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世紀末的状況を生き残る妄想

 同じ時代であっても国や地域が違えば生活様式は大きく異なります。先進国と表現される国に住みながら享受する便利な生活は、しかし想像より遥かに脆弱な基盤の上に成立していることを思い出す日もあるでしょう。

 衣食住の確保は文化的な生活を送るのに必要だと言われておりますが、こと「飲食」に関しては生死に直結します。衣服や住まう場所は安全や健康に関わりますから、やはり重要なものといえましょう。如何にして必要なものを確保して生存していくのか、これは野生から離れても忘れてはならない感覚であろうと思います。

 医療は、皆が健康なら不要なサービスです。
 ところが人は例外なく生と死を経験し、死の原因には広義の病があります。内因性にしても外因性にしても、或いは老衰と表現される最期であっても、病の影は必ずそこに存在します。

 病を退ける術を医療と定義します。
 完全に消滅できずとも、生きていくうえで支障なければ及第点。できることなら健康を維持しながら長く生きることが自然と求められるのは、生命の根源的な欲求なのかもしれません。

 もし、何かのきっかけで現代の文明社会が崩壊したとき、私たちはどのように生存していくことができるでしょうか。この命題は、ふとした瞬間に私を世紀末ヒャッハー的な想像の世界に旅立たせます。

 動物界がそうであるように、ヒトの社会も暴力が支配するようになるでしょう。法律が効力を有するのは、そこが成熟した人間社会であって、抑止力たる組織が健全性を保持しているからに他なりません。

 衣食住に関わる技術を持つ人は、群れの中で役割を得ることで生存確率を上げることができるでしょう。食住衣の順番に序列がつくかもしれません。
 それ以上に、力を持つ者は生存に有利です。猛獣などの脅威から身を守ったり、悪意があれば弱者から奪い自分の生存率を上げることができます。

 他の動物と比較したとき、人間の優れる点は言語による複雑な意思疎通と、道具の開発による身体能力を越えた技術の運用にありますが、集団をつくり組織化することで、長所を最大限に発揮することができるようになると考えます。


 さて、貴方の武器は何でしょうか。

 
 筋力と体力はあった方がいい。しかし私は如何に筋肉を育てても上には上がいるということを知っています。武術を極めた面々に勝てる気はしません。まして徒党を組んだレスラーに遭遇したら脱兎の如く逃げ出すしかないでしょう。

 ならば特殊技能を身につけて、自分に付加価値を持たせましょう。

 そう思いながら修行の道を選んできました。

 弓道の心得は、狩猟や戦闘に役立つでしょう。
 噺家的トークは、交渉に使えるかもしれません。
 言葉が通じなければパントマイムがあります。
 娯楽に手品や音楽は如何でしょう。
 科学のない世界では、呪い師が重宝されるかもしれません。

 内科医は、薬がないとできることがありません。
 ありませんから、私は考えました。
 生薬学を修め崩壊後の世界でも薬を作ること。
 鍼灸治療を学び、経絡秘孔をアタタァする医系拳士として、敬愛するトキのように生きること。

 
 もし文明が崩壊したら、私は旗を揚げましょう。

 ここを訪ねる人あらば、共に国を作りましょう。


 さて、貴方の武器は何でしょうか。

 何もない?

 いいえ、きっと見つかるはず。

 文明社会は価値観の尺度を規定しますから、ただその価値を見出せないのだと思います。


 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方が貴方の価値に気付き、希望の明日を迎えられますように。



#エッセイ
#習慣にしていること #想像 #妄想
#医学的な妄想の定義とは異なりありもしないことを想像して楽しむことを妄想と表現しています
#医学的な妄想の定義は了解不能で訂正不可能なものです
#私の仕事 #トキ #を目指す人 #北斗の拳


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渡邊惺仁
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