指示系統を勘違いした医師の話
医師の資格は強力で、医療機関にとって必要不可欠なものですが、それは資格の問題であって、医師個人に権力があるわけではありません。
自分は医者だ、偉いのだ、と勘違いした医師が散見されます。受験戦争を勝ち抜いてきた「エリート」のプライドなのかなんなのか、他職種をバカにしたような言動もしばしば見かけます。
それはとても悲しいことです。
医療機関は医療を提供するひとつの組織であって、医師の他にも様々な職種がそれぞれのプロフェッショナルとして勤務しています。医師ひとりで出来ることなど限られています。
医師の指示の下にパラメディカルが実施する医療行為というものがあります。相当な量がこれに含まれますから、次第に医師の側が勘違いしていくのも無理のないことかもしれません。
しかしながら、パラメディカルスタッフは、断じて医師の部下ではありません。
所属が違います。
例えば看護師は看護部の所属ですし、放射線技師は放射線部の所属です。偉いかどうか、という観点で論ずるならば、そもそも「偉い」のは病院事務局であって、医師は専門技能を有するスタッフという括りになります。ここを間違えると、勘違い系の偉そうな医者が出来上がるのだと思います。
診療のクオリティを上げるためには、それぞれの専門性を尊重して円滑なコミュニケーションをとる必要があります。
医師の指示の下に医療行為を実施するスタッフには、本来医師が行うべき業務の一部を負担し実行してもらっているという認識が必要ですし、理学療法士や検査技師など、それ自体が高い専門性を有するために医師には実行困難な業務であることを知らねばなりません。
医師は医療チームにおいてリーダーシップをとるべき立場ですが、決してチームのボスではないことを忘れてはなりません。
そういう認識に立つ医師が増えることで、好ましい医療チームが増えていったら、医療全体の質も向上するのではなかろうか…と、午後の凪に夢想します。
散文にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、逼迫する医療がどうにか持ち堪えて、いつかの日常を取り戻せますように。
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