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2024年11月の記事一覧

ライラック 《詩》

ライラック 《詩》

「ライラック」

嘘に閉じ込められた沢山の雀が
空を仰ぎ羽ばたこうとしている

僕は重みの無い

小さな言葉の断片が羅列された
紙切れを部屋中にばら撒く

路地裏に捨てられた腐りかけの
果物が入った箱から

まだ食べられそうなものを漁る

僕等はずっと下を向い生きて来た

世界が新聞記事に集中している時

僕と君は
腐りかけの果物を分け合い食べた

致死的な響きを帯びた風と
暁色に染まる窓辺

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さよなら 愛しい人 《詩》

さよなら 愛しい人 《詩》

「さよなら 愛しい人」

起きて見る夢 愛だけを残して

僕はただ其処にある空白に従属する

何かが不意に通り過ぎる そう風だ

一陣の風が通り過ぎて行く 
何も奪わずに想いと意志を与えて

自分が自由だと感じれる
唯一の状態が此処にある 

其れは空白の中だ

僕の内面 混沌とした闇にある
毒と向き合う

ある場合には致死量に匹敵する
毒性を含むものだって
其処には存在している

現実と幻想が入

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花唇 《詩》

花唇 《詩》

「花唇」

咲き誇り揺れ舞い誘う花唇

想いの数だけ言葉を重ね

そっと此の手で触れた柔らかな花

ただ ひとつの願い事 

祈りは瞬く星明かり

立ち止まり 振り返り 
また歩き出す

栞を挟んだ
此のページに書かれている 
終わりの無い物語

悲しみの雲と刹那の雨 

希望の虹と柔らかな陽の光

夜空には同じ想いを抱いた
小さな星が並んでいる

僕は其の星の輝きに耳を澄ませる

貴方と同じ夢を

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夢のほとり 《詩》

夢のほとり 《詩》

「夢のほとり」

ひとつ またひとつ色を重ねて

見えるだろう

最後にはきっと救われる

世界はいつか
弱者に救いの光を与えてくれる

僕等にも虹が見れると信じて

激しく降りつける雨も我慢して来た

一日はとても長く
嘆きの雨は降り止まぬ

そして きっと 人生は短い

誰のもとにも陽が照らされるのなら

彼女は何故に…    

僕等は 

さよならを告げる為に
出逢ったんじゃない

見上げ

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今夜なら 《詩》

今夜なら 《詩》

「今夜なら」

肩寄せ合って歩く影

僕の伝えたい想いと 
君から伝わる想い

愛しさの欠片 

恥じらい染める胸の音

願いの明かりを灯す瞳の奥

何度でも聞きたい言葉を覗き込む

僕等の星がまたひとつ
恋の詩を奏でる

言葉になる前の言葉 

歩こう 明日へ

想いの星々が集い瞬く今夜なら