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サインをデザインする話

 印鑑社会ではあるものの、それなりにサインを求められる機会もあるものです。例えば仕事中にも同意書、説明文書など。画像読影や紙カルテには、ハンコでもいいけれどサインのほうが簡便です。日常生活でも自分の名前を書く機会はそれなりにあるでしょう。

 楷書で分かりやすく、と制約のある場合にはそのように書かねばなりませんが、役所や契約書等のカタイ文書以外では、実は自由度が高いのです。

 かっこいいサインが書きたい。

 誰しも一度は思ったことがあるでしょう。有名人になったら、という妄想の中でサインの練習をした中学生時代の記憶を持っているのは、私だけではないはずです。アルファベットの筆記体を覚えたら試したくなるし、草書や行書のように漢字を崩せるようになると楽しさが増してきます。

 サインを作ってくれる有料サービスもありますが、誰かにデザインされたものをオリジナルとして良いものか、一抹の疑問が残ります。

 作りましょう。独自デザイン。
 書きましょう。自分のサイン。

 書道もデザインも未経験のド素人なので、まず「直筆サイン」についてweb上で網羅的探索を行います。初心者はアルファベットがオススメとか、崩し方の例とか、書き順に拘らないとか、色々な情報が得られます。よし。漢字にしましょう。だってそのほうがカッコいいから。

 渡邊惺仁

 画数が多いですね。こんなん楷書でサインしてたら日が暮れてしまいます。筆記試験なんて受けた日には、名前を書いているうちに試験が終わってしまうでしょう。もう少しシンプルな名前に出来なかったのでしょうか。

 まぁ愚痴っていても始まりませんから、さっそく楷書から崩していきましょう。簡単なサインが仕上がったら、諸問題が一気に解決するはずです。


良い感じに崩れてきました

 
 もうね、まず邊がヤバいので辺にしちゃいましょう。五十何種類もあるワタナベなんてぜんぶ渡辺にしたらいいと思います。渡の字も崩れて仁あたりも良いけれど、惺の字が厄介ですね。コレをどうやったら纏まるのか。

 よく分からないので、速記してみますか。

 えいやっ。

できた。


 勢いって大事ですね。サインが完成しました。

 今日から使います。


 ぜひ皆様も直筆サインをお楽しみくださいませ。


 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、ヒマという創造性の宝庫が許される社会でありますように。



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#娘が生まれたとき絶対さくらって名前にはしないよと念を押された思い出

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渡邊惺仁
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