

なお、このような傾向の背後にある要因としては「ワークライフバランスの困難さ、仕事の裁量権の低さ、経済的・キャリア的不安定さ、目的意識の欠如、指導教官との不仲(p1)」などが挙げれらています。



以上より、如何に博士進学が大変なのかが分かります。



過ごしやすい生活環境の重要性_北京とイギリスの比較より

上記のような博士でメンタルを壊すリスクを考えると、生活環境は非常に重要だと言えるでしょう。そうした観点から僕は中国で博士課程を修めたいと思いました。


多くのメディアに洗脳された日本人の頭には疑問符が浮かんだのではないのかなと思います。ただ、実際に中国に暮らしてみると、中国語が出来れば(もっと言えばできなくても)生活がものすごく便利です。


ご飯は安くて美味しいし、ECは発達していて次の日に商品は来るし、すべて携帯で決済できるので財布を持ち歩く必要さえありません


さらに、中国政府奨学金は非常に獲得難易度が低い奨学金であり、獲得できれば学費免除、寮費無料、生活費3500元(約7万円)がもらえます。さらにもう1つ奨学金を獲得さえできれば、生活に何一つ苦労することなく暮らせます。

また、現在お付き合いしている人も北京がメインの居住地であり、将来を考えると他のところに行くのも少し煩わしいです。



あくまで比較なのですが、今のイギリスでの生活を紹介すると、
・家賃720ポンド(約14万円)
・Bench Fee(学校の施設の使用料) 833ポンド(約16万円)

と固定費だけでもうすでに30万円かかっています。しかも家は個室こそありますが、トイレやキッチン、浴槽は共有です、、


また、生活にかかる諸々が高いです。バスは1回2ポンド(380円)ですし、食費も高いです。特に外食などが非常に高くて、安いところでも3000円前後します。


イングリッシュ・ブレックファースト
16.3ポンド=約3200円


フィッシュ&チップス
18ポンド=約3500円



さらに、学費が驚くほど高いです。オックスフォード大学の社会学博士プログラムの場合は
・UKの学生は11790ポンド(約230万円)
その他の学生は29350ポンド(約570万円)
オックスフォード大学のサイトより


学費の負担が大きいことがイギリスでの博士課程の特徴と言えるかもしれません。まず、ヨーロッパの他の非英語圏の国はそこまで学費が高くありません。また、学費が高いことで有名なアメリカは基本的には博士進学と奨学金補助がセットになっています。


なので家賃やBench Feeを考慮すると、固定費だけで毎年900万円です。そこに、高い生活費が追加でかかります。イギリスはお金があれば楽しいのかもしれませんが、僕のような貧乏学生だとこのような物価や学費の高い国で博士課程を取るのは、精神的な苦痛が大きいように感じます


なので、僕は博士は経済的負担が少なく、暮らしやすい国で取得したいなと思いました。



大学のランクよりも個人の業績

自分がオックスフォード大学を検討し始めた、大きな理由が、世界一の大学だからです。
Times Higher Educationにて8年連続世界1位の大学に認定


ただ、このように博士で良い学歴に悪い意味で固執する意味というのを考えたときに、そこまで大きな意味はないのかなと最近思い始めました。


例えば、上記でも出てきたのですが、博士の指導教官になってほしいと依頼した先生は「中国でアカデミアとして働くのであれば、博士の時に中国語で4本論文を最低でも書いていないと希望はない。海外でのキャリアを志向するのであれば、英語で1,2本書いておくべきだ」と言っていました。


つまり、博士課程修了後のキャリアを考えると、博士課程でどれほど良質な論文をたくさん書けるかが非常に重要ということです。


また、アメリカにて国際関係の博士に在籍している友人がいるのですが、彼の修士の大学は世界ランキングトップ20に入る名門だったのですが、博士は100位前後の大学に行っています。


そのことについて彼は「修士はある程度周りの環境も大事やけど、博士は完全に自分との戦いやから大学のランクはそこまで重要ではない」と言っていました。当時は負け惜しみかなと思っていましたが、今ならば少しだけその言葉の意味が分かります。




最後に、最近オックスフォード大学の人口学研究所の研究員として働きだした韓国人女性の例を挙げさせていただきます。彼女は学部をソウルで卒業した後に、修士博士共にドイツで取得し、そのまま順当に良い仕事を手に入れています。給料調べたのですが、おそらく年収38200ポンド(約740万円)くらいともいます。これだけもらえればイギリスでも裕福とは言えませんが、不自由のない暮らしはできそうです。
オックスフォード大学人口学研究所の求職情報より


また、彼女が言っていたのが、「大学のレピュテーションをそこまで気にしないならばドイツの大学はお勧めだよ。(イギリスと比べて)物価もそこまで高くないし、給料もでる」ということでした。


実際に彼女はオックスフォード大学での職を得ています。なので、僕もオックスフォードとは一定の距離感を保ちつつ、博士卒業後にそこで働けないかを考えるようになりました



以上が僕の現在考えている人生設計です。
今後また変わるかもしれませんが、現状は北京大学の博士課程に行けたらなと思っています。


このようなことをオックスフォード大学のラドクリフサイエンス図書館というところで、勉強しながら考えていました。

レゴやボードゲームがあります!
人をだめにする椅子まであります(笑)



それでは、本記事は以上となります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
以下、本記事内でも出てきた他の記事のリンクを貼っているので興味があれば合わせてご覧ください!!!



この記事は、社会人を辞めて、なぜ北京大学の大学院を受験したのかについて書いています。



この記事は北京大学入学後にどのように考え方が変わっていったのかについて書いています。


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