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テニスの超一流アスリートだった「世界のクニエダ」。国民栄誉賞に異議なし!パラスポーツの地位向上に大いなる貢献
「世界のクニエダ」と言っても過言ではないだろう。車いすテニスで世界タイトルを次々手にした国枝慎吾さん(38)。国民栄誉賞が授与されるようだ。国枝さんの実績を考えれば、「異議なし!」と訴えたい。彼のショットは、パワフルかつ正確無比なものだった。今回の栄誉で、パラスポーツのさらなる地位向上につながってほしい。
恥ずかしながら、彼のプレーを初めて見た時に、これは動画加工したものではないかと思ってしまった。15年前のことだ。車いすに乗った選手が強烈なショットを放つ。テレビを前に、試合映像とは思えなかったのだ。
国枝さんは4大大会で歴代最多の50勝(シングルス28勝、ダブルス22勝)を挙げ、パラリンピックのシングルスで3度の金メダルに輝いた。世界に名だたるタイトルをほしいままにしたと言えるだろう。
国枝さんが今年1月に引退を発表した時には衝撃が走った。世界ランキング1位に君臨している王者の勇退。そんなことがありえるのか?
この引退は、格好良すぎる。世界のトップの引き際というのは、スポーツに限らず難しいものだ。大抵は成績が下降し気力や体力の限界を感じて、一線を退くものだろう。
しかし国枝さんは、まだ世界1位に輝いているのに、コートから離れてしまうとは。現役生活に別れを告げるのは、相当つらかったのではないだろうか。
パラスポーツの歴史を振り返ると、長く「リハビリ」や「レクリエーション」の意味合いで考えられてきた。パラリンピック自体が、第2次世界大戦で負傷した兵士の「リハビリ」の一環で始まったものだからだ。
そのため、国の管轄もスポーツ行政を担う文部科学省でなく、医療分野などを担う厚生労働省が担当してきた。文科省が管轄するようになったのは2014年になってのことだ。
国枝さんはプレーを始めた頃は行政の壁に阻まれ、一部の施設を使えない不便を被ってきた。それを自らの実績で、パラスポーツの地位拡大へと導いた。
2009年からユニクロと所属契約を結び、ホンダ、ANA、ヨネックス、NECなどとスポーンサー契約を結び、超一流のアスリートと証明されたのだ。
「リハビリ」という視点でなく、「競技」「アスリート」として、パラスポーツが見られるようになったのは、国枝さんのおかげだろう。
これまでの国枝さんの足跡を振り返れば、国民栄誉賞を授与されるのは、当然のことだと思う。
そして彼の活躍を見た若手選手が海外で活躍している。小田凱人(ゆきと)選手は、今年の全豪オープン男子シングルスで準優勝に輝いた。
小田選手がテニスを始めたのは、国枝さんが2012年のロンドン五輪で金メダルを獲得した試合の動画を見たことだという。
国枝さんの活躍が、次世代の一流プレーヤーを生み出したのだ。これまでのパラスポーツの位置づけを変え、次世代選手育成の種をまいた。
「世界のクニエダ」。日本が誇る立派なアスリートだった。国民栄誉賞授与の姿を楽しみにしたい。