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高校サッカー。男女で異なるベクトル。女子は藤枝順心が3連覇の絶対女王。男子は前橋育英がPK戦で王座奪還。高校生の戦いぶりに、日本サッカーの未来は明るいと確信

高校サッカーは熱い。そして男女で異なるベクトルだ。女子は藤枝順心(静岡)が大会3連覇を果たして絶対女王となった。男子は前橋育英(群馬)がPK戦にまでもつれた頂上決戦を制して王座奪還を果たした。男女それぞれの特徴が魅力的。日本サッカーの未来は明るい。

全日本高校女子選手権で、静岡の藤枝順心が史上初の大会3連覇を達成した。その強さは試合前の選手たちの掛け声から伝わってくる。

スタメンの選手たちが手をつないで、大きな円を作る。そして、「フジエダ~、ナンバーワン!」と叫び、全員が人差し指を高々と天に向ける。これが言霊なのだろう。彼女たちは戦闘モードに突入する。

本大会はこれまで9地域から選出された32チームが戦う方式だった。今回から47都道府県の代表と過去の成績などで選ばれた計52チームによる方式に拡大された。大会を制するには、より厳しい道筋となる。

しかし、藤枝順心は圧倒的な力で勝ち上がってきた。初戦を17-0で大勝すると、2回戦以降も、8-0、3-0、4-0、2-0と勝ち上がり、決勝に駒を進めた。34得点、そして無失点。

神戸市のノエビアスタジアムで行われた決勝戦。相手は3大会ぶりの優勝をめざす神村学園(鹿児島)だった。

試合が始まると、藤枝の無双ぶりが際立った。FW藤原凛音選手が前半4分に先制ゴール。テレビでは神村学園のスタメン選手の紹介もされていなかった。電光石火の得点で勢いづいた藤枝は前半だけで3得点。後半にも2点を追加して5-0で優勝を果たした。

藤枝が大会初の3連覇。ただ、昨秋の静岡県大会の決勝では、常葉大橘に数少ないチャンスを決められ0-1で敗れていた。藤枝は静岡第2代表として本大会に出場。この悔しさをバネにして勝ち上がった。

絶対女王の藤枝。しかしサッカーは番狂わせの起こりやすい競技だ。他のチームが「打倒藤枝順心」へ、チームの底上げに力を注ぐだろう。高校女子の戦いはさらに面白さが増しそうだ。

一方で男子は戦国時代というにふさわしい。全国高校サッカー選手権の優勝校は毎年変わる。連覇を果たしたのは2000年度と2001年度の国見(長崎)まで、さかのぼらなくてはならない。

今大会の決勝も激戦だった。前橋育英と流通経済大柏(千葉)の一戦は1-1のまま、延長戦でも決着がつかずにPK戦へ。お互いが10人ずつ蹴って勝負がついた。決勝では最多のキッカー数だった。前橋育英がPK戦を制して7大会ぶり2度目の頂点に立った。

女子は絶対女王、男子は戦国時代。ベクトルは異なるが、それぞれが魅力的だ。

日本サッカーの未来は女子も男子も明るい。高校生の大会を見ながら確信した。ピッチでボールを追う高校の選手たちを、これからも応援していきたい。

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