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人は何故モチを食べるのか。
年末が近づき、正月も目前に控えています。スーパーマーケットの店頭には好機とばかりに餅が並び始めます。今まで何処にいたの?という数の餅をみて、アラひとつ買っていこうかしら、という気分になってきます。
独特の弾力に、もち米の旨味。スタンダードな磯部焼きもさることながら、きな粉餅やおしるこ、チーズとの相性も抜群です。出汁との邂逅も最高のマリアージュで、正月にお雑煮を食べる家庭も多いでしょう。
嗚呼、素晴らしき餅の文化。
貴方はどんな餅が好きですか?
さて、ここで2017年の報告をみてみましょう。
えぇ…なんですかこの殺傷能力。
窒息のリスク、なんと米の103.6倍。
救急外来に窒息で運ばれる方々をみていると、確かに餅が多いなぁと感じていましたが、こうして数字で示されるとその戦闘力の高さに驚愕します。思えば年末年始に病院で当直していると、必ずご高齢の方の餅窒息が運ばれてきます。それなのに何故、私たちは餅を食べるのでしょうか。
ひょっとして、危険なモノほど旨いのかもしれない。
かつてフグ毒によってどれ程の命が失われたことでしょう。猛毒のベニテングダケの強烈な旨味には、今なお数多の人が挑戦しています(長野県の一部の地域で弱毒処理をして食べる風習もあると聞きますが、絶対に自分で採取したものを興味本位で食べてはいけません)。大学の先輩がフキノトウと間違えてハシリドコロを食べて中毒に…と、これは少し違う話ですね。今思い出しても恐ろしい事件でしたが、また別の機会に触れることにしましょう。
食べることは根本的欲求で、美味しいものを食べたいという情熱は人間の性です。何故モチを食べるのか。それは、危険を冒してまで食べたくなる旨さがあるからです。
そこに物語 -Roman- はあるのでしょうか。
さぁ、来年も窒息に気をつけながら、楽しい餅ライフを送りましょう。
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